想像を絶する甲状腺異常に関する第3の関与は放射性セシウム

  • 2012/11/01(木) 14:42:24

福島の甲状腺異常はチェルノブイリでも見られない異常な早さで出現している.
また甲状腺の「のう胞」が大きく、陽性率が高いことが特徴である。<福島県民健康調査室がのう胞の判断基準を20mmという、子供で2センチという大きめな数値を決めたのは相当な議論の末に決められたものと想像する>

上記2点の特徴がみられる理由として最初に考えたのはヨウ素131の被ばく量がチェルノブイリの10倍ということであり、9/18ブログに書いた。

次に先週考えたのはヨウ素135による被ばくであった。高崎CBTBから当初発表された測定値があまりにも高かったために十分起こりえると考えたが、測定値の精度に問題あるとのことで灰色になった。ただし3号機の核爆発説は有力なので可能性がなくなったわけでもない。しかし、この検証は超寿命のセシウム135の測定により可能筈なのでヨウ素131大量被ばく説が否定された後で検討し始めればよいと考えた。

チェルノブイリの原発事故から1,2年後から小児甲状腺癌は徐々に増え始め、4年後から急上昇したが10数年後、いったんピークアウトしたかと思われた。ところが、事故から26年経過した現在も、小児甲状腺癌の増加が続いている。このことはヨウ素131だけでは説明できない。

何か別の核種を考えるべきと調べていたら、ポリティアーさんのもう1年以上前のブログになるが、そこにセシウム137がもっとも分布するのは甲状腺だと書いてあった。
何と私が既にパソコンにダウンロードしているニューヨーク科学アカデミー発行:チェルノブイリのヒトと環境に及ぼした大惨事(参考資料1)の中の本の
299ページの中の表(参考資料2)に掲載されていた。表の著者はBandazhevskyであり、事故翌年に死亡した子供の放射能を測定したものであるが、論文としての発表は2003年だった。チェルノブイリの子供を救おう会の代表である、久保田先生の訳された「体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響」に関する小冊子を事故後間もない時期に読んだ。私は実験者であったためか彼の仕事の欠陥が気になってブログにもあまり引用しなかった。当時、死後測定では動的なことはわからず、動物を用いてオートラヂオグラフィーによる測定とかすれば経時的な面からも明らかにできるのに残念と思った。漠然と日本では最先端のことが行われるものと期待していた。

しかし、今考えると、病理学者であるBandazhevskyは貧弱な設備のベラルーシで実によくやったと思う。何故なら、日本では東日本大震災により循環器病での死亡者が3倍になっても、体内の放射能も測定せずにストレスが原因だと推定している。
また多くの野生動物で高いセシウム濃度が検出されても、オートラヂオグラフィの測定が行われたとの報告も聞いたことがない。実験動物による放射線動態の研究報告も聞かない。26年前Bandazhevskyがしたレベルのことさへ実施してないのが現在の日本である。

ベラルーシ・ゴメリ州の子供(56人)臓器別セシウム137濃度の表
甲状腺 2、054±288(ベクレル/kg)
副腎  1、576±290
すい臓 1、359±350
胸腺  930±278
骨格筋 902±234
脾臓  608±109
心臓  478±106
肝臓  347±61

上記表から単位重量当たりではセシウム137も甲状腺にもっとも分布することがわかるが、最も低い肝臓と較べても6倍差しかない。一方、ヨウ素の場合には選択的に甲状腺組織に行くので2−3桁も違いがあろう。実際、ヨウ素製剤を被爆前に服用すると被ばく影響は1/3に軽減するといわれることからも分かる。ところが、ヨウ素131の半減期は8日なので1月で約1/15となり4カ月後は5万分の1となりほぼ消失する。したがって、原発事故後半年以上経って生まれてきた子供の場合、甲状腺癌になれば放射性セシウムの関与が考えられる。
大人の場合、初期に受けた被ばく影響から20年後に癌になることもあろう。従って、どちらかは分からないが、発症が遅れれば遅れるほど放射性セシウムの関与の比率がが高くなるとみなせよう。
よって放射性セシウムを甲状腺癌の3番目の原因物質とみなす。

参考資料
1.http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf
  <英語版でPDFですが無料でダウンロードできます)
2.Bandazhevsky,Yu.I.(2003) Swiss Medical Week,Vol.133,pp.488-490
  <上記本の299ページの引用されています。>

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