児玉教授の「国土を守り国民とともに生きる5項目提案」に感銘

  • 2012/03/26(月) 20:33:32

今回紹介する提案は東大アイソトープセンター長でもある児玉龍彦教授が下記URLで提案されたものです。豊富な図でわかり易く提示されているので先生の書かれたことをURLにて紹介させていただきます。
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/dai4/siryou1.pdf

タイトルに挙げた「国土を守り国民とともに生きる5項目提案」の提案は資料の後半に書いてあり、読んで下さればわかることですので、この説明は割愛します。
私は副題として勝手に「低線量被ばくにはICRPのシーベルト論は適用できず」を勝手に追加したく思い、そのことに関連して常日頃思ってきたこと書きます。

今回の福島事故の被ばくの影響に関しては、シーベルトの数値だけがひとり歩きし、それを基に、政府、メディアは一体となって安全神話をふりまいているのが現状である。
そこには最近の進展著しいゲノム科学も分子生物学も、病理形態学的知見、電気生理学分野からの考察もない。
かかる分野の研究者たちの直接の研究テーマでないことはわかるが、自分の持っている学問的知識を応用し、自分なりの考えを発信できないだろうかとの思いがあった。
何故なら、放射線によるDNA損傷および修復メカニズムは生物共通であり、基本的に動物で起こることはヒトでも起こるとみなすのが合理的な考えである。最先端の研究者たちは一斉に沈黙を守っているし、チェルノブイリで起きていることにも全く無関心である。ノーベル賞受賞者の医師達による子供が20mSv地域に住み続けるニューヨークからの警告も無視された。

このような背景にあっただけに、内科医の児玉先生の提案には感銘を受けた。

最新の知見を基に、カラー図で示してくれましたので、どういうことが起きたかを技術用語の意味など知らなくてもイメージとしてとらえ、理解されるのではと思います。

図1−4は甲状腺がんが起こるメカニズムについて、最新のゲノム科学に基づいて説明しています。小児甲状腺がんは全部で4000人に起こりピークは十年後であることが分かります。

図5は病理学者だった福島博士によるチェルノブイリ汚染地区の住民の膀胱の生検組織での早期がんおよび増殖性膀胱炎が示されており、このような前癌状況は尿に放射性セシウム6ベクレル/Lから見られることが明らかになった。これらに関連した8報の論文も記載されている。

なお、私の記憶から付け足すと、尿中のカリウム濃度は変動<細胞内のカリウム濃度は高く、細胞外濃度は低く、この濃度比は各臓器細胞ごとに静止状態では一定である>するが、放射性カリウムもこれ位のベクレル値を示すことが多いが発がん性の報告はない。

水俣病で有機水銀と無機水銀で毒性に決定的な違いがあったように、カリウムとセシウムは違う代謝経路をもつことを理解する必要がある。

従って、自然に存在する放射性カリウムと放射性セシウムをシーベルト値が同じだからといって同列に評価できない。即ちICRPによる低線量被ばく理論は最新のゲノム科学から否定されたことを意味する。

今回は癌に関することですが、今現実に起きている可能性の高いことは心疾患であり、この場合には心筋に取り込まれたセシウム濃度とのアポトーシスの関連性から心筋細胞の欠損率の計算、AEDも無効な場合にはカリウムイオンチャンネルの障害を電気生理的にも解明する必要があろう。そのほか多様な症状が観察されているので、多くの基礎研究者からの提示が待たれる。

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  • 2013/11/10(日) 00:09:07

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この記事に対するコメント

IEAE2006ご紹介の方へ

スパスムメールやパソコンの不調、体調不調など重なり返事が遅れ失礼しました。
IEAE2006の文献の提示をいただいたのですが、もっと前でしたら、私は喜んで読んだと思います。しかし、現在は以下の理由で全く読む価値のない文献とみなしています。
それは3.11以降政府が非常時対応ということで取り入れる根拠になったのが本指針と知ったからです。すなわち、チェルノブイリ原発事故のような原発事故が再発しても原子力産業が打撃を受けないように考案された指針ではないかと思う。
次に2006年以前のIEAE設立時の約半世紀前まで遡りますが、当時はDNAもわからない時代でしたので、放射線量をエネルギーとして表示することはしかたがなかったと思う。しかし、その後のDNAの解明や、生物学の発展に呼応して基本的な改革が行わず、小手先の修正を加えながらイビツな形で変形していった理論がIEAE理論と思う。もっと具体的にいうと生物学の基本に準拠しないで、相変わらず熱量単位を基準としたシーベルトが使われていること問題の根源と思う。例えば、バイスタンダー効果の場合には被ばくしてない細胞が影響を受けるわけだが、この場合にはシーベルトと損害の程度を関連ずけできるわけがない。損傷を受けた細胞はアポトーシスにより排除されるので、シーベルト値とアポートシス量なら相関性はあるだろうが、遺伝子損傷で問題になるのはDNAポリメラーゼが修復ミスを発見できなかったことである。このようなケースでシーベルトとの関連性を見出すことは困難であろう。ECCRのバスビー博士によればアメリカやイギリスにおける被ばく裁判で、彼はことごとく勝利し、40連勝中とのことである。このことはIEAE理論がすでに陳腐化した理論であることを示唆している。しかし、原発事故は数が少ないうえ、関連性を見出そうという意欲もないのでいまだ新しい理論が見つかっていないだけである。
Twitter上では福島や周辺地域でかなりの突然死がでているというが、何も関連性の究明はされてないと思う。このような状況下では何年経過しても、何の知見も得られないであろう。すなわち犬死にだ。
放射線核種とその線量は尿、血液、髪の毛、歯、爪など遺体を傷つけることなく測定可能であり。生前に記録された心電図、生化学的検査数値などのデータ、臨床所見、さらには必要によっては病理学者に加わっていたければ、データが集積すれば、新しい理論が出るか否かは実施するかしないかに依存していると思う。新しい理論はアルファ、ベータ、ガンマーなど線種ごとに違うだけでなく、核種による分布の違い、気道や消化管などを介する被ばくルートなどにより、細かく規定されるものになろうと想像している。

タイトルに興味を持ち、コメントさせて頂きました。

ご紹介の「国土を守り国民とともに生きる5項目提案」拝見しました。
去年の7月衆議院厚生労働委員会では「トロトラスト肝障害」も紹介されていたと思います。
誠に申し訳ないですが、私は児玉さんの仰っていることがよく理解出来ません。
「トロトラスト肝障害」と「チェルノブイリの甲状腺ガン」は明らかに高線量の被曝による障害だと思います。

チェルノブイリの甲状腺ガンに関しては、
ENVIRONMENTAL CONSEQUENCES OF THE CHERNOBYL ACCIDENT AND THEIR REMEDIATION (IAEA2006報告書:URL参照)

の113ページTABLE5.6.を見て頂くと解ると思いますが、等価線量で10Gy以上(10Sv、10000mSv)以上の甲状腺被曝をしてしまった子供が約150人いる事が書かれています。また1Gy(1000mSv)以上は5500人、200mGy以上は約3万人弱と書かれています。
当然、チェルノブイリで発症した甲状腺ガンは、これら高線量で被曝した子供達の中から発症しています。
児玉さんの仰るような低線量の被曝による可能性も否定できませんが、チェルノブイリではICRPの基準通りの結果になっています。(100mSV以下の発症はないと思います)
トロトラスト肝障害も当然ICRPの基準通りの結果になっています。

チェルノブイリ膀胱炎に関しては、先ず尿中セシュウム濃度の測定は事故後12年経ってから1度測定しただけと福島昭治さんご自身が仰っています。

一般的に、ガンが発症したときの尿中セシュウム濃度に原因は無いはずです。ガンは発症するまでに10年〜20年掛かると言われています。事故当時の尿中セシュウム濃度が解ればデータとして有意だと思いますが、この尿中セシュウム濃度と膀胱ガンを関連づけるのはとても無理が有ると思います。また、汚染地域のグループ分けも1991年の法律に基づいた地域でされています。1986年〜1991年の最も高線量で被曝した時期の状況を全く考慮されていないので、学術論文としての価値は少ないと思います。
この論文から、チェルノブイリ原発事故が原因と思われる膀胱ガンの増加が有ったことは解りますが、それ以上のことは言えないと思います。

未だに、「除染しても放射能は減少しない。」と公然と仰る方がいます。
チェルノブイリ膀胱炎も、事故当時から放射能は全く減少していないと仮定すると低線量内部被爆の症例として成り立ちます。
児玉さんもそのようにお考えだったのでしょうか?

児玉さんは以前 、逆システム学の窓Vol.28 の中で「汚染地域の放射能は事故当時の数百分の1に減少しており、人の健康と経済的な活動に影響はない。」との文を紹介しています。 

20年近くの期間で数百分の1に減少したと言うことは、反対に事故当時の放射能は数百倍だったと言うことです。

児玉さんの放射線によるDNA損傷 とか遺伝子のお話は興味深く可能性も有るかも知れませんが、残念なことに実証された低線量の内部被曝に関する症例は示されていません。
チェルノブイリに関しては、1991年から日本の笹川プロジェクトが20万人規模の検診を行っています。甲状腺ガンは最初から可能性が考えられていたので、専用の測定器を日本から持ち込んで検診しています。もし低線量の被爆者からガンの発症が有れば大発見でしたが、発症者は高線量の被爆者ばかりでした。

確かに、政府や国際機関の言うことを鵜呑みに出来ない現状ですが、東大教授といえど安易に信用するのはそれ以上にリスクが有るように思います。

  • 投稿者: -
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  • 2012/05/03(木) 03:53:30
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児玉教授の資料

児玉教授のWGでの資料は目を通しましたが難しい。それでも「こういう見解もある」ということで私のエントリー内で紹介したところ、次のようにコメントで教えて頂きました。

「疫学云々で100ミリシーベルト/yの発がんリスクは検出できないか知らないが、ゲノム解析では100ミリシーベルト/y以下でも発がんリスクはありますよ。それからだらだら低線量被曝を続けるとさまざまな炎症が誘発されますよ」
と児玉教授は言っている。

くだいて書くと「細胞が分裂する時にDNAのコピーをするが、DNAの中に壊されるとガン化する部品があり、細胞分裂の際に放射線がたまたま当たってしまうとガンになりますよ。だからどんなに低線量被曝でもガンになる確率は被曝量に応じてあります」ということでしょうか。

よく「100mの高さから飛び降りると死ぬかもしれないが、1mの高さから飛び降りても死なない(だから低線量被曝は安全だ)」という人がいますが、これは間違いで児玉氏の説明をつかうと

「1時間に1000台自動車が走る道路を目をつぶって横断すると高い確率で轢かれてしまうが1時間に1台自動車が走る道路でも低いなりに轢かれる可能性がある」ということでしょうか。

という内容でした。

他の方のコメント内容をsakuradorf様に「基本的にはこのように理解していいでしょうか?」とお聞きすることが失礼でなければ、簡単にお教え頂けたら大変ありがたいのです。
その方のオリジナルのコメントは、ここに入力したURLのエントリーのものですので、お時間のある時に直接見て頂けたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

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