空気中の浮遊粒子の大きさと内部被ばくの関係

  • 2011/06/06(月) 16:09:33

内部被ばくは口より放射性物質が入るから作業員の場合、放射線防護特殊マスク着用で空気中からの放射性物質の体内への移行は遮断可能である。福島原発作業員が大量の内部被ばくを受けたとニュース聞いて、予想外のことが起きたとびっくりした。しかし、現場の作業員の実態について何も知らないので、コメントはしない。ここでは皆さんに少しでも役立てればと浮遊粒子と内部被ばくとの関係について私の知識を整理してみる。

内部被ばくとは空気中に浮遊する粒子に付着した放射性物質が気道から入る経路と飲み物および食べ物が食道を経由する二つの主要な経路がある。
空気中に浮遊する埃に付着した放射性物質は鼻、口、気道、気管、気管支を介して肺胞に到達する。
ここで粒子径が問題になる。粒子径が大きければ鼻や気道でトラップされるし、それより小さな粒子でも約3μm以上の粒子ならば気管支内面を覆っている腺毛の逆送運動によって喉まで戻され痰となる。従って、3μm以上の粒子は酸素と二酸化炭素の交換の場である肺胞までほとんど来ない。肺胞に達すると繊毛運動のような粒子を排出する能力はない。2μm以下の粒子のうち0.5μm以上の粒子は肺胞表面に沈着すると考えられる。0.5μm以下の粒子になると、空気中に浮遊したまま再び呼気として吐き出されると以前は考えられた。⇒追加:今でもそういうケースも多々あると思われるが、劣化ウラン弾のように高純度になると酸化物として超微細ナノ粒子となり、直接リンパ液に移行する。この場合、毒性の量的関係は3桁強くなり、質的にも出生時欠損(birth defect)なども起こり変わってくる。ナノ粒子の毒性研究は今後急速に進展すると思われる。

肺に沈着した0.5ー2μmの粒子は白血球の一種であるマクロファージなどにより取り込まれ、処理される。その処理されたものが、漿液に溶解すればリンパ液や毛細血管に入り肝臓で分解されるたり、腎臓から排泄される。不溶性の場合には移動のメカニズムもわからないほどゆっくりと動き、排出には数年かかることも多い。
今まで書いたのは粒子の径の違いによる一般論であり、具体的には個々のケースで違う。0.5ー2μmの粒子であっても小麦粉粒子の場合には影響はあまりなく、金属粒子のほとんどは非常に有害である。

放射性物質の付着した粒子について、ヨウ素131は半減期が短いので問題にならないので省く。セシウム137およびストロンチウム90の半減期は約30年、プルトニウム239では2万年以上であるので、いったん取り込まれれば後はどれくらいの時間で排泄されるかの生物学的半減期が問題になる。
ところがセシウムの担体となった粒子は主にどのくらいの径でその成分は何か、ストロンチウム90やプルトニウム239の濃度など一切報告がないので、具体的なことは書けなく、ポイントのみ記す。

セシウム137はβ線崩壊した後すぐγ線崩壊をする。直接被ばくではγ線障害を主とみなすが、内部被ばくでは透過性よりエネルギーの影響が大きいことからβ線が問題になる。すなわち、沈着した周囲の肺胞のDNAが損傷を受ける。プルトニウムはα粒子を放出するので直接被ばくでは紙でも防げても、もし肺胞細胞に沈着すればμmの近さに近傍の細胞があるわけで、ヘリウム原子核そのものによる影響は大きい。これらの大きな影響とはいずれの核種でも肺がんの誘発である。
<引用はご自由に>

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