海外の高速増殖炉開発ニュースを流すメディア

  • 2011/09/16(金) 21:53:37

今月になって産経新聞は2ケ月遅れの中国の小さなニュースを「中国初の高速増殖炉が送電に成功」とあたかも中国で高速増殖炉の開発が進んでいるような、印象を与える記事を載せた。
高速増殖炉の商用までの過程には5ステップあるが2ステップの実験炉が昨年成功した。その電力を7月になって外部電源網に繋いだだけだった。従って、今回の報道は街の電気工事屋並みの些細なニュースと思う。

高速増殖炉の実用化までには後3ステップで必要であり、続行したとしても実用化は30年くらい後かと想像するが、私はこれで打ち止めになると思う。金属ナトリウムを高温にして液体状態にし、極めて反応性に富む(わずかな水とも激しく反応)物質の制御が如何に困難かという問題もあるがもっと別の大きな理由がある。

今年1月中国科学院が中国の“戦略的・先導的科学技術特別プロジェクト”としてトリウム溶融塩原子炉の開発プログラムを発表した。
このプロジェクトの責任者、中国科学院、上海応用物理研究所の徐洪傑は次のように述べた。

「現在の原子力エネルギーシステムはウラン-235 を燃料としているが、その埋蔵量は少なく、石油・石炭など化石燃料と同時期に枯渇が懸念されている。将来のエネルギーの柱をトリウム原子力発電にすれば、中国にあるトリウム埋蔵量だけで1000年使用でき、十分な電力供給と炭酸ガス排出削減の両立も可能となる。」

因みに1トンのトリウムは200トンのウランあるいは350万トンの石炭と同じエネルギーを発生させる。

ウイキぺディアによれば、トリウムは転換(増殖)できるため燃料の減りが少ない。溶融塩炉で利用した場合、気体核分裂生成物を運転しながら抜くことができるため、一次系の溶融塩中の核分裂生成物が増えて中性子を吸収するまで長く運転できる。溶融塩原子炉との組み合わせは、燃料交換なしで最大30年連続運転が可能と言われている。したがって燃料交換回数が減り、再処理工場の処理量を減らすことが可能となる。

プルトニウム発生量は、年間100万kwのウランを使う軽水炉で約230kgに対して、トリウムは約0.5kgである。このように廃棄物中のプルトニウム発生量が少ないため、核兵器に転用するのが困難であり途上国への導入も期待される。

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