福島原発事故後の人類への最も深刻な問題は遺伝子への影響だ

  • 2011/10/27(木) 08:51:38

タイトルの言葉は福島原発事故後来日したスイスのMartin Walter内科医の話した言葉である。また彼は「低線量被曝が遠い将来の世代に与える遺伝的な影響が大きな問題だ。これは人類にとっての倫理的問題でもある。」とも述べている。

前回日本人専門家が観察した、チェルノブイリ被ばく者の子供の遺伝子のミニサテライトが異常を起す旨書きました。しかし、説明が淡白過ぎて、あまり深刻には解釈できなかったかもしれない。この解釈を具体的に説明すると遺伝子が突然変異を起し、代々遺伝の法則によって受け継がれていくことを示す。更にいくつかの具体例で説明する。

チェルノブイリ原発事故処理でかなり被ばくした作業員が、その後結婚して生まれた子供は自身がほとんど被ばくしてないのにもかかわらず、子供の白血病が6-10倍も増加した。即ち、遺伝子障害を受けた精子を介して起こることを意味する。またロシアのDubrova医師はイギリスの科学誌(Nature:380:683−6,1996)にチェルノブイリのセシウム汚染地域のヒトに遺伝子突然変異が多くみられることを報告した。

またイギリスのセラフィールド にある使用済核燃料の再処理工場に勤務する人たちの子どもには白血病が多かった。その発症率は父親の吸収線量に相関していた。なお、子どもたち自身は放射線に被ばくを受けなかった。

以上のように放射能被ばくによって父親の優先遺伝子が損傷されると子どもに病気が現れる。しかし、劣性遺伝子が損傷を受けても表面的には何の異常も起きないが、子どもの遺伝子に受け継がれていき、後世代に、劣性遺伝子同士が結婚した時に初めて出現することになる。
このように両親の遺伝子の中で表面に現れるのは優性であり、劣性は現れないが、遺伝子プールの中に温存されて継代されていく。そして、将来劣性遺伝子同士が結婚すればその時に表面に出ることになる。

また一人の人間と別の人間は大体300万箇所(全部で30億個)違いがあるので、個人個人にとっての違いに神経質になることもなかろうかという考えも起きて当然と思う。その考えは被ばく者が少ない場合は何世代にも経る間に集団に埋没されてそのまま消滅してしまい、自然発生率と同様になるかも知れない。

ところが今回のような広範囲な被ばくを受けると、チェルノブイリの事故の影響を最も受けたベラルーシでは、25年経った現在でも「健康な子どもがわずか2割しかいない」という現実を無視できなくなるであろう。

まして、汚染食品や、汚染土壌を全国に均一にばら撒けば、発がん率に関しては確かに全国均一になり、訴訟はできなくなろう。しかし、それは補償費用の節減になるだけである。
もっと大きな問題は日本人全体の遺伝子プールの劣化であり、健康者が僅かになっては日本の衰退しかありえない。

ベラルーシでは放射線が高濃度に蓄積するキノコ類を常食していたので、日本は軽度であろうと想像するが、逆に魚を介するストロンチウム汚染の影響は大きい可能性もあり、日本人が現実を直視し、的確に対処できるか否かにかかっている。
今なら、まだ間に合うが残された期間は残り少なくなりつつある。
現状のまま、1,2年が経過すれば引きもどれない地点に至ってしまう可能性もある。<一定量を毎日摂取した場合、体内濃度[ベクレル/kg」のピークは1-2年後だが、3-5年後症状が出てから後悔しても間に合わないという意味である。>

超高速ゲノム解析時代(ヒトの全遺伝子解析が1時間100ドル)が3年以内に来ると言われている現在、結果の判定に何十年もかかる疫学は過去の遺物となった。
遺伝子解析で分かる時代になったことで、学者の見解が大きく異なることはあり得ない時代になることでもあると思う。

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