日本学術会議からの提言をメディアは無視した。

  • 2012/04/10(火) 18:51:06

4月10日の東京新聞朝刊を注意深く読んだつもりなのに、「放射能対策の新たな一歩を踏み出すために ―事実の科学的探索に基づく行動を―」という表題のもとに、6項目からなる提言の記事はどこにもなかった。

そこで、図書館に行き、読売新聞、朝日新聞、日経新聞をみたが、見当たらなかった。
毎日新聞だけが簡単に書いてあったが6項目の説明もなく、「除染帰還後も必要、5年継続で累積線量半減」という見出しの後にそれらの説明が主なものであった。完全に矮小化した記事であり、この記事を読んでも具体的な問題がわからず、福島原発事故の何が問題なのか論点もぼかされたと思い、残念だった。

例えば甲状腺がん問題に直結するところのヨウ素の内部被ばくついても次のように述べている。
「イ 事故後初期のヨウ素の内部被ばく
事故後 1 週間〜1ヶ月程度までは、131I の内部被ばく、外部被ばくの寄与が相対的に大きいと考えられるが、当時の大気中のヨウ素濃度、空間線量に占めるヨウ素の寄与に関する実測データが十分にはない。地域別の評価を行うには空間分解能の高いシミュレーションが必要である。また、事故直後に線量の高い地域の住民に対して行われた甲状腺被ばくの検査データ、ホールボディカウンター(以後、WBC†)による全身被ばく量の測定データなどについて、精査が必要と考えられる。なお、甲状腺という臓器固有の被ばく量(等価線量)と、全身について評価する実効線量を適切に使い分けることが必要である。」

46ページにもわたるPDF文書であるが、図とともに多くの参考文献も載せてあり、私も読んで勉強しなければない点も多々あります。皆さんも下記URLをクリックし、ぜひご覧下さい。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t-shien4.pdf

太平洋戦争ではメディアの言う通りに国民は動いたが、情報原は一元化されていた。現在はインターネット時代である。国民がメディアを動かすことも可能であろう。
メディアに脊髄反射(spinal reflex)の如く反応するのではなく、前頭前野(frontal cortex frontal area, ヒトとサルでもこの部位だけは大きく異なる)をフル稼働させて対処しないと福島原発事故は未曾有の大惨事に至る可能性がますます高まるであろう。

放射能対策はエビデンスの科学的探索に基づく行動を!

  • 2012/04/10(火) 00:54:36

タイトルは私のブログのモットーであるが、やっと日本の科学者達が立ち上がった記念すべき日である。
今日、4月9日、日 本 学 術 会 議 の東日本大震災復興支援委員会の16名の委員および26名の協力者の連携により、「放射能対策の新たな一歩を踏み出すために ―事実の科学的探索に基づく行動を―」という表題のもとに、6項目からなる提言(参考資料)を行った。
日本を代表する科学者たちによる合作であり、このような提言をまとめることができたことで日本の将来に明かりが灯ったように思えた。
政治家、メディア、企業関係者だけでなく、できるだけ多くの皆さんに読んでいただきたいと思う次第です。

提言1:
政府・自治体は、既に放射線被ばくを受けた人、特に子どもや胎児の健康を守るために被ばく線量の推定と住民健診・検診を継続して実施するべきである。またその実施のために、甲状腺超音波検査や血液検査のできる体制を構築し、さらに万一、健康異常を発見した際には、住民が速やかに適切な治療を受けられるよう、地域での医療体制を整えるべきである。

提言2:
政府・自治体は、住民帰還・除染作業などで今後起こりうるさらなる被ばくによって、累積被ばく量が健康に影響を与える可能性のある水準とならないように、住民帰還後にわたる除染目標の設定、除染作業の管理など適切な施策を実施するべきである。

提言3:
我が国の学術界は、発がん率、がん死亡率に関して放射線量に対する線量反応曲線を推定するための適切な疫学的研究を計画し、政府・自治体の協力の下実施し、その他基礎研究との統合的理解を図るとともに、その結果を速やかに住民の健康管理に反映させるべきである。

提言4:
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射能汚染の実態と健康被害をより正確に把握し、適切な除染と健康被害防止策を講じるために、我が国の政府と学術界が、放射能健康影響評価の全貌を把握する領域横断的研究体制を協働して構築することを求める。

提言5:
政府は、事故を俯瞰するのに必要なデータ、健康影響の推定精度に大きな影響を与えるデータの迅速かつ着実な収集の仕組み、ならびに多くの研究者が利用・分析可能な標準化された様式でデータを提供する公的な仕組みを確立するべきである。
 
提言6:
放射線量に関わる測定やモデルに基づく推定に関わる機関・研究者は、放射線健康影響評価の基礎数値となる様々な測定結果・推定結果には、不確かさ情報を付随させて公表することが求められる。また、不確かさ情報に基づいて、測定結果や推定結果の精度管理あるいは改善を計画し実施する必要がある。

参考資料: 
 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t-shien4.pdf

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