警戒区域内の牛の臓器別の放射性物質分布について

  • 2013/01/26(土) 20:19:08

原発事故後から約半年後、福島原発から半径20km圏として設定された警戒区域内に残された79頭の牛が安楽殺され、臓器別にγ線を放出する放射性物質の放射能濃度を計測した結果が東北大のWEB上に(参考資料1)公表されたので項目別に感想を書く。

1.全ての臓器において、回帰解析の結果、臓器中の放射性セシウム濃度は血液中の放射性セシウムに比例していた。
 ⇒臓器濃度は血中濃度に依存することがわかった。

2.骨格筋で最も高く、血中の約21倍で、以下は添付された図から下記のようであった。
膀胱筋(但し低血中濃度のデータしかない)、腎臓、心臓、肺と肝臓は略同等、甲状腺への蓄積は非常に低かった。
⇒チェルノブイリでは甲状腺にも蓄積するといった報告があったので、種差かもしれない。

3.すべての臓器でセシウム134とセシウム137の放射能がほぼ1:1の濃度で検出された。⇒想定されたことで、当たり前の結果

4.半減期の比較的短い放射性銀110mが肝臓に、テルル129mが腎臓に特異的に集積してした。
⇒放射性銀110m(半減期250日)は高速中性子が銀原子の中に入りできるので、検出されたことは核分裂反応が起きたことが示唆される。テルル129mは東電発表によれば3300兆ベクレル放出され、半減期34日だが分解すると半減期1600万年もあるヨウ素129となる。

5.各臓器でも、胎児で1.2倍、仔牛で1.5倍だった。

⇒胎児が高いことはセシウムが胎盤を通過することを意味する。また仔牛で1.5倍も高かったことは驚くべきエビデンスである。というのはセシウムの生物的半減期は、乳児で9日、9歳児で38日、30歳で70日、50歳で90日とされて被ばく量も計算されている。この理論計算は本当に正しいのだろうかという疑問が生じた。計算値でなく実測値から検討する必要性も感じた。

6.放射性セシウムの放射能濃度は牛の捕獲場所と餌に依存していました。
 ⇒当然の結果と思った。

総評
今回被ばく地の牛を用いて貴重なデータを得たことは、こういうデータが皆無に近いゆえに高く評価する。しかし、折角の機会なのに何故γ線しか計測しなかったのか疑問に思った。ベータ線のストロンチウムやアルファ線核種のキュリウムやプルトニウムを何故測定しなかったのか残念だった。

参考資料1.
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20130121_01.pdf

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