「子供達を放射線障害から守る全国小児科医の集い」の盛会を祈る

  • 2013/04/20(土) 17:03:35

現在広島市で日本小児科学会が開催されています。この機会を利用して、今日18:30−21:00にタイトルに書いた自主的な集会が開催されることにりました。

原発事故後いち早く日本小児学会より発信された150mSv安全説には疑問を持ちましたがその問題と、福島の子供3万8千人の甲状腺エコー検査で9人ないし10人の甲状腺がんが発症した問題(細かなことですが穿刺細胞診の診断精度は福島医大の8割でなく、発起人は9割としていましたので、イタリアだけでなく国際的にも一番多い確率かと思いました)が主要テーマのようです。

最初のテーマの150mSv以下安全説の根拠を知りませんでしたが、「統計学的には、約150mSv以下の原爆被爆者では、がんの頻度の増加は確認されていない」から来ていたようです。

私の認識は世界の標準の筈ですが、それによれば、100mSv以下でも閾値はなく、比例関係で起こることです。具体的に書くと、「100mSvで1000人に5人に癌が発症するので、10mSvでは1万人に5人、1mSvでは10万人に5人に起こる」ということです。

甲状腺の場合は放射性ヨウ素が吸収されれば、甲状腺に取り込まれ選択的に被ばくする。従って、全身でなく甲状腺等価線量で計算する。 ICRP 2007年改定版では、甲状腺の組織加重係数は 0.04なので、実効線量の100mSvは4mSvと等価になります。更に子供では放射線に対する感受性も年齢に応じて変わるので、私は最も感受性の高いゼロ歳児を想定し10倍という係数を掛けて考えています。そうすると赤ん坊は(厳密には等価線量も年齢で変わり、また生物学的半減期も年齢で変わるので複雑で計算できません)放射性ヨウ素を摂取すれば、大雑把に0.4mSvでも影響があろうと考えている。

β線被ばくは甲状腺組織に取り込まれた時、其の近傍の組織が最も影響を受けるのでγ線より係数をつけるべきと考えています。しかし、ICRP は2007年版でもβとγ線の違い認めていない。時間の関係で話す余裕はないかもしれないがこのあたりの議論にも注目している。

環境省の対照群の選定が正しければ、日本は福島だけでなく全国的に5.1mm以上の甲状腺結節を有する子供が1%にも達する異常状態になった。その辺の議論の進展にも興味があり、更に進んでは広範囲な検査に関する討論も期待したい。

もっとも今日は初回の集まりなので多くのことを期待してはいけないであろう。原発事故との関連を否定できないという考えの方が主流になれば、今回の集まりは成功というべきであろう。

小児甲状腺がん10万人発症の可能性に対する御意見賜りたい

  • 2013/04/19(金) 10:26:18

4/2ブログで弘前市、甲府市、長崎市の3歳から18歳の総計4365人について甲状腺エコー検査を実施したところ、44人がB判定(5.1mm以上の結節、なお、20.1mm以上のう胞者ゼロ)になったと書いた。

4/16ブログにイタリアの小児病院からの報告として、甲状腺結節が起きた場合、大人の結節と違って4,5人に一人悪性化すると書いた。

この二つの事実から日本における小児甲状腺がんの発症率はとんでもない数値になる可能性は誰でも想定できる。勿論、小児甲状腺結節から悪性化率がイタリアと日本で違えば前提が崩れるし、また日本において対照群に選ばれた3ケ所の子供のB判定率が全国一律に起きると仮定する問題もある。

前回、あえて日本における具体的数値を書かなかったのは両方のブログを読めば、福島の子供の発症率などの問題は蚊帳の外において、日本における小児甲状腺がん発症率を考えるだけでとんでもない値になると感じてくれると思っていた。
ところがブログを読んだ2,3人に聴いたが誰もがなんとも感じてないことがわかった。
私としてはあまり大きなショックを与えてはいけないという気もあり、書き方に歯切れが悪かったこともあると思うが、小学生でも分かってくれるだろうと勝手な想像も反省した。

3県のエコー検査実施者4365人は日本の子供2000万人弱とすると5千人あたり1人となる。その中から44人に甲状腺結節が見つかったので10人の甲状腺が見つかることになる。従って、日本全体では5万人の発生が想定されることになる。
更に被ばく地域から同数出ると仮定すれば全部で10万人となるかもしれない。<単純な計算なのに倍に計算ミスし、しかし、タイトルまで変えられないのでこのように修正しました。>

小学生のレベルからの想定であるが甲状腺専門家を始め皆さまからの反論を賜りたく書いた次第です。

子供に甲状腺結節があれば20-25%はがんになるので、積極的なアプローチを

  • 2013/04/16(火) 18:42:08

タイトルは小児内分泌学会誌の今年3月号に発表された論文(参考資料1)から引用しました。甲状腺結節は大人に較べ子供での頻度は少ない。しかし、子供に結節があれば悪性腫瘍になる確率は高く、4-5人に一人は悪性化する。従って、積極的な治療をすべきである。どのように診断を進め、その結果によって次のステップをどのようにすべきかを、具体的なフローチャートで示している。

本論文は最近のイタリア、トリノ市における小児の甲状腺異常患者にどのように対処しているのかを述べた臨床報告であるので、原発事故後の放射性物質による小児甲状腺がんに言及した論文ではない。しかし、現在進行中の福島の子供の超音波検査に関連しそうな点も多々あるので紹介するしだいです。

日本でのメディア報道によれば、甲状腺異常(当然結節も含まれる筈)があっても悪性化する例はほとんどなく心配しなくても良いとされている。この論文では大人はそう言えても子供では甲状腺結節があれば非常に高率で悪性化するので、積極的に治療に取り組むべきと述べている。

最初の段階の甲状腺エコー検査は簡便で、安価で、生体に無傷で良いので勧められるが、悪性か良性かの診断をするのは困難である。例えば外から圧迫しながら触診でリンパ節部位に固さを認めた場合の診断精度は70%と向上するがまだ不十分であるので、穿刺細胞診<fine-needle aspiration biopsy (FNAB)>を行う。この診断精度は90%とのことであった。

なお、甲状腺異常者の家族歴や、過去の医療被ばく歴などの聴取も重要との記述もあった。
血液中の甲状腺刺激ホルモン (TSH), 遊離チロキンン (fT4)、遊離3ヨードチロニン (fT3)、カルシウム吸収に関係するカルシトニンなどの測定を進める記述があったが癌との関連性が薄いと思えたので割愛した。

参考資料
1. Clin Res Pediatr Endocrinol. 2013 March; 5(Suppl 1): 57–69.
Published online 2013 March 1. doi: 10.4274/Jcrpe.853
PMCID: PMC3608010
Thyroid Nodules in Pediatrics: Which Ones Can Be Left Alone, Which Ones Must be Investigated, When and How
著者:Andrea Corrias1,* and Alessandro Mussa1
下記URLクリックで英文文献全文を無料でダウンロードできます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3608010/#ui-ncbiinpagenav-2

福島県高汚染地域の家畜は昨秋から今春にかけ次々に死亡

  • 2013/04/15(月) 00:17:01

昨年秋福島県浪江町の「希望の牧場」で牛が続々と死亡(参考資料1)するとの報告があった。牧場主は次のようにコメントしている。「水のような下痢、鼻水、皮膚炎の蔓延など、免疫力が落ちていることは素人目にもわかる。その原因が、単なる栄養失調によるものか、流行り病か、放射能被ばくにあるのかはわからない。だがこれだけバタバタと死ぬ姿は警戒区域にほかないだろう 。この絶望的状況を、フクイチ症候群と呼んでいる。」

また飯館村臼石にある細川牧場(参考資料2)でも、「馬がどんどん死んでいて、この2年間に生まれた子馬は15頭生まれたが、ほとんど死亡したそうです。」「このようなことは過去に一度も経験したことがなく、放射能以外に考えられないとの牧場主のコメント」があったそうです。なお、放牧地内での空間線量を測定したところ3.5-4.5μSv/hr(参考資料2)もあったそうです。

放牧地のような広い面積は除染もできず、そこの年間被ばく量は直接被ばくだけで年間30-40mSvとなる。さらに、食べ物や飲み水、呼吸を介する被ばくを考えると相当な被ばくになりそうである。

家畜の場合1年前後で成熟するので、ヒトより成長速度が約20倍も早い。細胞増殖の速度が速いことはDNAの2本鎖の開いている時間がそれだけ長いことであり、被ばく影響もそれだけ大きくなる。また世代交代による遺伝的影響の発現も20倍も早く表れると見て良い。

従って、ヒトと家畜との間にはギャップはかなりありそうである。一方、ヒトにおける個人間の感受性差も大きい。
そこで、医薬や農薬の場合には動物試験データをヒトに外挿する場合、安全係数を通常100倍おいて使用している。

今回の原発事故では、27年前に同じレベルの原発事故を起こしたチェルノブイリの事例がもっとも参考にすべきと考えられるので次回述べたい。

参考資料
1. 希望の牧場〜ふくしま〜
http://fukushima-farmsanctuary.blogzine.jp/
2.  WINEPブログ様
http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1658.html

フクイチ汚染水対策は制御不能だ、基本設計から練り直せ

  • 2013/04/12(金) 20:16:36

連日福島第一原子力発電所の放射能汚染水漏れのニュースが話題になっているが、基本がしっかりしてないことが根本原因と思う。

フクイチ廃炉にむけて第一の課題は再臨界の阻止であるが、二番目の課題は放射性物質の拡散防止であることに異論はなかろう。原発事故当初は緊急事態であり、対応しきれなかった部分があったとしても、事故から2年経過した現在、再び海へ放出するなどという暴挙は太平洋岸に面するわが国漁民に対してだけでなく、太平洋沿岸各国の人々にとっても許されざる暴挙といえよう。
<なお、今年3月アメリカ西海岸地域のトドの子供などに歴史的な病変発生という(参考資料)ことでその解明に専門家達が動き出した。まもなく放射能との因果関係の有無も明らかになるであろう。>

当初からしっかりした基本設計があれば、現在の事態は起こりえなかった筈である。
そもそも地下水タンクを作る時から溶接をしない仮工事並みであり、現場の作業員さへ心配していたことが現実に起きたということである。さらに汚染水を保存するスペースも十分確保されてない。

地下水プール漏れ問題は、検討する時間余裕もないので、取りあえず、地上タンク保管方式にするが、玉突きの綱渡り状態であり、少しの余裕もない。こういう綱渡りではまたこれからも頻繁に問題がおきそうである。根本的に解決するためには経費節減を優先する民間企業でなく、国家の責任ですべきと思う。

フクイチ原発周囲の土地を、例えば、25キロ平方mを買い増し十分なスペースを確保:そこに使用済み核燃料プールにある燃料棒は全てドライキャスト方式の保管方法に替えることにより、冷却系が要らない、地震などの非常時にも問題ないタイプにすべきだ。
また放射性物質汚染水の地下プールを作る場合には繋ぎ目は全て溶接して、漏れないようにする。

フクイチ周囲を隔壁で囲い地下水の混入あるいは流出を防止する。底の方の深さは堅い岩盤に当たるまでの深さになろう。

参考資料
http://enenews.com/tv-historic-number-of-sea-lions-washing-ashore-in-s-california-center-declares-state-of-emergency-feds-we-dont-know-why-the-pups-are-dying-theres-something-going-on-oceano)

HOME |