小児甲状腺がんは全国的規模に拡大を示唆する論文が公表

  • 2013/03/11(月) 11:24:48

環境省から報告された速報を基に考えた結果を昨日書いた。A2判定についてはA1との境界値が決まっていないので主観で動く、よって境界値を決めるべきと書いた。
しかし、基準がはっきりしているB判定が44人いたことについて、12年前の長崎の結果とそれから山梨県に降下したヨウ素131の量が福島の1/84であることなど、これらの結びつきはいくら考えてもわからなかった。
但し、福島の4万人弱で10人の甲状腺がんの事実を否定できるのは検査対照を一桁あげない限り言及できない旨書いた。

今朝、大沼安史ブログ(リンク7番)をみたら、その謎がほぼ解けた<残っているギャップは先天的甲状腺機能不全と甲状腺がんの相関性>ことに気付いた。

ニュヨークアカデミーから「チェルノブイリの大惨事を」出版された著者らが小児科医誌(参考論文1)に公開された論文<全ページで9ページともに無料でダウンロードできる>の概要「」があったからです。

「福島原発事故後(2011年3月メルトダウン翌、翌日から4月12日まで)アメリカ西海岸地域(5州)に沈着したヨウ素131量は通常の211倍に増加した。
西海岸地域(5州)で2011年3月17日から同年12月31日までに生まれた新生児の甲状腺不全率はその前年の同時期に較べて16%増加した。一方、同時期残りの36州では3%減少した。二つのグループ間における最大のギャップは3月17日から6月30日に生まれた新生児で28%であり、其の時の危険率は0.04(100回のうち間違える確率が4回あると言う意味)であった。
他の国々における解析結果も非常に重要であるとも述べている」

アメリカの太平洋岸の州で放射性ヨウ素の沈着量が211倍に増えた州があったということは、アメリカまで飛んで行く間に薄まり続けるので、通常数千倍まで薄まることが多い。ヨウ素の場合の希釈率は知らないが、アメリカまでの距離を規準に日本における各地域との距離関係から考えれば、長崎市といえども通常の何千倍に増加していたであろうことは容易に類推できる。

即ち、環境省のB判定の子供が長崎でも多いから安心しなさいでなく、日本全体(沖縄まではわからないが)の子供に甲状腺異常が起きているので、注意して検査など勧めるべきだという、逆のことが示唆されている。

わが国の甲状腺学会もこの問題を無視するのでなく、解明に取り組むべきだ。
何故なら、今後アメリカでは甲状腺がんがヨウ素由来によるか否かの遺伝子レベルでの研究が急速に進むであろう。ヨウ素131由来が証明されれば多額の賠償問題に発展するであろう。

参考文献1.本文献は無料で誰でもダウンロードできます。
Joseph J. Mangano, Janette D. Sherman;Open Journal of Pediatrics, 2013, 3, 1-9 OJPed
doi:10.4236/ojped.2013.31001 Published Online March 2013 (http://www.scirp.org/journal/ojped/)

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