福島の子供の甲状腺エコー検査結果の公表を急げ

  • 2013/05/04(土) 20:36:11

甲状腺がんの発表を遅らせても、1〜2年の時間を稼げるだけである。甲状腺がんになれば首の周りの腫れが大きくなるので、誰でもわかるようになるだけでなく、遅れれば遅れるほどリンパ節転移や肺などへの転移が起こり、危険性もます。

突然、大量の小児がんの発生が予測されると発表されても、2千万人近い子供の検査が必要となれば検査機器の確保や検査人員の問題も起ころう。甲状腺手術をするにしても対応できる外科医の確保の問題もあろう。対策は常に先手、先手という思想で、万全の準備をしておくべきである。

日本の将来を担うのは子供であり、何よりも子供の犠牲は最小限にすべき最大の努力をするのが大人の務めであろう。
一方、発表を遅らせるメリットは原発再稼働や選挙への影響くらいしか考えられないが、発想は大人本位のエゴイスト的発想だ。

原発事故が起きた2011年度(2012年3月末まで)福島の子供36万人のうち1割強3万8千人の甲状腺エコー検査を実施した結果、二次検査対象が186名出て、その中から穿刺細胞診まで実施したものが76名。その結果10名が癌の可能性ありと診断された。今年になってようやく3名については外科手術も実施され(手術時期は公表がないが昨年秋には終えていたような気がする)組織病理診断の結果も癌であることが確認された。残りの7名の手術は当然完了したものと想像する。それで、いつ発表があるか注意してきたが、一向に発表されない。県民健康調査室のホームページからは2011, 2012年度の一次スクリーニングの結果も削除されてしまった。

昨年秋ごろ甲状腺エコー検査の結果、甲状腺異常率が高いということに関して、海外からのコメントもあったが、今回、海外の反応も調べたが昨年末からはなくなった。しかし、発信がなければ反応がないのは至極当然である。

現状は環境省発表の対照群からも高いB判定者が出たという報告で安心感がひろがっているようである。ところがこれは大人と子供の甲状腺異常をごっちゃに考えることからくることを4/16ブログに書いた。

しかし、その考えは日本にこれだけB判定者がでたことは低線量被ばく地域からも5万人の甲状腺がんが発症し、高汚染地域から約5万人出るかもしれない旨4/19ブログに書いたが、この時期ではまだ精度が悪く、5年後になれば、かなり精度良く推定できると信じている。

第二年度(2013年3月末終了)は1月21日時点で9万4975名一次スクリーニングの結果、549名がB判定となったが、それ以降の実施者から200名を超すB判定者がでたということを聞いたように記憶している。更にC判定者も初めて1名出た(このヒトは外科手術を終え癌か否かの最終判定は出ている筈と思う。
第二年度の内のかなりのヒトは既に穿刺細胞診が行われていると思うが公表はないので推測になるが、B判定者からの癌化率が初年度と同じと仮定すると35名の可能性がある。

第三年度(2013.4〜2014.3)は高被ばくの可能性の高い、いわき市も含め15万人が想定されている。特にいわき市は高濃度放射性ヨウ素プルームが通過した可能性が高く。この市の甲状腺エコー検査結果報告は重要であり、注目している。

この市の甲状腺エコー検査結果によっては、茨城県をはじめ、東北・関東圏の子供の甲状腺エコー検査が急がれることにもなろう。

先に対照群とした地域の子供のB判定率が高かったことから、日本全体が放射性ヨウ素被ばくの影響も考えられる事態になった。特に弘前の子供では福島の子供より多くのB判定者が出たことに対しては、徹底的に解明(半減期1600万年のヨウ素129の測定を含め)すべきである。その結果により新たな対策が必要となろう。

いろいろなことが重なり、ブログ更新が遅れて申し訳ありませんでした。
また、トラックバックスが突然大量に連日来るようになり対応できなくなったので、受け付けを停止しました。また、コメントについては自動的に載せるのではなく読んで選ぶように変えさせていただきました。

小児甲状腺がん10万人発症の可能性に対する御意見賜りたい

  • 2013/04/19(金) 10:26:18

4/2ブログで弘前市、甲府市、長崎市の3歳から18歳の総計4365人について甲状腺エコー検査を実施したところ、44人がB判定(5.1mm以上の結節、なお、20.1mm以上のう胞者ゼロ)になったと書いた。

4/16ブログにイタリアの小児病院からの報告として、甲状腺結節が起きた場合、大人の結節と違って4,5人に一人悪性化すると書いた。

この二つの事実から日本における小児甲状腺がんの発症率はとんでもない数値になる可能性は誰でも想定できる。勿論、小児甲状腺結節から悪性化率がイタリアと日本で違えば前提が崩れるし、また日本において対照群に選ばれた3ケ所の子供のB判定率が全国一律に起きると仮定する問題もある。

前回、あえて日本における具体的数値を書かなかったのは両方のブログを読めば、福島の子供の発症率などの問題は蚊帳の外において、日本における小児甲状腺がん発症率を考えるだけでとんでもない値になると感じてくれると思っていた。
ところがブログを読んだ2,3人に聴いたが誰もがなんとも感じてないことがわかった。
私としてはあまり大きなショックを与えてはいけないという気もあり、書き方に歯切れが悪かったこともあると思うが、小学生でも分かってくれるだろうと勝手な想像も反省した。

3県のエコー検査実施者4365人は日本の子供2000万人弱とすると5千人あたり1人となる。その中から44人に甲状腺結節が見つかったので10人の甲状腺が見つかることになる。従って、日本全体では5万人の発生が想定されることになる。
更に被ばく地域から同数出ると仮定すれば全部で10万人となるかもしれない。<単純な計算なのに倍に計算ミスし、しかし、タイトルまで変えられないのでこのように修正しました。>

小学生のレベルからの想定であるが甲状腺専門家を始め皆さまからの反論を賜りたく書いた次第です。

子供に甲状腺結節があれば20-25%はがんになるので、積極的なアプローチを

  • 2013/04/16(火) 18:42:08

タイトルは小児内分泌学会誌の今年3月号に発表された論文(参考資料1)から引用しました。甲状腺結節は大人に較べ子供での頻度は少ない。しかし、子供に結節があれば悪性腫瘍になる確率は高く、4-5人に一人は悪性化する。従って、積極的な治療をすべきである。どのように診断を進め、その結果によって次のステップをどのようにすべきかを、具体的なフローチャートで示している。

本論文は最近のイタリア、トリノ市における小児の甲状腺異常患者にどのように対処しているのかを述べた臨床報告であるので、原発事故後の放射性物質による小児甲状腺がんに言及した論文ではない。しかし、現在進行中の福島の子供の超音波検査に関連しそうな点も多々あるので紹介するしだいです。

日本でのメディア報道によれば、甲状腺異常(当然結節も含まれる筈)があっても悪性化する例はほとんどなく心配しなくても良いとされている。この論文では大人はそう言えても子供では甲状腺結節があれば非常に高率で悪性化するので、積極的に治療に取り組むべきと述べている。

最初の段階の甲状腺エコー検査は簡便で、安価で、生体に無傷で良いので勧められるが、悪性か良性かの診断をするのは困難である。例えば外から圧迫しながら触診でリンパ節部位に固さを認めた場合の診断精度は70%と向上するがまだ不十分であるので、穿刺細胞診<fine-needle aspiration biopsy (FNAB)>を行う。この診断精度は90%とのことであった。

なお、甲状腺異常者の家族歴や、過去の医療被ばく歴などの聴取も重要との記述もあった。
血液中の甲状腺刺激ホルモン (TSH), 遊離チロキンン (fT4)、遊離3ヨードチロニン (fT3)、カルシウム吸収に関係するカルシトニンなどの測定を進める記述があったが癌との関連性が薄いと思えたので割愛した。

参考資料
1. Clin Res Pediatr Endocrinol. 2013 March; 5(Suppl 1): 57–69.
Published online 2013 March 1. doi: 10.4274/Jcrpe.853
PMCID: PMC3608010
Thyroid Nodules in Pediatrics: Which Ones Can Be Left Alone, Which Ones Must be Investigated, When and How
著者:Andrea Corrias1,* and Alessandro Mussa1
下記URLクリックで英文文献全文を無料でダウンロードできます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3608010/#ui-ncbiinpagenav-2

5.1mm以上の結節の率、弘前は福島の3倍弱、検討課題だ

  • 2013/04/02(火) 21:02:08

子供の甲状腺エコー検査の他県対照群データについて上記のように全面的に訂正しました。

購読新聞は詳しいという私の思いこみから、環境省のホームページを確認しないまま書いてしまい、コメント欄でのご指摘から気付き、お詫びします。

環境省の見解やメディアからは福島も対照県も略同等だから安心だというコメントが多かった。
私が今回の環境省発表を検討した結果、この考えはほとんど意味のないA2判定の数値を中心に得られた結論であり、注目すべきはB判定の結果であることを強調したい。

今回の3県におけるA2判定は57.6%と高い数値が出たが、この原因の99%は20.0mm以下ののう胞率のカウントからきている。この高い数値に5.0mm以下の結節の関与率は1%以下である。<3月9日のブログに書いたようにA1とA2値の境界値の設定がないのでヒトによっては0.5mmののう胞でも数えるかもしれないし、20.0mmの大きなのう胞でも全く同じに評価される。今回の高い数値の由来はこんな粗い分類の結果から導き出された数字であり、この数値を規準にして判断しようとすること自体がナンセンスと思う。

この数値に注目が行ってしまうために真の姿が目くらまし状態にあることが問題であろう。
そもそも甲状腺がんのスクリーニングをするのも癌との関連性を見つけたいことにあると思う。そうであるならば結節の有無に重点を置くべきだったと思う。のう胞については判断資料としては副次的な扱いにするにしても、今回のような粗い分類ではのう胞0.5mmでも20mmでも同一にカウントするような規準でなく、のう胞ならば5.1mm以上とか境界値を設定し、よりきめ細かくしA1とA2の境界値を明確にすべきだったと思う。

結節については甲状腺がんとの関連性がかなりはっきりしていると思う。というのも(内外の専門家は甲状腺結節の大きさが一定以上(小児では5mmとか10mmとか国によって違っても)ならば穿刺細胞診を行い、陽性ならば摘出手術が一般に行われている理由による。

一方、のう胞と癌の関係についてはまだはっきり分かっていない部分が多いようである。勿論、当初「のう胞」であった部位に結節ができたとの記述を読んだこともあるので、無関係とはいえないが結節より関連性が低いことは明らかであろう。

以上の理由によりB判定だけに注目してみた。
B判定者のなかに20.1mm以上ののう胞はゼロだったので、全員が5.1mm以上の結節を有するということになり、解釈もすっきりした。

5.01mm以上の結節を認めたものが44人いたのでこの比率は全体の平均でも1%を占め、その高さにびっくりした。というのは福島で2011年度(2012年3月まで)が38、8114名中184名で0.48%;3月31日終了の2012年度が94,975名中538名であり、パーセントにすると0.57%しかなかった。

それに対し3県の平均が1%であった。市別にみると詳しくみると弘前市は1.3%、甲府市が1.1%、長崎市が0.6%であった。従って福島と較べると、弘前市は3倍弱、甲府市が略2倍、長崎市が略福島並みといえる。

今回の対照群検査では、例数が少ないので、発がん性との関連までははっきり言えないであろうが、弘前市でB判定者が福島より3倍弱も高かった考察を詰める必要はあろう。
例えばB判定者の住む地域が偏っているならば、その地域のヨウ素の沈着量の測定をすべきことが示唆される。当時の放射性ヨウ素131は現在残っていないので測定不可能と思えるが、幸いなことに半減期1600万年のヨウ素129(詳しくは1月13日ブログをご覧ください)が加速器質量分析計AMS(accelator mass spectrometry)で容易に測定できる。従って、この量を測定することにより、事故直後の131の量を推定<福島原発事故でもヨウ素129は原子数量としてはヨウ素131より約30倍放出されたことが報告されています。>できる。
結節の大きさが5mmを超えると直ちに穿刺細胞診の対象になる国もあるがわが国ではわが国のやり方出良いでしょうが、44名の子供たちの今後のフォロウも必要になった。

それから細かなことですが、試験計画書についてのコメントも書きます。
プロトコールを作る時、比較する場合には同一数にするのが、統計的にも検出力が最も高くなるので通常そうする。今回、甲府市と長崎市の検査人数は同じと見なせるが、弘前市だけは1630人と甲府および長崎市と較べても約270名多かった。
年齢別の割合でみると、例えば甲府市は3−5歳が34人に対し、長崎市では104名で約3倍も多く、16-18歳では315名対204名で逆に約5割にしかならない。このように総数だけでなく年齢別区分においてもバラバラなのは、最初から精度の高い測定を目指した様には思えなかった。

試験計画書についてのコメント:プロトコールを作る時、比較する場合には同一にするのが、統計的にも検出力が最も高くなるので通常そうする。今回、甲府市と長崎市の検査人数は同じと見なせるが、弘前市だけは1630人と甲府および長崎市と較べても約270名多い。
また年齢別の割合でみると、例えば甲府市は3−5歳が34人に対し、長崎市では104名で約3倍も多く、16-18歳では315名対204名で逆に約5割にしかならない。このように総数だけでなく年齢別区分においてもバラバラなのは、最初から精度の高い測定を目指した様には受け取れなかった。

また対象者を選ぶ選択基準が示されてなかったが、エコー検査を希望者する者から選んだとすれば、関東の被ばく地域からの避難者が多く選ばれる可能性があり、そうなれば本来の目的を達しないことになってしまう。従って、私はあり得ないことと思うが、あるブログでこのことを心配していたヒトもいたので、エコー検査の対象者の選択基準も示すべきと思う。

子供の対照群甲状腺検査詳細報告は速報より粗い

  • 2013/03/30(土) 11:08:13

今日の東京新聞2面に前回(3月9日)の速報より小さな紙面「 」で記載されていたのでおやという気持ちで読み、さらに吃驚した。
「5mm以下のしこりや20mm以下ののう胞の検出率
青森県弘前市 57.6%   1630人
山梨県甲府市 69.4%   1366人
長崎市    42.5%   1369人
<福島県   41.2%   13万3089人> 」

最も重視していた44名のB判定者の県別分布の記載がなかった。また年齢別の区分けさえなかった。

3月9日のブログに書いたように、A1とA2判定の間に境界値が設定されていないので、A1とA2数値を比較すること事態あまり意味がない。しかも,スクリーニングで5割以上の検出率があってはスクリーニングとしての価値が低くなってしまう。本来ならば詳細なプロトコールを事前に公表すれば有益なアドバイスが得られた出あろうに、これではほとんど参考にならないように思えた。
福島の子供の甲状腺測定結果は海外でも関心が高いので、試験結果(新聞では紙面の都合上止むを得ないが)はこのような概要でなく、詳細な報告書を日本語と英語で同時にインターネット上などで公表すべきと思う。

B判定者の県別分布や年齢別な仕分けがあれば考察も書きやすい。しかし、ないので、一応、3県の判定が均一に行われたという前提で本結果を考察すると。

被ばく影響は山梨県、青森県、長崎県の順であり、最も高濃度な福島が長崎よりむしろ低い(この差は僅少なので統計的に同じとみなせるが)という結果になってしまった。福島と他地域の甲状腺異常率では「福島とほぼ同等か福島の方がやや低い」と環境省は結論付けたと記載された。

福島の3万8千人の子供から、外科手術後の摘出部位の病理学診断で3名が、穿刺細胞診で7名が癌と判定されたエビデンスに対し、今回の少数例のしかもA2判定の結果から甲状腺がんの発症率に言及できないことは明らかである。

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