魅力的だった高速増殖炉は事故続発で世界は見切りをつけた−3

  • 2011/09/21(水) 10:11:14

3.高速増殖炉断念後、各国の目指す方向(私見)
●アメリカ:原爆製造技術でトップ走る米国は、高速増殖炉の廃炉を17年前に決定した。もし、本炉に未練があるならフランスのようにMOX燃料へと一歩後退して新たな道を選んだと思う。福島3号機ではMOX燃料を使っていたので炉の事故状況の予測を経験がないため、できなかったそうである。

父ブッシュ大統領は試験運転で安全性が極めて高いことが実証されたトリウム型原子力発電を選択しないで、軽水炉型原子力発電を採用した。当時は米・ソ冷戦時代ということが背景にあり、ウラン型原子力発電により産生したプルトニウムから原子爆弾を作れることが選択の最大の理由であった。

軽水炉もスリーマイル島事故を契機に反対運動が高まり、新規原子力発電所の新設をストップしてきたので新規建設が30年も中断している。順次廃炉になり減少するので、軽水炉の新設も再開されるかもしれないが、やがてアメリカ自身が初めて開発したトリウム型原子炉に切り替わっていくように思う。

●イギリス:高速増殖炉の計画はなく、特に新しいタイプの建設計画もない模様。

●フランス:原子力発電比率が70-80%と世界で最も高い国であり、軽水炉のほかにMOX燃料を使うプルサーマル型を使っている。なお、本シリーズの第一回目に高速増殖炉のステップ3まで行ったと書いたが臨界に達したという意味だけで、出力制御が理論に合致しなかったし、新たな理論式も導きだせなかったので本当は失敗したと見なすべきと思う。

現在はアレバ社が中心になって進めている核融合型炉に期待している。
核融合炉型とは太陽と同じように超高温度にして水素などの軽量原子を重合させ、その時に発する熱で発電する方式である。超電導磁石に電流を流し、磁場で閉じ込められた空間内に超高温(1億度)を作るようだが、1秒間持続させることが最低条件だが、何十年もかかったがやっと光が見えてきた段階のよう。まだブレイクスルーしなければならない技術も多々あるかとも思うが成功するならフランスが一番乗りは間違いないであろう。

●ドイツ:福島事故を受け、全ての脱原発の廃止を正式決定した。先日、日本でいえば東芝のような電気メーカーのシーメンスは政府の脱原発方針を受け原子炉メーカーとして廃業を宣言した。
現在でもバイオマスだけで10%の発電能力を有す。熱効率が70%もある最新のガスタービン方式を当面建設するが、バイオマス、風力発電と太陽光発電、水力発電、火力発電などにより予定通り2022年全ての原子力発電所を廃止できるだろう。

しかし、国民は脱原発が経済疲弊を齎すのでなく、自然エネルギー産業のパイオニアになるという意気込みがあるようで、いつかこのブログでも紹介したい。

●イタリア:原子力発電国だったがチェルノブイリ事故後国民投票を実施した結果反対が多く廃止になった。。現政権が原子力の再導入を目論んで国民投票をしたら反対が圧倒的に多く、原子力発電炉の建設ができなくなった。

●中国:現在、火力発電が8割も占める。原子力発電は2%未満しかない。
中国は今後トリウム溶融塩原子炉開発に最重点を置き開発するので特徴などを説明する。
「トリウム-232をフッ素と結合させたフッ化物塩を、溶融塩に溶解した状態で燃やす。丁度、地球内部のマグマに少し似た状態となった“ストーブ”の中で燃え続け、絶えず巨大なエネルギーを出す。液体燃料の原子炉ということになる。

この炉の構造が簡単で、長期連続運転が可能で、生じる核物質も次々に燃料とするので雑食性が強いともいわれる。しかも、小型化でき、一定量の核燃料を装入すれば数十年の安定運転ができる。さらに、核廃棄物もウラン型原子炉の1000分の1になる。
福島事故を参考に原子力政策を現在見直し中なので大幅に変わることもあり得る。なお、9/16日付けブログも参照してください。

●インド:国内にトリウム埋蔵量が多いためかトリウム原子炉の最先端国である。 昨年トリウム原子炉型が2基完成し、合わせて4基の商用炉が完成し、営業運転している。今後更に増えると思う。しかし、2酸化トリウムペレットを核燃料とする方式であり、四フッ化トリウムを溶融塩原子炉で利用する中国方式とは別のタイプである。

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