福島の甲状腺異常はヨウ素131以外の関与(129、132,133,135)が大きい

  • 2013/10/15(火) 00:29:47

チェルノブイリに較べ福島の甲状腺がんの発症時期が早いこと、結節より「のう胞」の発症率高いこと、「ハチの巣状」とも表現できるような変化が観察されることが特徴といえよう。
このようなことがみられるということはヨウ素131量以外の放射性物質の関与も考えておくべきと思われた。

ところがアエラ(雑誌2011.6.27発行)によれば、ヨウ素131(半減期8日、16京<放出量、以下略>)、132(半減期2.3時間、470兆);133(半減期21時間、680兆);135(半減期6.6時間、630兆)であったのでヨウ素以外の関与は少ないと考えざるを得なかった。

ヨウ素の同位体は24種類もあって、複雑であるが、129が例外的に長いが、後は半減期が8日の131より更に短く、時間単位なので、当時計測されてないと今となってはどうしようもない。

今回「132の放出量が131より10倍多かった」ことを弘前大関係者が英語で公開(参考資料1;2011.11)していたことを海外のニュースより知って驚いた。更にラットを用いた実験報告(参考資料2)では「甲状腺被ばく影響は131より132が9倍も大きい。従ってヨウ素132は131より90倍も被ばく影響<半減期の関係で、全期間でなく、被ばく初期における差であるが>が大きい」と英語で投稿した。

論文投稿を英語でするのは当然と思う。しかし、日本語では一切話さなかったのは理解できなかった。 そう言えば129の放出した原子数は131より30倍も多かったという論文を英語で公表しながら日本語では黙して語らないといった前例を思い出し、全く同じ構図と思った。

ヨウ素129についてはアエラでの記載がなかったが、私のブログ(2013.1.1)に記載(半減期1600万年、今回の福島原発で放出された原子数は131の約30倍)していた。

上記のアエラ記事では132の放出量は470兆であるが実際に計測されたデータは160京いうことになり、340倍も変わる。 このような過小データを提示した方にも問題があろうが、もっと悪いのはデータを持ちながら被ばく量が少ないから原発事故で甲状腺がんが起こる筈がないとエビデンスを知りながら、何故逆の説明をするのか不思議である。

甲状腺がんはこれから多発するとNHKも予測したから、「国民病」と洗脳を始めたように思える。しかし、国民にとって最も必要なことは被ばく影響を最小にすることであり、早期発見であろう。
      
           参考資料

1. http://www.plosone.org/article/fetchObject.action?uri=info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0027761&representation=PDF
.pdf via http://www.plosone.org

2.Individual Radiation Exposure Dose Due to Support
Activities at Safe Shelters in Fukushima Prefecture
Satoru Monzen1, Masahiro Hosoda1, Shinji Tokonami2, Minoru Osanai1, Hironori Yoshino1, Yoichiro

福島の小児甲状腺がん悪化の一途、早急に対策を

  • 2013/08/21(水) 12:01:21

第12回福島県民健康調査室の検討委員会が昨日開催された。今朝早く、福島県県民調査委員会のホームページを開いたがまだ掲載されてなかった。しかし、幸いなことにOurPlanet-TV(参考資料1、2)で文書ならびに会議の模様が放映された。

福島県検討委(8/20)報告で甲状腺癌的摘出手術により新たな確定者が5名出て総計18名となり、穿刺細胞診により癌の疑いとされたものの総勢は25名となり、合わせて43名が甲状腺がんもしくは疑いと診断されたことになる。

分かり易い表現にすれば次のようになる。穿刺細胞診による陽性診断者が44名であった。そのうち19名の甲状腺がん摘出手術が終了した。摘出された甲状腺の組織標本の病理検査の結果、18名は乳頭がんであることが確定し、1名は良性結節と診断された。この18名の乳頭がん確定者から、統計処理をすれば有意な結果になるであろうが、統計処理に関する言及はなかったようである。

残りの25名の診断者について手術予備群と見なすことができるが、今回までの細胞診による誤診率は低く19名中1名なので約5%なので、残りの25名からは24名の、確定者が類推できる。従って、現時点における確定者は42名になることが想定される。

2年目の時点でチェルノブイリと比較できないほど大量発症したのにチェルノブイリは4年以降だからという理論は世界に通用しないのは自明である。
オーストラリアのカルディコット小児科医のように計測できなかった被ばく量が多かったからと考えるのが自然の解釈であろう。

今回は更に年少の事故時6歳(検査時8歳)の女児が悪性と診断された。この年代の子供が甲状腺がんになる確率は1000万人あたり、3人しかない。<この出典を失念しました。まっちゃんのブログhttp://ameblo.jp/misininiminisi/entry-11596347134.html
では「原発事故前の小児甲状腺がんの統計によると、0歳〜9歳までの発症の割合は100万人に0人とのことですのでほぼ一致していると思います」

今回この年代の母数となった6歳から10歳の受診者数は50,421人だった。母数を1000万人に揃えると200対3である。この数字からだけからも異常な事態が起きていることが類推されよう。最も重点を置くべき統計処理をせずに、従来のチェルノブイリに較べて早すぎるというスタンスにいつまでもしがみつくべきではない。

非常に憂慮すべき事態であるのに、会議冒頭では国連科学委員会の委員が福島の子供はあまり被ばくしてないので心配はないというような話しがあり、真面目に聞く気にもなれなくなってしまった。

ヨウ素131の正確な実測資料がない以上(もしあるなら時間的、空間的な膨大な資料をまず公表しなければならない)何んヒトも外部被ばく量を正確に算出できない。
更に甲状腺への影響では内部被ばくの影響が何百倍も大きいのにこの面からの測定データもない以上、被ばく量の議論は時間の浪費に過ぎないであろう。

前回書いた郡山市の穿刺細胞診から陽性率が4割とも癌の疑いが出る率は例数が増えても16人から8人と50%もあり、非常に高率であり、憂慮すべき事態といえよう。

日本の未来を担う子供を絶対に守るんだという視点があれば、甲状腺がんに付随して起こる、リンパ節転移や肺転移を防ぐ視点に立った議論が盛り上がる筈なのに、個人保護とかの議論があり、視点がずれていると思った。

福島の子供検査を急ぐだけでなく、隣県も行い、その結果によっては関東、東北を、さらには全国規模の調査が必要になるかも知れない。

福島原発事故を起こした私達世代は、何もわからない子供達を守る責務を負っていると思う。その視点を欠く会議では未来の日本を守れないであろう。

参考資料(OurPlanet
1.Pdf文章
http://www.ourplanet-tv.org/files/20130820shiyo.pdf
2.報告会のTV中継画像
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1630

甲状腺癌は胎児性細胞から直接発生する説が世界的に有力

  • 2013/08/14(水) 16:13:43

涼しい地域から帰国したばかりなのでこの暑さは堪えるが、気になっていた甲状腺癌二次検査の進捗状況を早速調べた。

何故気になったかというと郡山市から442人の二次検査該当者を出しながら二次検査の修了者はたった5人しかいなかった。しかも二次検査終了者5人から陽性診断者が2人出た。 即ち、率では4割にもなる。少数例からの類推なので誤差は大きくなるが、この比率でもし甲状腺癌が発生すれば、郡山市だけから約180人に発生するので、大変な事態だ。

しかし、5月27日から全く進展がないことがわかった。検査が終了したのに発表されなかっただろうか?それとも検査自身が大幅に遅れているのだろうか?
しかし、その後の報告がないのでエビデンスに基づかないコメントはさける。

それで学問上の面から最近の動向を調べる。甲状腺がんの発生メカニズムは阪大の高野医師が(このブログのリンク、トップ)13年前に世界で初めて唱えた説(参考資料1)が、世界的にも主流の説(参考資料2、3)になりつつあるので紹介する次第です。

本説については1年位前私もちょっと書いたが、今回は詳しく紹介します。

正常細胞が癌化しただけでは正常細胞は影響を受けにくいが正常細胞への浸潤性や独自の血管網を構築できるような性質を獲得できると正常細胞が癌細胞に置き換わるようになる、これが従来から言われてきた多段階説である。

しかし、この説では甲状腺のように細胞がほとんど再生・増殖しない臓器からの癌の発生を説明できない。
これに対して「癌は分化した細胞分化が脱分化するのではなく、発生途上で出現する未分化な芽細胞が分化することなく遺残したものから発生する」とする「芽細胞発癌説(fetal cell carcinogenesis)」は有力になった。

更に、この理論で予測通り癌幹細胞(Cancer Stem Cell)が同定されたので世界的に広く認知されることになった。

更に高野らは
●穿刺吸引核酸診断法を開発した
(Aspiration Biopsy Nucleic Acid Diagnosis, ABND)
甲状腺腫瘍の術前診断法として、腫瘍を穿刺した検体より核酸を抽出して解析することより良悪を判定する穿刺吸引核酸診断法(ABND)を世界で初めて開発した。

参考資料
1. http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/labo/www/CRT/GCC.htm
2.甲状腺癌の芽細胞発癌の概念
  Takano T and Amino N: Endocrine J 49, pp97-107, 2002
3.癌は胎児性細胞から直接発生する
Takano T and Yamada H Trefoil Factor 3 (TFF3): A promising indicator for diagnosing thyroid follicular carcinoma. Endocr J 56: 9-16, 2009 http://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj/56/1/9/_pdf.)

4、Nature Reviews Endocrinologyで甲状腺癌の新しい発癌モデルとして紹介
Lin RY, Thyroid Cancer Stem Cell, 7:609, 2011

健康管理調査検討委員会はゴメリ以上の発生率でも被ばく影響否定

  • 2013/06/06(木) 01:01:58

今日開かれた福島県健康調査検討委員会(参考資料1)で福島県の子供17万5千人から甲状腺がん最終確定者12名、甲状腺穿刺による病理学的診断で15名(一般的な診断精度は90%)出たと報告された。これはチェルノブイリで最も甲状腺がんが発生したゴメリ地域の4,5年後における発生率より60%も多かった。
従って、今度こそ被ばく影響を認めるのかと思ったら、測定機器が向上したので、福島の2年後はチェルノブイリの4年後よりはるかに速いかの如き質疑もあったようで吃驚仰天した。
というのは一般的に固形がんが倍まで増殖するのに要する時間(倍加時間)は2,3ケ月なので2年も経てば約1千倍にもなる。
その上、測定機器の精度というが、B判定者は5.1mm以上の結節を有するものである。チェルノブイリ時代にも5.1mmの結節の大きさは測定できていた。

甲状腺がんの発症率が有意か否かの判定は統計学で自動的に行うべきものである。

私が所属していた学会では、目的とする影響(今回は被ばく影響)があるか否かの判定を行う場合、統計学者もしくは統計学に精通した専門家も加わり試験計画書に統計学的手法を詳述した。
従って、その計画書に従って統計専門家が統計処理し、検出力(P)で有意差があったかで判定された。
議論の対象は個々の症例で統計処理の対象に入れられない正当な理由があるかなどである。
また総合的な判定は、データのバラツキそのほかを勘案して当初の判定に予定した検出力(P)の数値だけでなく、別のp値を使った方がよいとの議論がされることはあっても、最初の試験計画書で行われた計算値は報告書から消えることはない。

これも甲状腺エコー検査の目的が県民に安心を与えるという記述だけであるが、その前提は被ばく影響がなかったという証明の上に成り立つのは自明であろう。

5時間ほど前の19時のNHKニュースで甲状腺がんの報道があるか興味を持ったがなかった(夕食中だったので)ようである。

統計学の暗黒時代はいつまで続くのだろうか? 
10万人の甲状腺癌が発症しても日本固有の国民病ということになるのだろうか?

参考資料
OurPlanetTV ch1 で映像で見れます。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1594
福島県「県民健康管理調査」検討委員会(150:57)

NHK「あさイチ」で甲状腺疾患は「知られざる国民病」と紹介

  • 2013/05/25(土) 21:48:45

5/23のNHKで、甲状腺がん、バセドウ病、橋本病についての特集があった。

思えば、一昨年の「あさイチ」では各地域の1日に摂る食事に含まれる放射性物質のセシウムと放射性カリウム40を測定した検査報告であった。放送の目的は福島のヒトが食べる食事に含まれる放射性物質の量を日本各地での場合と比較した結果、福島も各地での放射性物質の量は変わらないというものであった。よって福島は安全と宣伝したかったようである。確かに放射性物質の基本的性質を知らないヒトに対しては目的を達したかもしれないが、放射線の基礎知識のあるものには驚愕する内容であった。
何故なら、セシウム134と137の比率は当時ほぼ1対1であったのに137だけある家庭や逆に134のみの測定される家庭もあった。 
非放射性カリウム39が呈示された飲料水の放射性カリウム40の測定を行い両者の濃度のかい離はすさまじいものであった。また人間はカリウム40の摂取量に関係なく60kgの人なら4000ベクレルを示すので何のために測定するのかも不明だった。よって、NHKの目的は福島の食品の安全性を強調するために考え出されたと想像した。この考えも非科学的であり例えば野菜ならば土壌の汚染度と相関する筈である。 

今回の放送では甲状腺異常には甲状腺ホルモン分泌の亢進や減少といった直接影響のある変化以外に形態的な変化もカウントすれば増えるので自覚症状など、なくても500万人と数えることは可能であろう。
しかし、「知られざる国民病」というネーミングをこのタイミングで選んだ理由は次のようではと想像した。

NHKはまだ福島の子供の甲状腺がんについての報告をしてないが、子供の甲状腺がんは増え続けて(#1に解説する)おり、いつまでも隠し通せるものではないので、公表後の軟着陸のために考えられたように思える。
甲状腺異常について、大人と子供では経過が異なるのに、大人では進展も極めて遅い例もあり、また良性腫瘍で終える例も結構ある。ところが子供の場合、5mmを超える結節があれば4,5人に一人が癌化することがイタリアの小児病院の報告からもわかる。
従って、大人の甲状腺がんと、子供に起きた場合には別の臨床経過をたどるとだみなす方が自然な考えである。

#1:福島県の子供の甲状腺検査のエコー検査を2011年度3万8千人に実施した結果、10人が甲状腺がん<今年アメリカで山下教授は10名の癌と報告>であった。一方、チェルノブイリの発症時期が4年だから原発事故の影響とは考えないと福島医大のS教授は発表した。
2012年度は9万5千人の一次スクリーニングを行い、549名がB判定となり、その後の検査から細胞穿刺も終えた筈であるが報告がないので真偽は不明である。私が2011年度の結果と同率で発生すると仮定して計算すると、この中から35名の癌が予測された。

2013年度は第一陣としていわき市の久之浜・大久地区、川前地区の小・中学性342名(参考資料1)から始まった。いわき市はヨウ素131のプルームが通過した地点のため、ここの結果が悪ければ茨城県、千葉県、埼玉県、東京の順に強い影響を受けるであろう。
少ない人数なので今後ブレもでるであろうが、B判定(5.1mm以上の結節)が3名(0.9%)で昨年度の0.5%より増加している。
子供がB判定になった場合には4ないし5名に1人ががん化することは海外でも認められている。いわき市で検査する子供は6万人なので、粗い推測であるが、あえて、この方法で予測すると120人となる。1〜1.5年もすれば確実性は上がる。しかし、そのときまで待っては、次の行動が遅れるので、茨城県は実施に向けた着手を始めるべきだ。

         参考資料 
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/dbps_data/_material_/localhost/01_gyosei/0130/250507shiryou.pdf

HOME |