偉大な発見は素朴なエビデンスに基づく

  • 2012/07/06(金) 02:07:26

ニュートンは木からリンゴが落ちるというエビデンスから万有引力の法則を見つけた。このように偉大な発見は素朴なエビデンスから導きだされることが多い。

その意味において肥田俊太郎医師が原爆直下にいた夫(好運にも堅固な建物内にいて死を免れた)を探し求めて入市した妻が、探し回っている間に、放射線に被曝して死亡するに至った。この単純なエビデンスから肥田先生は「内部被ばく」という概念を考えられた。
この考えは、同医師による膨大な患者さんの診察からもゆるぎないものと確信されるにいたったようである。

先生の内部被ばくの概念は先駆的であったが、その後、低線量被ばくをサポートする数多くの知見が多くの研究者によって確立され、衆知のものとなった。

例えば細胞増殖サイクルとDNA損傷の機構<細胞に増殖にとって核のDNAが損傷していては複製などできるわけがなく、増殖は停止し修復作業が優先され、修復できなければアポトシス機構が働きその細胞は強制死に至る>こういう状態では低体重児の赤ちゃんの出生につながり、生まれた後では体重増加が極めて緩やかとなる。

従来想像もできなかったバイスタンダー効果という、被ばくした細胞の隣にある被ばくしない細胞までが影響を受けることがわかった。そのほかペトカウ効果という40年も前に発見されたエビデンスがある。それは液体の中におかれた細胞は高線量放射線より、低線量放射線を長時間照射することにより、容易に細胞膜を破壊できることがわかった。

ゲノム不安定性とか放射線誘導遺伝的不安定性とかいわれることは、放射線被ばくの傷を修復して生き残った細胞集団の中に、さまざまな遺伝的変化が放射線を浴びなかったときの数倍から数十倍も出てくる。<遺伝子の中にはこの不安定性が起こりやすい部分があり、その箇所はミニサテライト配列とかマイクロサテライト配列である。>
上記の現象はチェルノブイリの子供たちで観察されており、事故後26年にもなる現在でも、子供たちの健康状況が悪化し続けているのは、このメカニズムによるものであろう。

上記の現象は分子生物学者の常識であり、内部被ばくを無視しているのは原発推進団体であるIEAEやICRP関係者といった人たちだけのようである。

内部被ばくの要因は極めて複雑(放射性物質の種類、放射線の種類<α、β、γ線>、摂取ルート<消化管または肺>であるのに、ほとんど研究されてこなかった。
従って、内部被ばくと外部被ばくの定量的な関係は放射線核種ごとに主要なものだけでも何十種類にもなるであろう。もちろん新規萁奇なまだされてない新たな多数の実験が必要であるが、政府が音頭を取らない限り、実施を期待できる機関は考え難い。
こういう状況であるがザックっと推測するとしたら約100倍とみなしておくべきと思う。

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