自然界の放射性物質K-40と人工放射性物質Cs-137は比較できない

  • 2012/08/17(金) 22:41:56


前回、自然界の放射性物質と人工放射性物質の違いのないものとして、炭素14は自然界であろうと人工であろうと高速中性子が原子核内に入ることにより生成されるので、自然界も人工生成でも変わらない旨書いた。
更に不活性気体であるラドンは自然界にあり、崩壊時にα線を出す。キセノンは原発事故で放出される別の核種で、しかも崩壊時にβ線を出すという違いがある。しかし、両者は不活性気体という同じ性質を持っていて他の元素と化合物を作る性質がないために、被ばくで惹起される疾患は肺がんであるので、違いのない部類に分類される。

放射性カリウムと放射性セシウムの被ばく影響は同じだということをメディアから毎日のように聞かされているので其の真偽について調べた。

放射性カリウムは地球創生期にできたので、地球上に誕生した生物は誕生時から今日まで何十億年もカリウム(一定の比率で常にK40は含まれる)を必須な元素として利用して進化を続けて今日に至った。植物であろうと動物であろうとカリウムを利用しない生物は地球上には存在しない。

一方、放射性セシウムは67年前の原爆で初めて生物が遭遇した放射性物質であり、生物は対処法すら持ち合わせていない。

以上の歴史的事実から、自然界にある放射性物質での被ばくという十字架は全生物が背負い、その上に、足し算で今回の放射性物質による被ばく影響が加算されることをまずインプットすべきだ。
もう一つインプットしておくべきことは、今回の放射性物質の測定では、放射性セシウムと放射性ヨウ素の測定値だけでほかの放射性物質がほとんど測定されてないことである。昨年3月20日前後にはアメリカ西海岸で、過去20年来で最大量の各種放射性物質(キュリウム、プルトニウム、アメリシウム、ストロンチウム、テルルほか)が検出された。ということは放射性セシウムに加えて同時に未知なるα線やβ線を放出する物質に同時に被ばくする可能性が高いことである。

ただし、例えばカリウム40とセシウム137について具体的事例で書こうとすると比較研究がほとんどなく困った。医薬や農薬の場合には想定される毒性データは開発者が実施し、資料は揃っているものだが、原発の場合には、事故が10万年に1回という想定だったためか、実験研究がほとんどないことだった。今回は分量の関係で、物理化学的に面について説明する。

●K40の化学・物理的性質
カリウム40は地球誕生時に大量に生成された後、半減期が12.5億年のペースで減少し続けた結果、当初の1/12に減り、現在のような非放射性のK39に対する比率が0.0117 %の割合になった。空気中のアルゴンが宇宙線によりカリウム40に変わるが、その生成量はごく微量のため崩壊速度の方が早い。

カリウム40の89%はβ線(原子核から電子を放出)を出しカルシウム40となる。残りの11%は電子捕獲(電子を核に取り込む)によりアルゴン(不活性気体)になる。なお、電子捕獲による生物への影響に関する資料は見つからなかった。娘核種のアルゴンは不活性気体なので、肺から速やかに排出され、空気で希釈される。従って、このアルゴンが更に崩壊を続けγ線を出しても全体の11%であり、更に体外に出た後なので生体への影響はほとんど与えないと考えられる。
従ってカリウム40による被ばく影響はβ線によるものとみなせる。β線の飛程距離は短く水中でも数mmだ、高密度物質内では更に飛距離は短縮する。
従って、被ばく影響は、カリウムイオンが生体のどこに局在するかによって大きく変わる。

●Cs137とCs134の化学・物理的性質
今回の福島原発では137と134は同じ比率(1:1)で放出されたが、チェルノブイリ原発では137と134の比が1: 0.5であった。
この違いは事故が起こるまでの運転期間の違いが大きい。 137はウランの核分裂で生まれるが原子炉ではできない。一方、134は核分裂から生まれないが原子炉で次のように生成される。ウランが核分裂するとキセノン133 が生まれ、ベータ崩壊して安定なセシウム133となる。 この133が原子炉の燃料の中に置かれていると、核分裂の際に出てくる中性子を捕獲して セシウム134 になる。 だから134 の量は、原子炉の運転期間に依存している。
137と134の一番大きい違いは半減期の長さで30年と2年であるが、 人間の寿命から見てもこの違いは大きい。後半年たてば、事故後2年になるので、その時比率がチェルノブイリ原発事故時の比率の1:0.5となり、その後の減衰状況(137対134の比)は全く同じ推移をたどる。

セシウム137の崩壊は 半減期 30年 の速度でβ線を放出してバリウム137となるが、94.4%はバリウム-137m(137mBa、2.6分)を経由する。バリウム-137mからガンマ線が放出される。β線では測定しても核種が特定できないので、このγ線を測定してセシウムの量を測定したとされる。従って、3分未満の間に、β線およびγ線の2回被ばくすることになる。従って実際の被ばく影響の算出には2倍の係数かけるべきと思った:

被ばくの影響は、エネルギー量に比例するのでそれを規準に考えるべきであるが、これについては参考資料(1,2)でもそのように説明されている。

また、生成と崩壊に関する基礎的な両者の比較からだけでも問題点が浮き彫りになった。カリウム40はβ線だけの放出であり、娘核種はアルゴンなので、肺から空気中に出てしまい影響を及ぼさない。一方、セシウム137は電子線を出した後の娘核種はバリウムである。一価の陽イオンから二価の陽イオン物質に変わるのもあるがこのことは抜きにしても、僅か3分未満で二重にカウントするのはおかしく、2倍すべきである。

従ってK40とCs137の被ばく影響は放射線の種類が1種か2種かでも2倍以上の違いが生じ、それ以上の差はエネルギー量の関係でわかれるようである。

⇒英語の文献はウイキペディアの日本語版だけでなく英語版でもチェック(両方がねつ造されることはないという前提で)した結果、間違いとわかり削除しました。ご迷惑をおかけしました。

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