電力会社管理職社員が福島事故で死者は今後も一人も出ない。

  • 2012/07/17(火) 22:20:49

今朝のテレビを見ていたら、エネルギー・環境会議の意見聴取会の名古屋会場で中部電力の社員が福島原発事故による死者は一人も出ていないし、これからも出ないであろうと発言したとのことで吃驚した。
夕方のテレビでは幹部社員との説明だったので、会社がこんな認識で運営していることこそ、問題の根源だと思った。史上最悪の原子力事故に対してさえ、このような認識で原子力推進に邁進するならば、事故軽視につながり、わが国の原子力発電事故は起きてもおかしくないことになる。

次にチェルノブイリと福島の被ばく影響の比較であるが、26年経過したチェルノブイリでさえ、遺伝子を介する影響が深刻化してきているので、福島の全容はこれから長い期間の間に徐々に明らかになるものであろう。

しかし、長い時間がかかるので現在得られた情報から類推してみたい。
チェルノブイリは石棺かできたのに対し福島は今なお膨大な放射性物質を排出しており総量の比較はできないが、初期放出量に関しても核種も多様で全容がよくわからない。主要な核種の放出量の比較でもチェルノブイリの15%から数倍説まである。
またチェルノブイリが原子炉一基の水蒸気爆発だったのに対し、福島では4箇所の原子炉が関係し、放出形態もベントによる排出、水素爆発および核爆発(公式発表はないが国内および海外の核専門家による常識)と多様であり、比較は難しく、むしろ生物的影響を基に比較した方が容易である。

福島とチェルノブイリの類似した鳥について国際チームが双方の原発近くに住む鳥について検討したところ、個体数の減少は福島がチェルノブイリより大きかった。従ってチェルノブイリ以上の被害になるものとみなすのが自然であろう。

チェルノブイリの被害者数に関して私が最も信頼しているのは、ニューヨークアカデミーから発行されたChernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment 『チェルノブイリ――大惨事が人と環境に与えた影響』(2009年)である。これを読めば被害者数は百万人であることがわかる。そうすれば福島の被害者数も推定可能である。なお同本による犠牲者数は医学的見地からの数であり、放射能被害からくる経済的(住宅、栄養劣化からくるストレスなどを介する死)、精神的(自殺)、遺伝的な影響(不妊、奇形、流産、死産、堕胎)は含くまれないのでそれらを加味すればさらに膨大なものになろう。

幹部社員がこの本を読んだことがあるだろうか疑問に思った。もしこの本に欠陥があるならばどんどん指摘していくべきであり、関係者がこの本を知らなかったならば、そのこともまた罪み深いものと思う。

福島事故は始まったばかりであるが福島原発事故による犠牲者数は500人以上であることが日本メディアからも海外に発信されている。日本語では決して報道されないのでほとんどの日本人は知らないであろう。しかし、関係者なら知らないことはあり得ないことであろう。
幹部社員による一人もいない説の根拠は何に基づくだろうか?それとも原子力村の住民による、鉄の掟というものが存在するものだろうか?

福島原発事故はメルトスルーという過去人類が経験したことのない最大の事故になった。廃炉が完了する時期さえはっきり言えない、収束するにはこれから何十年もかかるであろう。野田総理が冷温停止を宣言したが、それは格納容器が健全な場合に使える言葉であり、世界の専門家を驚かせた。
格納容器から外に出てしまった燃料をどうして回収するのであろうか?さらには4号機プールや共通プールの核燃料棒の移動などこれから長い困難な作業がある。そこまで考えなく自分の定年まで過ごせばよいと考えるならば無責任極まりないといえよう。⇒今朝読み返して言葉不足を補いました。

チェルノブイリが自然の楽園は自然淘汰の結果である

  • 2012/07/16(月) 16:46:27

先週、ラット遺伝子に及ぼす影響は後世代になるほど悪化していく、即ち森に住むネズミの遺伝子異常は5,6年後(従って10世代以上も)まで悪化していくことを書いた。これはSiedendorf女医の「チェルノブイリは遺伝子の中で荒れ狂う」という記事の裏付けになるものと書いた。

昨年、「被ばくの森はいま」という映像で、チェルノブイリ原発から30km圏内は動物たちの天国だったような記憶がよみがえり、改めて映像を探したところ事故から20年以上経過後の資料(URLを最下段に記載)がみつかったので、改めて映像を見て、整合性を調べた。

この地域に住んでいた住民13万人は事故翌日から移動したままになったので、ヒトのいない森は動物の天国であろう。事故直後の短期核種による放射能はほとんど消失し、事故直後からは3%程度になった。この状態で新たに流入してきた熊、狼なども含め、自然の楽園の観を呈している。仔細に検討すると重篤な影響を受けた動物は絶え、周辺地区から多くの類似の種がこの楽園に他地域から侵入してきたことがわかる。鳥類では新たな侵入にも拘わらずいまだに個数が少なく、ツバメなど生存に支障のあるような奇形(癌になる、左右羽の不均一、卵の大きさが1/3、精子の形態異常)が今でも顕著に表れている。
鳥で顕著に表れるのは抗酸化能力が弱いことが原因であり、ネズミの場合には抗酸化作用が強力なので放射線被ばくにより惹起されるフリーラジカルが直ちに消されることがわかった。すなわちDNA損傷が防止されるのであって、修復機構が亢進するわけではなかった。
実験用マウスを赤い森の48日間おくと抗酸化作用が増殖することが実験的に確かめられた。<註;このような見事なホルミシス効果が確認できたのは、抗酸化作用の獲得が非常に出やすい実験用マウスの系が選択されたためと想像した。>
いずれにしても環境に適用できた動物しか生き残れない自然界では自然淘汰が進み、奇形などの起きたネズミは絶え、10年以上たてば抗酸化作用能力の高いネズミだけが生き残ったと考えられる。

従って、先の遺伝子障害が深刻化していこうが、適者生存の自然界にあっては環境に合致した能力を身に付けた動物だけが生き残る。よって、遺伝子障害の深化とフリーラジカルを即座に回復する能力とは世代の長さで矛盾なく両立することができる。鳥類のように抗酸化能力を高められなかった動物では今なお、個体数の減少がみられる。

参考URL
Part1; http://vimeo.com/24069680
Part2; http://vimeo.com/24095536
Part3; http://vimeo.com/24096821
Part4; http://vimeo.com/24097290
Part3; http://vimeo.com/24097534

政府のエネルギー・環境会議の意見聴取会もアリバイ作りか

  • 2012/07/15(日) 11:52:30

昨日さいたま市で始まった政府のエネルギー・環境会議の意見聴取会は、抽選で選ばれた九人以外の発言は認めず、政府への質疑もないまま二時間足らずで閉会した。とのことだった。
検察審査会よりも参加者もおり内容も明確にわかるので、それより透明性が高いことは認めるが、基本的には同じだ。

従って、各発言者は意見を述べるだけであり、ガス抜きとして利用されるだけと受け取られたようである。
これでは実りある結果は期待できないであろう。すなわち影にいる事務局が人選から意見の取りまとめまで行うので、事務局の意向に沿った結論となる。

14日の討論でも「政府は国民の声を聴く気がない」。事前登録した約百七十人の参加者からは、議論のあり方に厳しい批判が相次いだ。「国民的議論というなら、参加者がどの選択肢を支持しているのか公表してほしかったし、会場からも声を拾うべきだ」。原発0%を推す浅羽さんは「運営にすごく疑問を感じた」と語った。と東京新聞で報じられている。

討論するときは同じ土俵でしなければ意味がないので、話す前に共通の土台となる論点を絞り込んでおくことなども効率的でわかりやすく良いであろう。

ドイツで原発近くで白血病患者が多いか少ないかという全国的調査をした時、統計手法を含むプロトコールを原発推進派にも反対派にも見せ、納得の上で、調査を行った。また原発の議論を進行させた主婦は反対者と賛成者と意見のことなる人を前後で発言させることによって問題点を鮮明にさせ、聞く方にも判断し易い状況を作ったそうである。

官僚任せでは官僚の意に沿う形での結論しか得られないので、国民の意見を吸収する方法を考えるべきだろう。
原発再稼働問題など国民投票に適した問題と思う。



島田市瓦礫焼却により校庭が驚異的放射能汚染

  • 2012/07/14(土) 23:42:59

静岡県島田市の瓦礫焼却については、反対する市民グループが試験焼却のときから放射能を測定しており、試験焼却でも松葉の放射能濃度の上昇を計測した。
従って、中止するかと思ったら、市長が強引にとり進めたようだ。

本格焼却が始まってからたった10トン処理しただけで、島田市の小学校の校庭の土壌を測定した結果、早くもセシウム134,137の合計で 12万8000ベクレル/m^2 が測定された。

島田市はお茶の産地であり、茶葉の放射性セシウムの測定も、焼却炉からの風向きを考慮してかなりの地点を選択し、測定すべきだ。

以前書いたがセシウムの気化温度は761℃であるが、融点は29℃なので、気化温度より低い温度から気体になるので気化し易い。気化するということは分子状なのでバグフィルターが働かない。

放射性射性物質の除去を目的につくられたバグフィルターを備えた焼却炉の完成まで全国レベルで稼働を中止すべきだ。

放射線のラット遺伝子に及ぼす影響は後世代へ増幅される

  • 2012/07/11(水) 20:46:29

丁度一年前、Eisbergの日記で<当ブログのリンク7番目に掲載> 「チェルノブイリは遺伝子の中で荒れ狂う」を読んだことを思い出した。チェルノブイリ原発事故後、継続的に診療活動をしてきたSiedendorf女医が語った言葉だった。昨年は事故から25年が経過し、環境中の放射線量が徐々に低下してきていたにも拘わらず、子供の健康状況は年々悪化の一途をたどってきているという報告だった。このことから、遺伝子を介して発現していると解釈できた。しかし、この影響は何世代まで続くのだろうか?もし、臨床症状だけでなく基礎医学面からの裏付けもあればという思いもあった。
ところが、既にサポートする論文があったので紹介する。

ベラルーシのRose Concharova らは「放射能汚染地域で長期間被曝した野生ネズミの遺伝子を長期間モニターリングした結果」遺伝子突然変異の倍数対細胞の頻度が年を経るに従い増加することを観察した。
本報告は京都大学原子炉実験所 今中哲二(編)『チェルノブイリ原子力発電所の放射線影響についての研究活動と、事故の被害者援助の社会的活動』所収
されていますので詳しくはそちらでお読み(参考文献1)ください。なお、ニューヨーク科学アカデミー刊『チェルノブイリ:大惨事の人々と環境への影響』でも引用されているそうです(p.265)。

私が感じたエッセンスと感想を以下書きます。
●汚染地域について日本での該当地域は私の記憶から勝手に書き込みました。
チェルノブイリ原発事故後の1986年から1991年にかけて汚染度に応じて4地域を選び(4か所の放射線量はサイト1<ミンスク地方:日本では関東の低い地域に該当>がセシウム137の8千Bq/屐▲汽ぅ硲押礇船Д襯離屮ぅ蠍業から北北西400km:千葉・埼玉で線量高い地域が該当>が1.8万Bq/屐▲汽ぅ硲魁礇乾瓮衙60km:福島県内の主要地域>が9万Bq/屐▲汽ぅ硲粥礇乾瓮衙緬明40km:福島原発隣接市町村および飯館村>が 153万Bq/屬任△辰拭

●観察動物は野生ネズミ(森に住むドテネズミを主に、キクビネズミ)および実験用マウスで、非常に繁殖力が旺盛で1年で2〜3世代を経るので1986-1996年の10年間に20-22世代を経たと考えられた。
●線量の測定法:
外部被ばく量は地上高さ3-5cmでのγ線量を、体内被曝としては動物の体内γ線量をNaIシンチレーション検出器で、ストロンチウム90の測定は放射化学法で測定。
骨髄細胞における変異レベルは細胞分裂中期を観察する標準的な方法で、染色体異常(chromosome aberration)と染色体全体の倍数も調べた。生殖細胞の変異は雄の精子の頭部異常(abnormal sperm head)を観察。

●結果では遺伝的影響についてだけ書きます。
サイト1の低線量被ばく地域では染色体異常に変化は見られなかったが、5年後の1991年になると染色体異常が有意に増加した。
サイト2,3、4となるに従いその程度は強くなり、染色体の数が2倍とか3倍とか倍数性の増加が観察されたが年数が経過するに従い顕著となった。例えば1991年のサイト3と4で観察された9-12%という倍数性の異常は、事故前の200〜300倍にもなった。

●以下は感想:
チェルノブイリの4つの汚染地域と同程度の地域はほぼ東日本全体に及ぶので、3〜5千万人の該当者が住むであろう。従って、福島事故から何十年後、何百年後の東日本の健康状況を予測する上で、非常に重視すべき試験結果である。
このようにゲノム変異は年ごとに増悪しているため、想定外だったであろう。当初の予測と外れたためか染色体異常の研究は5,6年後<1991年、サイト2のみ1992年)で中止させられた可能性がある。

ゲノム科学の黎明期であった26年も前に、今のベラルーシの貧弱な設備でRose女史らにより始まった遺伝子研究の追試を、これから日本で行なわれるならば、最新のゲノム科学に立脚した素晴らしい成果が続々と得られるであろうと想像する。
しかし、日本では放射線が安全だという方向に対する研究補助はあっても、被ばく影響に関する試験研究費を出すなど考えられず暗澹たる気持ちになった。
日本で研究を封印しても、高速ゲノム解析時代に突入した現在、世界のどこかで誰かが明らかにすることは間違いないと思いついたら考えたら少し明るい気分になれた。

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