子供の甲状腺異常に関する報道管制は惨事の前触れか?

  • 2013/01/08(火) 14:22:52

「福島県民健康管理調査」を担当した鈴木眞一氏は9月11日の記者会見を行った。この会見に対し、内部被ばく問題研の沢田理事長が昨年10月15日に同氏および多くのメディア関係者に公開質問状(参考資料1)として発信した。
従って、公開質問状が発信された時点で、本来は多くのヒトに衆知されるべきだったがほとんどのヒトに知られなかったようである。
いつ返事が来るか私は待っていたが公開質問状にも拘わらず返事がこなかった。メディアからの反応も注視していたが全くなかったようである。
福島の甲状腺検査の報道は私の調査範囲では見つからず、逆に「福島県民健康管理調査」に掲示された昨年4月から8月までの検査結果がホームページから削除された。

このような中、12月1日の新聞報道で甲状腺学会報告<次の{ }内>がなされた。
{昨年11月末に開催された甲状腺学会で、東京の伊藤病院<学会直前に伊藤名誉(1/16二字追加:お詫びします)院長がご逝去された由、ご冥福を祈ります>の岩久建志医師らから2003年から今年8月まで同病院で甲状腺の超音波検査を受けた15歳以下の子供2753人の結果を集計した。この結果、36%の子に嚢胞が見つかった。複数回検査で来た189人の42%は嚢胞が小さくなったり消えるなど改善し、14%は大きくなるなどし、残り44%は不変だった。経過観察中に癌など悪性の病気になる子供はいなかった。}

学会報告というのは10分前後の短い話であり、特に今回のような新規性が乏しい(少なくとも基礎にいた者から見れば)速報性のないものは、学術論文になってからじっくり読んで評価することが正確な情報を伝えることでもあり、望ましい。新聞社が取り上げるような問題でもなく、私も批評など書く気もなかった。 しかし、福島の子供の甲状腺検査に関する報道が全く途絶えてしまった現状では、エビデンスに基づく考察も不可能になった。仕方がなく1カ月以上古い新聞報道について気付いた点を書く次第です。

子供の小児甲状腺異常率が36%であり、福島もあまり変わらない報道について。
原発事故のことを述べるならば、原発事故前に測定した者と事故後の測定者を分けて統計処理すべきだ。というのは事故前の場合には甲状腺に関連した何らかの異常があったから検査を受けたのに、福島の子供の検査は甲状腺に何ら異常がないのに、全員が対象になっている。従って、違うバックグラウンドのヒトを同列に論じることは不適切である。
また放射線被ばくのことに言及したいならば、被ばく線量が関係してくるので、東京でも東葛飾地区では汚染の可能性が高く、住んでいる地域が問題になるので、区別すべきだし、福島から東京へ避難しに来ていたヒトが東京で検査したならば、福島と比較すること自体が意味をなさない。

更にのう胞異常から甲状腺がんになったヒトがいなかったことについても小児甲状腺がんになるヒトは100万人に1人とかいわれる極めて稀な疾患であり、3000人弱の母集団から癌になる確率は1/300である。このように発生率の低いものを論じるには何百万人の母集団があって、初めて意味のあることが言えよう。従って、大新聞の記者といえども前頭前野(frontal cortex frontal area:猿と人間で最も大きさが違う脳の部位)を使っていないで仕事をしているように思える。

一番重要なのは福島の子供甲状腺検査結果であるので整理してみる。
メディア報道から一般のヒトの頭に入っていることは次のようであろう。
8万人の検査が行われた結果、甲状腺がん1人発症、但し時期が早いので被ばくによらないと判断され、もう一人は癌の疑いが出たので再検査すると言う報道である。
またその後、報道がないので、癌の疑いが一人出ただけと安心しているのが現状のように思える。

実際はどうだろうか、公表された2012年8月31日現在での状況は次のようである。なお、福島県の被ばく時0-18歳の子供36万人が甲状腺検査の対照である。

8万人検査の内訳は(2012年3月まで約38千人、2012年8月まで約42千人)
38千人のうち186 人が2次検査を必要とするB 判定。
2011年度の検査での該当者186人のうち38人が二次検査を終了し、
38人の内訳は10 人が経過観察必要なし。
14 人が良性腫瘍と判定され、6 ヶ月―1 年後再検査をすべし。
14 人が判定できず14名が穿刺細胞診(三次検査と名付ける)を受け、
13名が良性腫瘍、1名が甲状腺がんと判定された。
⇒二次検査が必要とされながら未報告者が148名も居る。当然全員の結果は出ている筈であり、何故報告しないか謎である。

次に2012年度の実施者約42千人のうち、239 人が2次検査を必要とするB 判定であった。うち女児の1名は癌の疑いがあり、2次検査を飛ばし細胞診検査対象となった。
二次検査対象者239人のうち22人が受診を終了したが結果は纏め中で未公表

こうして見ると8万人の一次検査終了者から二次検査該当者が425名出て、38名だけが二次検査を終了したので、進捗率は率は9%しかない。三次検査に14名進み、発がん者が1人認められた。
一次検査から三次検査へ1名いたが穿刺細胞診の報告は未だにない。

ここ数カ月、全く検査結果が公開されないのは異常状態といえよう。何故隠す必要があろうか?
このように、現在完璧な報道管制が行われていることから、予想を超える事態が展開しつつあり、今後をどのように展開(東日本の膨大な人数の子供対策など)していくかなど、いろいろな対策を考えているようにも思える。勿論、上述の考えが杞憂に終えることが一番望ましいことではあるが。

参考資料1:http://www.acsir.org/info.php?9-11-25
同資料のPDF版http://acsir.org/CMSF/uploads/9_11.pdf

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