ベント前、既に700倍の放射性物質が10キロ圏に拡散

  • 2013/02/23(土) 20:35:28

三春町は独自の判断でヨウ素剤を服用していたので甲状腺がん発症抑制効果に私は注目していた。

⇒国会事故調報告書を読むとすぐ眠くなってしまい駄目でしたが、幸い大沼安史ブログ(リンク上段より7番目)を読み、ありがたいことにいろいろ貴重な情報があり、それも参考にしていろいろ修正しましたので、昨日のものは削除します(2/23記)。

昨日の毎日新聞(同社のスクープだそうです)によれば
「東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で、11年3月12日に1号機格納容器の水蒸気を外部に放出する「ベント」を始める約5時間前の午前5時から、放射性物質が約10キロ圏に拡散していたことがわかった。福島県の放射線モニタリングポストに蓄積されていた観測データの解析で判明した。放射線量が通常の700倍超に達していた地点もあり、避難前の住民が高線量にさらされていた実態が初めて裏づけられた。」

また大沼安史ブログによれば
「1号機 ベント「開始」の5時間前から 10キロ圏に放射性物質が拡散! 3・12午前5時段階で 北2・5キロの双葉町郡山地区 早くも0.48マイクロシーベルに(通常0.04〜0.05マイクロシーベルト) 5・5キロ離れた双葉町山田地区 ベント「直前」の同10時に32.47マイクロシーベルトと通常の約720倍を記録! 避難前の住民が高線量にさらされていた実態が初めて裏づけられた! / 福島県のモニタリングポストが記録! 国会事故調も知らされず!」 
県原子力安全対策課の担当者は毎日新聞の取材に対し、「県内全域の放射線調査などの他業務に忙殺され、結果的にデータ解析が後回しになった。大変申し訳なく、ただ謝るしかないと」と謝罪した。

事故から2年になろうとしているこの時期での発表は、小児甲状腺がんの発症がチェルノブイリをはるかに凌駕する事態に進展しつつあることが原因かもしれないが、国会事故調も、福島県民健康調査室も知らない新知見が発掘されたのはジャーナリズムが機能することが如何に重要かを物語る。

原子力規制委員会は低線量地域の子供という枕詞を使って、甲状腺エコー検査を中止しようとしているとの報道があったが、見方によれば、まさしく闇に葬ろうとする行為であろう。
何故ならヨウ素分布が高いと想定される地域のエコー検査は2013年度(2013.4-2014.3)から始まることになっている。従って2013年度の発症数は想像を絶する可能性もあろう。
福島県の新潟や山形寄りの地域では確かに低い地域もあるが、そういうところを含め、関東は全ての県、宮城や岩手県まで範囲を広げて小児甲状腺エコー検査をすべきだと私は書いてきた。

確かに病理検査をしなければ癌と認定されることない。もし、がん化したならば通常の固形がんは年間約30倍で増殖することから、其の速度(あらゆる癌の中で甲状腺がんが最も幅が広いので平均値でみるしかない)で増殖すれば1,2年後には首部の腫れは誰もがわかるようになるが、そういう風になる頃は甲状腺ホルモンの異常による病状の進展や転移も起こるであろう。しかし、検視がなければ何のエビデンスも集まらず闇の中に放置される。
チェルノブイリでは肺転移などで亡くなった子供もかなり出たことが報告されているので少なくとも病理的検査は行われていた。そういう事例を知りながら、再びチェルノブイリの後追いなどあってはならないことである。そのように子供を放置(甲状腺異常者の検査間隔一律2年に関わらず、保護者は異常に気付いたら検査をさせるべきである)するなど絶対に許されないことである。

規制委員会委員は恐らく原子炉の専門家であり甲状腺被ばくに口出しすべきではないと思う。委員のすべきことはヨウ素131の立体的な分布表を作成して、検査対象者の発掘の方向の仕事をすべきだ。ヨウ素131の半減期は8日であるが、今からでも調べることは可能である。というのは福島原発事故から間もない時期にヨウ素131と半減期1600万年のヨウ素129を同時に測定した研究者がおり、その比は1対30である論文が公表されているので、作れるのでこういう前向きな仕事をすべきである。

今回の発掘資料は事故初期の実測値であり、配管損傷による放射能漏れというのは福島第一原発事故究明においても極めて重大な問題であり、国会事故調が把握できていなかったことは大問題であろう。当然、国会事故調の報告書そのものが後世のヒトによって検証され、評価されるだろう。県民健康調査室が被ばく調査に用いたデータはSPEEDIによる予測値であり、本データのような実測値の価値は大きいが測定箇所はほんのわずかであり、正確な被ばく量推定は極めて困難な作業と思う。

私はベントによる被害というのは前例がないだけに数値が低く出される懸念をもっていたが、配管漏れでベント5時間前に通常の700倍の放射性物質が出ていたなど想像もできなかった。こんなことが起きてはもはや誰も放射性物質から逃れる有効な方策など打ちだせないと思う。避難規準にも地震の大きさの視点を入れるべきと思うし、こういう問題の審議こそが規制委員会の仕事であろう。

⇒ラットの甲状腺腫瘍実験で、放射性ヨウ素と甲状腺にX線照射するという実験データについては原文を取り寄せて良く読んでから書くようにします。

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