川俣町の子供は昨年6月から1年間に平均値で1.14mSv被ばく

  • 2012/12/11(火) 21:05:53

今日の福島民友ニュースによれば、<川俣町は9日、昨年6月から1年間を通じて町内の全小中学生、幼稚園児1329人を対象に行ったガラスバッジによる積算線量測定の結果を発表。平均値は1.14ミリシーベルト(自然から受ける平均線量を除く)で、全身に1度に浴びる線量が100ミリシーベルトを超えなければがん発生増加が認められないという国際基準を大きく下回っており、測定した近畿大は「放射線の影響は心配ない」と結論づけた。>と報道された。

この報道には問題が多いので個別事項ごとに分類し書く。
1.最も被ばくしたのは爆発事故から数か月であるので、6月から測定ではかなり低くなっているものと想定される。川俣町における空間線量の測定数値があれば、それ以降の川俣町の測定数値との比較から大凡の推定は可能であるので、事故後より6月までの被ばく量を算出すべきだ。また平均のバックグランド数値の根拠とその数値も示すべきだ。

2.全身に1度に浴びる線量が100ミリシーベルトを超えなければがん発生増加が認められないという国際基準を大きく下回っているという文章にはいくつものミスが重なっているので説明する。

2−1. 全身に1度に浴びる線量について:
放射線被ばくにおいて、低線量長期被ばくは加算されると言うのが世界の常識である。日本でも、食品安全委員会の意見交換会に出たこともあるが、当初は直接被ばくと内部被ばくを合算して一生涯に受ける被ばく量を100mSvと設定し、そこから年間1mSv案が出た。従って、この委員達の共通の認識は被ばく線量が加算されるということで一致していた。
なお、脇道にそれるが、食品委員会で現行の食品1kg当たり100ベクレルという基準が決まった経緯について説明すると、直接被ばく量の推定値は地域によって著しく違うし、経年的にも減少が見込まれたので、数値を出すのが困難なことと、基準が厳しくなることへの反発もあり、結局内部被ばくだけで1mSv/年案の採用となり、それを根拠に現行の食品基準が決まった。

2−2.100ミリシーベルトを超えなければがん発生増加が認められないか:
松崎道幸医師によれば日本の原発労働者の健康調査によると10ミリシーベルトで、癌が3%有意に増加するという結果が出ており、医療被ばくによる患者さんの追跡調査でも同じ結果が得られたということです。

2−3.感受性差の記述なし
新聞には書かれてないが、放射線の影響は細胞増殖の盛んなほど影響を受けることは常識であり、この大人と子供では感受性差は、Goffmann医師によれば5倍である。先月来日されたCardicott小児科医は感受性差を10倍と話していたように思う。子供の健康を問題にしているのに大人の感受性で論じるのはおかしい。

2−4.子供の呼吸による肺や食べもによる吸収による被ばくが説明がない
主にγ線による直接被ばくだけでなく、空気中を浮遊する放射性物質を吸入し、肺に取り込み被ばくすることと水や食品を介して腸から吸収される内部被ばくも受ける。
ECCR(欧州放射線リスク委員会)ではこの場合には100から300倍も被ばく影響が大きいと見なしている。

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