福島県民健康調査、WBC検査結果からの提言

  • 2011/10/22(土) 15:37:43

今日の新聞によれば<健康調査で6月27日福島県は20日、東京電力福島第1原発事故を受けた内部被ばく検査で、双葉町の男児2人の内部被曝線量が生涯で3ミリシーベルトと推定されると発表した。県は「健康に影響が及ぶ数値ではない」としている。 県は2人の年齢を明らかにしていないが「4〜7歳」としている。
 原発事故で被曝リスクの高い地域を中心に内部被曝検査を進めており、今回の2人は、6月27日〜9月30日に検査した13市町村の住民4463人のうちで最高値。他は2ミリシーベルトが8人、1ミリシーベルトが6人、1ミリシーベルト未満が4447人>

6月から始まったホールボディカウンター(WBC)検査で実施者が4463名とは余りにも少ない。このペースでいけば100年かかっても終えない。
できれば年内、遅くても来年3月に終えなければ、放射性物質はほとんどが排泄済みとなり、測定の意味がなくなる。一刻の猶予もないほど緊急を要する。

そのためには検査法を現在のWBC法から尿検査法に切り替えれば、多人数を同時に、安価に行え、WBCでは測定困難な赤チャンも幼児も行えるといった数々の利点がある。

なお、検出限界は1ベクレル/Lが望ましいが、時間がかかるなら2ベクレル/L
位に挙げても良いがそれが限界である。6ベクレル/Lは膀胱が前癌状態になるのでその1/3くらいの濃度はつかむ必要があろう。この方法を採用すれば年内にも終了可能となろう。

WBCを実施するなら、現在の様に千葉県などに行って測定するのではなく、ベラルーシで使っているようなバス搭載型WBCを早急に作り、市町村に出向き測定できるようにすべきである。尿検査である程度以上のものを放射線医学研究所などでも測る方向がよいだろう。

次に測定結果は実測値を提示すべきである。セシウム134と137のベクレル値と体重を示すべきである。ミリシーベルト表示はあくまで参考値でしかない。内部被ばくにおいて、ICRPモデルは300-900倍の誤差を生じる。日本での裁判例はないが、アメリカやイギリスの裁判において40連敗中の式を使うべきではない。

生涯3ミリシーベルトというようにどうしてもシーベルト表示したいなら、その計算式も示すべきである。何故なら子供の半減期は短いし、また子供の場合の預託線量も年齢によって変わるので、シーベルトだけの提示では実測値がわからなくなってしまう。

測定された数値は各個人に提示することは当然である。

精子の被ばくによる子世代のDNAへの影響

  • 2011/10/22(土) 00:29:21

タイトルには放射線の生物への影響はDNAを介して起こる−4
サブタイトルが精子の被ばくによる子世代のDNAへの影響ですが、索引Index上サブタイトルとタイトルを入れ替えることにしました。

不妊原因の推定ができるようになってから数十年前までは、不妊の原因で精子側に問題がある夫婦の率は約2割だった。しかし、その後男性側の原因が多くなり現在は五分五分となり、この傾向は今後も続くものと予測されている。従って、不妊とは多くは男性側に原因だという時代がくるものと予測されている。
この原因は、50年前と比較すると男性の精子数が半分となり、精子の活動性が低下し、形態異常な精子の比率が増加したためである。

しかし、どうしてこうなったかについては環境ホルモン(女性ホルモンと構造が類似)による女性化、米・ソ核実験競争時代の放射性物質の影響とか、携帯電話やリモコンによる電波とか、喫煙、精神的ストレスとか諸説あるがはっきりしてない。

一方、哺乳類動物の精子が変化したという報告はない。従ってヒトにだけ起きているが、日本だけでなく先進諸国共通に起きている現象である。そのため、国際的に研究する会議「男子をなかだちとする発達毒性に関する国際会議、Conference on Male-Mediated Developmental Toxicity」も10年前から開催されるようになった。そのうち、原因が解明されることを期待する。

いずれにしても人間の精子の近年における劣化は著しいので、放射能などによるひと押しの影響も甚大なものになるであろうと卵子に対する影響より先に書くことにした。
前置きが長くなってしまったが、まず受胎とともに始まる精子の誕生までの長い道のりを述べ。精子が放射線被ばくを受けた場合の子世代への影響についてチェルノブイリの結果について述べる。

まず受胎後から出生前までの期間について、卵子と精子の合体した3週間以降に卵黄嚢壁に成熟生殖細胞が出現する。< (参考資料1.の図1−7)>
その後、これらの細胞は第4週末〜第5週の初めに原始生殖巣に到達し、中胚葉由来の隆起細胞より作られた男児なら精巣へ、女児なら卵巣へ移行し、原始生殖細胞(最近は始原生殖細胞ともいう)として誕生の時を待つ。従って、胎児が被ばくすることは、同時に孫にも影響が及ぶことを意味するが胎盤内にあるためか被ばくの影響は比較的出にくい(但し、内部被ばくはの場合はよくわからない)。

生後しばらくして原始生殖細胞は分裂をはじめ、精粗細胞となる。
精祖細胞から精母細胞への分化成熟は思春期以降に始まり,それ以降は間断なく続けられる。
精母細胞は減数分裂を行ない、半数体である精娘細胞となる。
精娘細胞は第2の成熟分裂を行ない、精子細胞となる。精子細胞は丸いので運動性がないので核は濃縮し頭部となり、オタマジャクシのような精子ができる。
以上のように、いくつもの変態をとげて精子ができる。

放射線の影響は細胞分裂の周期が短い、即ち増殖が盛んな細胞ほど影響を受け易い。またDNAが開き一重鎖の時が最も影響を受け易く、減数分裂も行う生殖系では特に影響を受け易い。またDNAは遺伝子そのものなので、その変化は何世代にも引き継がれていくことになる。

<新聞などでの放射線影響図で、胸部レントゲンあるいはCTの被ばく線量はいくらかと表示されている。しかし、放射線の影響が最も大きく出る精巣あるいは卵巣は含まれていない(乱反射というごくわずかな影響はさけられないが)ことから同じ線量を被ばくしてもその影響は小さいとみなせる。>

精子を介する遺伝障害について、放射線被ばくによる継世代影響は既に動物実験では証明されている。

ウクライナにて子世代のDNAに変化が起こることを中込先生が書かれていますので紹介します(参照資料2)。ヒトでもDNAは同じ配列が反復することが多い。ミニサテライトはサテライトよりもずっと小さいがそれでも数十塩基ほどの区間のDNAが、何回か反復したものである。反復回数の個人差が多いこと、回数が簡単にわかるのが特長で、また特に変化が生じやすい種類が知られているため、今回はそれらを選んで調べられた。

被爆した父の子は,ミニサテライトの長さの変動(反復回数が子では父と2-3回異なる)が見つかる頻度が,1.6倍に増えた。 被ばく二世DNAに,放射線によると思われる変化が見つけた。即ち、精子やその前段階の細胞の被爆で生じたDNAの変化が,子で見られたことを意味する。
ただし父が被爆した場合だけで母の場合がなかったがこの理由については次回書く。このようにチェルノブイリで最も問題なのは遺伝子障害による世代間に亘る影響と思う。
以上の理由で、原発作業者の場合、大量の直接被ばくを受ける可能性があることから、原発作業に従事する前に、予め精子を冷凍保存しておくことを奨めます。

高速ゲノム解析時代に突入した現在、ゲノム科学はものすごい勢いで進歩しており、放射線の遺伝子に対する影響の証明は疫学でなされるものでなく、具体的なDNA配列で示される時代になった。従って、福島の被ばく者においては現実(5年以内)になることは間違いないが、問題は被ばく量の検査がされてないことであろう。なお、甲状腺がんについては被ばく量が把握されてなくても指紋斑で因果関係を類推できるであろう。

参考資料
1. http://onodekita.sblo.jp/article/48387629.html
2.http://web.mac.com/nakagome1/iWeb/Site/4440B23E-F002-4547-84F0-F0B0DDD9BECF.html

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