ECRRのレスポス宣言への経緯と要旨紹介

  • 2011/06/30(木) 05:33:27

2009年5月ギリシャのレスポス島で開かれた欧州放射線リスク委員会にて出された宣言である。欧州という名前はあるがヨーロッパ以外にも日本、アメリカ、カナダからの参加もあり17名の委員が署名した。
ICRPが原子力兵器産業ならびに原子力発電業者および行政が加わり、国際的な取り組みを行うところであったので、放射線被ばくの健康被害面に関しては常に低く評価する体質があった。
そこで市民団体、医師、生物学研究者、統計学者も加わり欧州放射線リスク委員会が設立された。
設立当初こそ.国際放射線防護委員会(ICRP)に対する攻撃的な言動が目立ったが、その後欧州以外からも加わり、最近では放射線被ばくに関する世界標準者としての自信に満ちた言動をするようになった。<原子力産業を持たない発展途上国の多くもこの考えである。>
以下本宣言を読んでごく短くまとめてみた。

#序論として、ICRPリスク係数は特に胎児や幼児期での解離が著しい。
ICRPリスクモデルは、DNAの発見や、放射性核種のDNAに対する化学的親和性や、遺伝子情報伝達メカニズムのわからない時代に考えられたため、事故後の直接被ばくにも、内部被ばくにも、効果的に適用できないことがわかった。

#要旨
●ICRPリスクモデルを採用で10倍の誤差を生じた研究例もあった。
●放射線ひばくで発がん性だけが問題にされているが、そのほか心臓血管、免疫、中枢神経、及び生殖系への影響が明らかに認められた。しかし未だに量的な関係が不明である。
●予防的アプローチを採用し、十分に予防的なリスクモデルが他にない場合には、予備的 ECRR 2003 リスクモデルの採用を奨める。
●過去の被ばく生存者(日本原爆、チェルノブイル、そのほか)集団における体内被ばくデータの再検証を要求する。
●被ばくした個人が被ばく量やその影響について知ることは人権上の権利である。
<引用はご自由に>

福島全県民被ばく調査開始にあたり

  • 2011/06/28(火) 22:49:13

ホールボディカウンター(WBC)による内部被ばく検査と体の表面の汚染検査と尿の放射性物質を実施とのことだった。
あまりにも遅すぎたが、被ばく調査を開始し、今後30年間実施ということでほっとした。

既に100日も経ち、爆発直後時大量に浴びた放射性ヨウソ素はほぼ消失したのでいずれの検査でも不検出は間違いないであろう。
原子炉からは今も放射性ヨウ素が放出されているので海藻摂取などによる新たな内部被ばくのチェックには有用である。

放射性セシウムの生物学的半減期は100日前後なので丁度半分量になった頃なのでこのデータの入手は時期的にも間に合った。

爆発直後に多数の核種が放出されたので特にガンマー線を放出する新たな核種が検出されれば貴重なデータとなろう。

アルファ線、ベータ線はWBCではまず検出されないので、尿検査に期待しているのだろうか?
尿で検出されても核種の推定などできないが、次の検査ステップへの展開の参考資料となろう。

測定された結果はかならず、定量的に記載していただきたい。すなわち測定された数値を記録し、検出なしの場合でもゼロ表示や検出されずの表示でなく。検出限界値を書きそれ以下と表記していただきたい。
測定条件など長い年月が過ぎればわからなくなる。何十年後の統計解析上も必要だし、個人にとっても重要な意味を持つ可能性を生じることもあるので重要であろう。
あまりにも細かすぎることを書いてしまったが、一時期水道水結果も基準値に合格か不合格かの表示だけ、野菜など今でもそのような表示が多いのでつい気にしてしまった。

ヒット商品は有望技術に新規ソフトを複合させ誕生

  • 2011/06/28(火) 16:36:33

最近シリコンバレー発アイディアにより、電気自動車の普及が従来考えられていたよりスピードアップするとのことだった。
アイディアは素朴な簡単なことである。電気自動車のコストの半分は電池代であるのでその解決(それと充電時間を省く)が普及のカギを握っていると考え、携帯電話の支払い方法を取り入れた。すなわち充電池ごとに取り換えるシステムで走行距離によって料金を払うので車の購入価格は半額になる。アメリカでの環境自動車大賞には電気自動車の推進に大きく貢献した自動車メーカーでなくて充電インフラ企業が受賞した。
アメリカで2015年に100万台の電気自動車普及という目標を立てた時、その目標達成に最も寄与したということに判断基準があったと思う。しかし、日本ではインフラ屋が選ばれることはなかったと思う。

同じくシリコンバレーの勉強会でアメリカ政府の最高技術責任者が今後ITを使った健康管理、医療情報のデジタル化を促すと話した。そういうことから今後の有望技術はヘルスケア、IT、ナノテクの交差点から出てくるだろうとのことだった。

昨年日本でもヒットしたiPadはタブレット型パソコンの魅力だけでなく、何百万というソフトをiTuneで結びつけ、利用可能にしたその複合力にあったと思う。
その影響はゲーム業界のみならず、本屋、CDなど広範囲な業界に及んだ。

以上3つのエピソードに共通するのは物作り技術とソフトの融合であろう。

ついでに付け加えるならば、機械的速度が単に世界一早いというだけより、汎用性タイプなら多用途にソフトに対応できるとか、コンパクトなコンピューターな場合でも特徴あるソフト機能を有し、ある分野の計測に関しては迅速で正確な機能を発揮できるようなものが求められると思う。

IC業界も微細化が進み量子力学の領域に近づきつつある。ブレークスルーするためには量子科学者の参加が必要になろう。
ナノテクノロジーからは想像できないような優れた性能を持つ物質が誕生するように思うが、放射性ニ酸化ウランのナノ粒子のように3千倍も毒性が強くなるケースもあるので、プラス面からだけでなく毒性面の検討も必要だ。

<引用はご自由に>


放射能汚染水の海への流出の影響

  • 2011/06/27(月) 23:43:13

福島汚染水を太平洋に流出させれば海水で薄まるので安全になるとの説明を良く聞く。
確かに太平洋は広く、深く、そこには地球上に存在する水の1/3(6.2億立方キロメーター)もあるので計算してみた。

まず立方キロメーターと言われても実感がわかないのでリットル(L)に換算すると62000京リットルになる。

最小のケースと起こりえる最大のケースを想定しておけば、現実に起こることはこの間に入る。

まず最小のケースを計算するが、これは現時点で放出された量である。
既に空気中から77京レベル放出され、このうち大部分は結局海に流れ、海へ流れた量しかし、福島の海水は銚子沖で暖流とぶっかると向きを変え、アメリカの方向に向かうので海流が違えば混合も起こりにくい。更に深海と表層の水の動きも違い、また北半球の水が南半球と交わるのもゆっくりと起こるので、大平洋の海水が完全に均一化するのには1000年かかるといわれる。

もうひとつは生物濃縮でプランクトンからコウナゴの様な小魚、中型魚、大型魚と生物濃縮がおこり、拡散したものが収斂していく現象も起る。
今まで排出された放射能汚染水だけでも、既に史上最大であり、アメリカを初め世界の海洋生物学者がいくつかの調査船を出す予定であり、秋ごろから調査報告が入手できそうである。

次に実際に起こるかも知れない可能性を無視し、最大のケースを想定する。
この場合は核燃料の絶対量から計算する。チェルノブイリ原発の核燃料が10トンに対して福島第一原発の1−6号機(燃料棒5042本)および共用プール(燃料棒5400本弱)には使用済みを含んで500トン<因みに広島原発50kgで核分裂したのはたった1kg>もの核燃料があり、50倍になる。従って、チェルノブイリの520京の50倍は26000京である。

このケースで計算すると、太平洋の海水1Lには0.4ベクレル含まれる。
アメリカの水道水基準では0.11ベクレル/L なので基準を超える。更にアメリカ西海岸まではあまり希釈されないので、二桁くらいのベクレル値もあり得よう。
アメリカ西海岸はパニック状態になるのは間違いないであろう。
このレベルになれば太平洋全体への海洋生物への深刻な影響も出よう。

太平洋の海水は膨大なので、現在までの放出量では完全に薄まれば濃度上から問題ないと考えられる。しかし、海水の動きは複雑で海流ごとに別々の動きをするので濃度の偏りがいつまで続くか不明である。一方、魚などによる生物濃縮という収斂方向の動きもある。その影響はこれから何年にも亘り、徐々に明らかになっていく状況なので、これ以上海への放出を何としてでも阻止すべきである。

<引用はご自由に>

内部被ばく問題はICRPモデルでは解決できず

  • 2011/06/26(日) 08:53:47

我が国の政府、専門家、メディアの放射線被ばくに対する考えはICRPモデルに全面的に依存している。ところがこのモデルはイギリスのセラフィールド海岸での低線量被ばく問題に全く無力であった。
それは当然であった。それは欠陥の理論だからである。

その理論に基づいた新聞社の間違いについては、鼻血および下痢の項で具体的にブログにて指摘した。
しかし、今回は理論に共通した間違いを指摘したい。ということは我が国の政府、専門家、メディアの放射線被ばくに対する考えそのものが、現在の医学・生物学の知識から時代遅れになっていることを意味する。
私たちはまるでガラパゴス島に住んでいるようだ。観光客誘致の基本はまず認識のギャップがどこにあるかを知らねばならない。

現在の放射線被ばくに関する世界共通の認識はECRR(欧州放射線リスク委員会)の2010年勧告にある。なお、我が国からはこの委員会に澤田昭二教授しか参加されてないようで残念である。

DNAのメカニズムがまだよくわからない頃の、放射線に対する細胞内の生物的応答のほとんど知られていなかった時代に原子力兵器産業に携わる物理学者中心に作られたものであり、その後、原子力発電の推進者達も加わった。
新たに荷重係数という修正係数を導入することによって理論の正当性を裏付けようと考えたと思う。
しかし、基本的な思考において重要な二つ(●)の欠陥がある。
●全ての核種をエネルギーのレベルで等価として変換する。
●生体の構造は脳神経、筋肉、肝臓そのほか分化しているのに組織内に均一することにより、平均化してしまう。
このような二つの平均化により複雑な計算も可能になり、しかし、その利点のために本当におきている実態とかけ離れてはならない。直視しなければ実態であり、計算に優先する。
この荷重係数は年齢によって変わり、一生の影響も加味されているような錯覚を与えるので私も当初信じてしまった。

この説明については私が書くより分かり易く、しかも図入りの資料がありましたので是非お読みください。
著者は琉球大学矢ヶ崎教授です。タイトルは国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告は内部被曝について評価する資格が無い
http://www.cadu-jp.org/data/yagasaki-file01.pdf

<引用はご自由に>

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