子供の甲状腺異常検査の対照群データを読んだコメント

  • 2013/03/09(土) 20:50:52

甲状腺検査結果についてはNHKから詳しい報道があったということで、まず整理した。
環境省発表資料よりNHK報道資料(詳細な結果は今月末発表)が詳しく本報道{ }と昨晩の時事通信の情報を較べると、青森県の地名とB判定者数がわからなかった。従って、青森県ではむつ市または三沢市のケースも想定に入れてしまった。それで改めて書く次第です。

{対象者は次の地域の3-18歳児、青森県弘前市、山梨県甲府市、長崎市
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A1判定 結節orのう胞なし   1852人   /4365 =42.4%
A2判定 結節orのう胞あり*   2469人   /4365 =56.6%
B判定 結節orのう胞あり**   44人   /4365 =1.0%
C判定                 0人
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 *:5.0mm以下の結節や20.0mm以下ののう胞
**:5.1mm以上の結節や20.1mm以上ののう胞 
その結果、検査した3歳から18歳までの合わせて4365人のうち、福島の検査で確認された小さなしこりなどが56.6%で見つかり、福島県とほぼ同じ傾向だったということです。 これについて、環境省は「福島の結果が原発事故の影響によるものとは考えにくいことが分かった。この結果が不安の解消につながることを期待したい」と話しています。}

NHK報道でこれだけの情報があれば後不足は地域ごとの割合と年齢別の割合しかない。
しかし、両方とも総数を出すときは個別の値がまずあって、エクセルならΣを押すだけである。何故一緒に報道せず、小出ししようとするのか不可解である。
考えられるのは地域差があまりにも大きかったので考察の時間が必要なのかとも想像した。

今回のデータを見ての私のコメントを以下に書く。
1. 福島の子ども4万人弱の甲状腺エコー検査により、甲状腺がんが゙10名(穿刺細胞診なので病理学専門家によるものとみなす)発症したエビデンスは重く、今回実施した4500人による少数例の結果からは発がん性まで言及できない。今回の目的は甲状腺異常率が高いことの比較のためである。もし発がん性について疫学的に証明しようとすれば後10倍くらい例数を増やす必要があろう。
従って、今回の甲状腺異常率の問題とは切り離して、甲状腺がんからの転移防止に向け、引き続き甲状腺がんの早期発見に努めなければならないことは明らかである。

2.A1判定とA2判定の基準の境界を明確にする。
A2とB判定の境界は明確であるのに、A1とA2を区別する境界値が設定されてない。現行はA2が5割を超えてはスクリーニングの効率が極めて悪いし、過剰な心配を与えることにもなる。
また、境界がはっきりしていないために個人差が出やすく、例えば0.5mmの結節でもA2に判定する人もA1に判定するヒトも居るかもしれない。またあまり小さなのう胞からのすぐに癌化する可能性も低いであろう。

以上の理由により、結節ならばA1判定は例えば、2.0(*)mm以下、のう胞なら5.0(*)mm以下とする。

A2規準は結節ならば5.0mm以下で2.1mm(*)以上、のう胞ならば20.0mm以下で5.1(*)mm以上のようにすべきと思う。

上述の*の数値は仮の値として提議したまであり、専門家が討議して、国際的にも通用するような値を決めてもらえればと願う。

3.12年前の長崎市の子供との違いがなぜか?
山下教授らが2000年実施した例では「のう胞」248人中2人であり、しこりはゼロだった。12年の間に甲状腺エコー装置の精度が画期的に向上したわけではないので、この落差の原因として何かある筈である。この件に対する専門家からのコメントが必要であろう。
そのほか、山梨県のヨウ素131の沈着量は福島の1/84しかなく、残りの2市の降下量は更に少ないので原発事故との相関性のない、単なる甲状腺異常の問題であろうが、それにしても原因の想定は難しいように思える。

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