甲状腺がん多発に対する体制(エコー検査、甲状腺穿刺、摘除手術)整備を急げ

  • 2013/06/25(火) 10:37:55

小児甲状腺癌については既に統計的にも有意な増加が認められていることは明らかである。しかし、福島県民健康調査の目的は県民に安心を与えることにあると明記され、甲状腺がんが発症することを想定してないためか、厳密な臨床実施計画書もない模様(公表されたものはない)で関係者は統計的処理もせずに、チェルノブイリでは4年後から出ているので早すぎると主張するだけである。
更に現行では、甲状腺穿刺による病理学的診断の結果では疑いという表現であり、外科手術により摘出された臓器の組織標本の鏡見観察が行われなければ甲状腺癌とは認められないというタイムラッグも出ているので実数の把握が遅れている。

しかし、2011および2012年度までの約17万人の検査により、すでに70名を超す甲状腺がんの発症が推定(この根拠は下段で述べる)される異常事態となっている。

チェルノブイリとは桁違いの速度で発症しているこのエビデンスは無視できなく、エビデンスを受け入れ最善の道を探すことこそ、私たち大人が子供にしなければならない責務である。何も知らない子供を犠牲にしてはならないという考えに議論の余地はないと思う。

この判断ミスの出発点はヨウ素131被ばく量の正しい測定がなされなかったことによる。
国連科学委員会という一見、権威がありそうな組織(実は原子力推進機関)が福島の子供の甲状腺ヨウ素131の被ばく量はたいしたことがないと発表した。
しかし、この測定根拠は未だに論文として発表されてないのは、決定的な二つの欠陥による旨、私のブログ(時期は覚えてないが1−2年前ごろ)に書いた。
唯一の信頼できるデータは弘前大学関係者が行ったものであるが、測定を開始するとまもなく福島県関係者から測定中止の連絡を受け、中止に至った。
結局、福島の子供のヨウ素131の被ばく量の測定データに信頼できるものは何もなかった。

従って、本来は被ばく量の測定データがなかったという前提で甲状腺エコー検査を始めなければならなかったのに、スタートが狂っていた。

しかし、過去振り返って反省しても得られるものはなく、現状でのエビデンスに基づいてこれから先に起こるであろうことを考え全力を尽くすことしかないと思う。

原発事故が起きた2011年度に約4万人の甲状腺エコー検査を実施し、11名の甲状腺がん(013年度5月27日現在)がみつかった。即ち、3700人に一人である。一方、チェルノブイリの最大汚染地域のゴメリでは14000人あたり一人の発症率なので4倍も高いことになる。

2年目については一次スクリーニングが終了して、B判定となったヒトの二次検査実施率が低いことである。2012年度二次検査対象者が935人いたが2013年度5月27日現在で二次検査が済んだヒトは255人しかいない。この人数でも甲状腺穿刺による陽性診断を含めれば16人の甲状腺がん診断が下された。従って、残りも同じ率で発症すると仮定すれば60人という数字が算出される。これに2011年度の11名を加えれば71名となる。

2年目にしてこの高率な発症率の原因は放射性ヨウ素131の被ばく量が予想外に高かったと類推するのが自然であろう。あるいはヨウ素131以外の核種による被ばく影響も加算されたかも知れない。勿論、そのほか考えられる要因がもしあるならばそれを挙げるべきであるが、今のところ、そのような有力な要因
は何一つ提議されていない。

更に2013年度は放射性ヨウ素のプルームが2回通過したと想定されているいわき市の本格的検査も始まるので、一層の甲状腺がんの急増が想定される。

放射性ヨウ素は地表面を這うように何百キロメートルも飛散していったので、そのルートに入る地域を特定し、早急に甲状腺エコー検査を実施すべきだ。

更に、対照群の弘前市、甲府市、長崎市にもB判定者(この場合には大人のように進行が遅いケースもあるかもしれないことを否定しないが)は安全サイドに立って、全国的検査が必要であろう。順番としては関東東北地域の後で良いが
全国的な検査をしなければ安心できない。

甲状腺エコー検査、甲状腺穿刺、甲状腺摘出手術など想像を絶する規模で行う可能性が高くなったので、今から十分な準備をすべき時期に至ったと私は考える。

チェルノブイリと違って桁違いのスピードで進行する被ばくによる甲状腺がんについて、わが国では例えばNHKでは私の知る限りでは甲状腺がん発症に関する放送はなかった。

しかし、世界の医薬品業界を眺めれば、わが国における甲状腺がん治療は有望市場であり、外資系企業は日本を含め適応追加の承認を申請する計画(参考資料1)となっている。一般的にいえば、製薬会社は需要がないのに臨床試験を実施することはありえないので、患者急増の予測は既に想定内に入っていたのかもしれない。

なお、本研究の発端は世界的な甲状腺がんの増加(参考資料2)にあったようである。この戦略に、たまたま福島原発事故がうまくフィットしたとみなすこともできよう。
バイエル社は6月2日米国臨床腫瘍学会(ASCO)第49回年次総会のプレナリーセッションで放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性分化型甲状腺癌患者さんを対象としたソラフェニブの有用性について検討する第III相臨床試験(DECISION試験)において良好な結果(偽薬対照群に対し無増悪生存期間(PFS:progression-free survival)を約倍に延長したと発表した。

参考資料1
http://www.yakuji.co.jp/entry31636.html
参考資料2
http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2013/news2013-06-10.pdf

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この記事に対するコメント

平常時の甲状腺癌による実際の死亡者数から推定した甲状腺癌保有者数と比べても異常に多い

事故後の福島の甲状腺癌保有者数12人は、
平常時の甲状腺癌による実際の死亡者数から推定した甲状腺癌保有者数と比べても、
異常に多いように感じます。

甲状腺癌による死亡者数は年間約300人、
うち1〜24歳の死亡者数は年間約0.5人。

1〜24歳の人口は約1500万人だから、
1〜24歳の甲状腺癌による死亡者数は 6万人当たり年間約0.002人。

福島で12人見つかったあの癌について、
「あのレベルの癌は、昔からずっと6万人当たり12人くらいは居たんだ」
と言い張っている方々に聞きたい。

1〜24歳に関して、
甲状腺癌による死亡者数は、6万人当たり年間約0.002人という実測があるのに、
あのレベルの癌の人が昔から6万人当たり12人も居た
というのでしょうか?
つまり、
甲状腺癌による死亡者数は、3000万人当たり年間約1人という実測があるのに、
あのレベルの癌の人が昔から3000万人当たり6000人も居た
というのでしょうか?

福島で12人見つかったあの癌が、
1年間放置しても6000人中1人しか死なない、つまり、
5年間放置しても6000人中5人しか死なない、そういうレベルの癌
だとでもいうのでしょうか?
(18歳以下の人は5年経っても1〜24歳に収まるので1〜24歳の死亡者数使用可)

あのレベルの癌は、放置してると10人中1人くらいは死に至ると聞いています。
となると、平常時の推定甲状腺癌保有者数は 0.002 * 5 * 10 = 0.1人 。

12人も居るなんて、平常時の100倍くらい居ます。


■甲状腺癌による死亡者数、うち1〜24歳の死亡者数、1〜24歳の人口の根拠。

www.saechika.net/kbk/main1/gan15/KJS-towa1.html
(「甲状腺がんと人数・年齢・性別」の節)によると、
甲状腺癌による死亡者数は年間約300人。

www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html
によると、
全年代の、すべての癌による死亡者数は 344105人、
1〜24歳の、すべての癌による死亡者数は 87 + 111 + 95 + 143 + 222 = 658人。

これら3つの数字を使って計算すると、
1〜24歳の、甲状腺癌による死亡者数は 300 * 658 / 344105 = 約0.5人。

www.stat.go.jp/data/jinsui/2011np/img/05k23-p.gif
によると、
1〜24歳の人口は約1500万人。

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