低線量内部被ばく問題への対策こそ重要

  • 2011/05/22(日) 17:10:07

放射線障害は主にDNA損傷によってもたらされる
DNA損傷には3種類あるが、塩基切断と1本鎖切断の場合には対の1本が残るので修復は容易である。
ところが、2本鎖切断(DSB)の場合には元に修復するのが難しく、癌や遺伝病を引き起こす。以前は、高線量被ばくでは、損傷の程度が大きく、修復が困難であり、低線量被ばくでは修復が容易と考えられてきた。
ところが最近わかったことは、高線量被ばくでは効率よく修復できる機構(修復できないほどの損傷ではアポトーシスという機構で細胞死により徐去される)を備えているのに、1mSvの低線量被ばくの場合には、 逆に修復が遅いことが分かってきた。低線量被ばくの場合には、細胞分裂しない場合にはそのまま修復されることなく何日間もそのままの状態におかれることがわかった。
具体的数値で書くと、被ばくの瞬間に生じるDSBの数は被ばく線量に比例してできる。ところが、ある時間の経過後に残っているDSBの数は被ばく線量には関係ない。つまり1、2、5、20、200mSvの被ばくによってできるDSBは線量に応じて増えているが、DSBが多ければそれだけの数が速やかに修復され、結局、24時間後に残っている数は、いずれも細胞あたりDSB約0.1個(10細胞あたりDSB1個)という結果となる。低線量領域における実験では、線量の強さとの量的関係が存在しないことが明らかになった。
何故こんな細かなことまで書いたかというと政府の考えは、冷戦時代から続いてきた物理学者を中心としたICRP(国際放射線防護委員会)をよりどころにしているからである。
広島や長崎原爆にみられた高線量で主に外部被ばくであるモデルからの思考では、今回の低線量で内部被ばくが中心で起こる福島原発問題には適合しないことはやがて明白になるであろう。

<引用はご自由に>

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