今回の選挙は原発が最大の焦点になるべきである

  • 2012/12/15(土) 00:24:35

福島原発事故から1年9ケ月が経過したが、被害の実態を氷山に例えれば、まだほとんどが水面下に隠れているので気が付かないだけである。もっとも放射能による被害は実に多様であり、例えば、植物や昆虫などで観察された奇形にしても、個体ごとに変わり化学物質で見られるような特徴ある奇形があるわけではないので分かりにくい。

更に、メディアも多くの専門家も沈黙しているので、やがて起こるかも知れない惨劇について、想像できていないのはやむを得ないかもしれない。
しかし、チェルノブイリ事故の教訓から、福島の将来を類推することは可能である。
それはチェルノブイリで起きたと同じ線量を福島で被ばくすればほぼ同じ影響が現れるというシンプルな考えに基づく。

大気中に放出された放射性物質の総量の推定はされているが、放出形態の相違(1回の水蒸気爆発に対し、ドライベント、配管漏れ、水素爆発、格納容器内核爆発と多種多数回放出)や人口分布など比較は困難である。むしろ個人の受けた被ばく量からの類推が有効な手段である。
その意味で先日発表された二俣町の子供のフィルムバッジによる線量測定は貴重な記録になるところであった。ところが測定は昨年6月から開始であり、最も被ばくした期間である事故直後から6月までの記録がないのであまり役立たない。
そういえば福島全県と宮城県の一部の地域の線量計は事故直後から何カ月間も故障の連続で新聞には計器故障と表示されていたことを思い出した。

しかしながら、受けた線量はγ線だけであり、被ばく影響という意味では全放射性物質の総合的な影響を類推できる染色体異常検査が有効である。チェルノブイリではかなりの論文が発表されているのに、福島からは全く報告がなく比較は不可能であることがわかった。なお、福島で染色体異常検査の報告が何故ないかは誰もが抱く謎である。⇒のNHKニュースを聞いていたら妊婦が出産前に染色体検査を受けられるシステムを今後作るのでダウン症などの事前チェックが可能になるとのこどであったので勝手に想像することができた(12/16)。

次にチェルノブイリの子供の甲状腺異常率に対して、福島の子供の甲状腺異常率は事故から1年半というのに、小、中の女児に関しては5割を超える高頻度で起こっている。この甲状腺の高異常率の評価は早ければ後1年、遅くても2年後には明らかになると私は予測しているので、今はこれ以上述べない。

結局、地表に降下した放射線物質の線量は両者ともにあるので比較可能である。それを見ると、福島の最も高濃度地域(原発から飯館村の一部までの約30kmの帯で一部切れ目あり)はセシウム137だけで比較してもチェルノブイリの最高濃度地域の10倍も高いことがわかる。このような場所は除染など考えられず初めから避難すべきところだ。

次に福島とチェルノブイリの類似した鳥類についての調査から福島の減少率が高いことが報告されたことである。

次に将来への予測であるが最も重要なことは9月22日のブログに詳しく書いたがウクライナのナロジチ地区(福島市の高汚染地区に相当するセシウム137が50万Bq/m2前後)では病気の子供の率が年々増加していることである。事故後何年間はほとんどの子供が健康だったのに年々悪化の一途をたどり16年後は80%の子供が病気だったのが、26年後の今年になると健康な子供がいなくなってしまったことである。

太平洋戦争では焼け野原となったが、国破れて山河ありという言葉の通りに速やかな復興が可能であった。
しかし、放射能に汚染された地域に病気の子供を置き去りにして復興などできるわけがない。
子供世代には責任がないので、チェルノブイリの再現を防止する責務は事故を起こした我々世代が負っている。
ナロジチ地区の実態を調査し、分析し、福島での再現を絶対に防止しなければならない。更に地震国日本で再び福島級の大惨事を起こしてはならないことは自明である。最悪のケースでは日本消滅もあるので、故に最も優先度の高い課題と思う。

川俣町の子供は昨年6月から1年間に平均値で1.14mSv被ばく

  • 2012/12/11(火) 21:05:53

今日の福島民友ニュースによれば、<川俣町は9日、昨年6月から1年間を通じて町内の全小中学生、幼稚園児1329人を対象に行ったガラスバッジによる積算線量測定の結果を発表。平均値は1.14ミリシーベルト(自然から受ける平均線量を除く)で、全身に1度に浴びる線量が100ミリシーベルトを超えなければがん発生増加が認められないという国際基準を大きく下回っており、測定した近畿大は「放射線の影響は心配ない」と結論づけた。>と報道された。

この報道には問題が多いので個別事項ごとに分類し書く。
1.最も被ばくしたのは爆発事故から数か月であるので、6月から測定ではかなり低くなっているものと想定される。川俣町における空間線量の測定数値があれば、それ以降の川俣町の測定数値との比較から大凡の推定は可能であるので、事故後より6月までの被ばく量を算出すべきだ。また平均のバックグランド数値の根拠とその数値も示すべきだ。

2.全身に1度に浴びる線量が100ミリシーベルトを超えなければがん発生増加が認められないという国際基準を大きく下回っているという文章にはいくつものミスが重なっているので説明する。

2−1. 全身に1度に浴びる線量について:
放射線被ばくにおいて、低線量長期被ばくは加算されると言うのが世界の常識である。日本でも、食品安全委員会の意見交換会に出たこともあるが、当初は直接被ばくと内部被ばくを合算して一生涯に受ける被ばく量を100mSvと設定し、そこから年間1mSv案が出た。従って、この委員達の共通の認識は被ばく線量が加算されるということで一致していた。
なお、脇道にそれるが、食品委員会で現行の食品1kg当たり100ベクレルという基準が決まった経緯について説明すると、直接被ばく量の推定値は地域によって著しく違うし、経年的にも減少が見込まれたので、数値を出すのが困難なことと、基準が厳しくなることへの反発もあり、結局内部被ばくだけで1mSv/年案の採用となり、それを根拠に現行の食品基準が決まった。

2−2.100ミリシーベルトを超えなければがん発生増加が認められないか:
松崎道幸医師によれば日本の原発労働者の健康調査によると10ミリシーベルトで、癌が3%有意に増加するという結果が出ており、医療被ばくによる患者さんの追跡調査でも同じ結果が得られたということです。

2−3.感受性差の記述なし
新聞には書かれてないが、放射線の影響は細胞増殖の盛んなほど影響を受けることは常識であり、この大人と子供では感受性差は、Goffmann医師によれば5倍である。先月来日されたCardicott小児科医は感受性差を10倍と話していたように思う。子供の健康を問題にしているのに大人の感受性で論じるのはおかしい。

2−4.子供の呼吸による肺や食べもによる吸収による被ばくが説明がない
主にγ線による直接被ばくだけでなく、空気中を浮遊する放射性物質を吸入し、肺に取り込み被ばくすることと水や食品を介して腸から吸収される内部被ばくも受ける。
ECCR(欧州放射線リスク委員会)ではこの場合には100から300倍も被ばく影響が大きいと見なしている。

アメリカでは原発はコスト競争力に負け続々と廃炉へ

  • 2012/12/07(金) 00:17:30

10/23のブログに「米電力大手ドミニオン・リソーシズは来年、米ウィスコンシン州にあるキウォーニー原子力発電所を閉鎖する。米国のシェールガス生産が急増し、今年1─9月の電力価格は、昨年同期に較べ約30%価格が下落した。石炭火力発電所の閉鎖に続き、原子力業界にも影響が出始めている。」と書いた。ところが地震地帯に一基の原発施設も作られていなく、また過酷な原発事故をおこしていないアメリカでは採算上の理由で廃炉が進みだした。

福島事故の反省にからか、世界でも原発は2012年1月現在、全世界の138か所の原発が廃炉(アメリカ28、イギリス27、ドイツ、27、フランス12、日本9、ロシア5:参考資料1)となり、今後10年以内に更に80の原子力発電所の廃炉が予測されている。

アメリカでは安価なシェールガス生産が可能になったにもかかわらず、太陽光発電にも力を入れていて、Sunpower社(SPWR-NASDAQ)など次から次へとメガ・ソーラを建設している。
そのほか地熱発電にも注力し、2020年までに2000万メガワット(原発20基に相当)に拡大される。日本は火山国なのでこの面でも有利である。

日本では太陽光発電は割高で採算が合わないと良く報道されているが、ヨーロッパではドイツ、南イタリア、オランダそしてスペインで、太陽光発電のコストが住宅用の電気料金と同等になったそうです:参考資料2)。

緯度の関係で太陽光線の強い日本は有利なのでその原因が買い取り価格にあるのか、設置の工事費にあるのか知らないが、採算ベースになるのは時間の問題といえよう。

⇒昨晩以下の文を書きたい思いがあったが眠くなり止めたので朝追加します。

福島原発事故による被害は、まず抗体産生能力の低下による各種伝染性疾患の増加となって現れたことが、厚生労働省統計でも明らかになった。それに続いて起こる可能性の高いものは甲状腺がん、白血病、肺がん、心筋梗塞などの数多くの疾患が想定される。しかし、このような人的被害だけでなく、更に4,5年後には太平洋沿岸各国からの巨額な賠償請求が想定されている。更に福島原発では何千人の作業員を10年以上解体処理に当てねばならず、その費用も莫大であろう。
何万年にわたる使用済み核燃料の保管費用など計算も困難であろう。

ところが、重篤な原発事故を起こしていない、また地震国でもない国で、原子力発電はコスト競争力にまけ続々と廃炉になりつつある。
一方、わが国メディアは原発停止により、燃料費高騰で国際収支も赤字になったと騒いでいる。

この正反対の見解は両立しない、どちらかが間違えている。
私が危惧しているのは、現在を最小限で何とか切り抜ければ、後の世代がどうなろうと考えたくないというヒトがあまりにも多すぎると思う。
従って、視点は10年後の日本におくべきと思う。

参考資料
1. http://www.unep.org/yearbook/2012/pdfs/UYB_2012_CH_3.pdf
2.http://www.pvparity.eu

原発から飛散した放射性セシウム粒子の径と組成

  • 2012/12/01(土) 23:45:54

一昨日、放射性物質が運搬される担体や粒子径が分からないと書きましたが気になって調べましたら参考資料が見つかりましたので訂正し、放射性粒子の径と組成という項目を作りました。原発事故という突発的なできごとの後に行われる基礎的な検討であるために、最も必要な爆発事故後のデータ収集などほとんどされたことがなく、また実験で同じ事象を再現できるものではないことから、今後期待できるのは産総研が昨年11月までに捕集した放射性粒子の解析結果によるデータ追加くらいの様な気がする。
瓦礫焼却による放射性粒子の解析は、焼却をやめれば不要になることであり、そのための基礎データの収集研究費は、もっと建設的ことに使うべきだ。

●京大による予備試験
今年1月、小泉昭夫先生をトップとする京大チームが福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価というタイトルで下記URLに発表しました。
http://hes.med.kyoto-u.ac.jp/fukushima/EHPM2011.html
ここでは吸入被ばくに関するポイントのみを書きます。
<方法>福島市内に設置したアンダーセン式大気捕集装置を用いて、空気力学的直径の異なる大気粉じんをそれぞれ捕集した。調査期間2011年7月2-8日。
<結果>粒子径も0.46-3.3μm<実際はこの部分を4つに分けていた>の比率が最も高かった。従って、肺胞内に入り込む量もこの粒子径のものが最も多かった。
<私の感想>
この時期は爆発後4ケ月後にもなるので、彼らも推定しているように一旦沈着したものが再浮遊した可能性もある。京都から実験準備をして実施となると期間が遅れるのは止むを得ないような気もするが、原子力事故当時とはかなり違う可能性が高いと思う。

●産業技術総合研究所による粒子径および担体の解析
今回福島第一原発から160km強離れた場所にある産業技術総合研究所の環境管理技術研究部門、大気環境評価研究グループの兼保直樹主任研究員らが中心になって2011年4月28日より大気エアロゾルをサイズ別に分級して捕集し、放射性セシウム134Csや137Csを含む粒子の粒径分布と大気エアロゾルの主要成分の粒径分布を測定し、その報告書はEnvironmental Science and Technology 46(11), 5720-5726 (2012)に掲載された。
また邦文による概要は産業技術総合研究所内の下記URLで見ることができる。
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20120731/nr20120731.html#c
上記英文と邦文を読まれれば全容がお分かりになれますが引用箇所を「」内でくくり示します。 
「2011年4月28日より茨城県つくば市にある産総研つくばセンターにおいて、エアロゾルを13段階の粒径に分級し吸引捕集した。2011年4月28日〜5月12日に捕集した大気エアロゾルに含まれる137Csや134Csの放射線量を測定し、これらの粒子の粒径分布を測定した。」
⇒放射性物質捕集時期は事故後1カ月半後になるが、突発的事故後だけに随分努力されたようにも思える。昨年11月までの放射性粒子の捕集を続けた試料が残っているので、今後分析予定とのことで、4月から11月までの期間における違いがあるかなど、今後の分析結果に期待できそうである。

*137Csを含む粒子と134Csを含む粒子の粒径分布はほぼ同じで、大部分が空気動力学径(以下「粒径」という)2μm以下の微小粒子領域に存在し、0.2-0.3 μmと0.5-0.7 μmに極大値を持つ二峰性の特徴的な分布を示した(図1A)⇒この図はURLのをクリックすると見れます。

*担体については放射性セシウムは、硫酸塩エアロゾルに含まれた状態で大気中を輸送された可能性が高いが結論だった。

*本研究成果は放射性物質の拡散・沈着モデルの改善に資することで、実態解明の進展に期待されるとのことだった。

長野県は落ち葉の野外焼却の自粛を市町村に通知

  • 2012/12/01(土) 12:07:36

現在大阪市は放射性物質を含み、アスベストについては正確な調査結果が出ていない危険性のある瓦礫の試験焼却を始めた。
一方、関西の隣の中部地方にある長野県では落ち葉の野外焼却の自粛を市町村に通知した。

少し古い記事で気がひけますが知ったばかりなので紹介します。
信濃毎日新聞2011年11月15日によれば、見出し言葉が県「たき火・焼き芋自粛を」 落ち葉のセシウム沈着を懸念
「県は14日、文部科学省の航空機による放射線量モニタリング調査で佐久地方の群馬県境付近で放射性セシウムの沈着量が比較的高かったことを受け、落ち葉でたき火をしたり焼き芋をしたりすることを自粛するよう県民に伝えることを、県内全市町村に要請した。落ち葉は放射性物質が蓄積しやすく、汚染されていた場合、燃やせば灰のセシウム濃度が高くなる上、大気中に広がることも懸念されているためだ。
文科省が11日公表したモニタリング調査では、佐久地方で局所的に地表面へのセシウム沈着量が比較的高かった。一部地域では落ち葉の放射能は高いとみられるが、県は「それ以外の地域の落ち葉が大丈夫とも言えない」(県廃棄物対策課)として、自粛地域は限定せずに広く注意を呼び掛けることにした。
 今回の要請に当たって県は、落ち葉を使っての焼き芋などでセシウムが濃縮された焼却灰が口に入る可能性がある―と懸念。一般廃棄物として市町村などの焼却施設で処分するよう促している。果樹などの剪定(せんてい)枝についても「市町村の焼却施設に出すのが好ましい」との見解を示した。住民への周知の方法は各市町村に委ねる。環境省によると、フィルターが付いた焼却炉では、焼却灰に含まれる放射性セシウムの大気中への飛散量を99・99%以上除去できるという。
 県ではこれまで落ち葉の放射能を調べてはいないが、北佐久郡軽井沢町が町内5カ所で今秋測定した落ち葉の放射能は、セシウム134が最大で1キロ当たり1400ベクレル、セシウム137が同1800ベクレル測定されている。
 放射能測定や除染について情報共有するため、県が県内自治体担当者らを対象に県松本合同庁舎で14日に開いた連絡会議で通知した。」

ところがこの記事に基本的におかしなところが二つあった。
「環境省によると、フィルターが付いた焼却炉では、焼却灰に含まれる放射性セシウムの大気中への飛散量を99・99%以上除去できるという。」

⇒この文章は科学的見地から納得できない。
化学物質は分子結合であるために何千度の高温で焼却すれば分解されて無害になる。従って、化学物質ならばダイオキシンであろうとなんでも大気中への飛散量を99・99%以上除去できると表現は正しい。

一方、放射線は原子核内の反応なのでこれを制御できるのは、高速中性子の照射とか太陽のような高温しかなく、焼却炉内では何もできない。
結局放射能を取り除くためにフィルターを考えるかもしれないが、セシウムならば気化温度が671℃と低いので焼却により容易に気化する。気化すれば1モル分子に含まれるセシウム原子の数は天文学的な値(6X10^23)であり、これを取り除けるフィルターは原理的に存在しえない。

ただし、簡単な方法がある。それは原子力発電所でウエットベントと呼ばれる方法(水槽のなかを通すことである)である。しかし、福島第一発電所にもこの設備はなく放射性物質はドライベントで放出された。このウエットベント設備を備えた日本の原子力発電所はないと記憶しているが、原子力発電事故よりはるかに線量が低いので作れないことはないであろうが高価であろうし、各地に作るべきものではない。

2番目におかしな点は行政上の問題である。即ち環境省管轄下にありながら、関西とその隣の中部地方において、市民に対しては瓦礫焼却を禁止しながら、地方自治体に対しては多額の税金を使いながら瓦礫焼却勧めている矛盾である。環境大臣は矛盾に応える義務があると思う。

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