空母の米兵による訴訟問題、訴訟人数増加か?

  • 2013/01/20(日) 10:41:33

昨年12/29のブログにて、放射線被ばくに関する情報統制(メディアブラックアウト)は不可能であろう。その理由に放射性物質には国境がない旨書いた。更に日本人以外から来る訴訟問題についても触れた。しかし、詳しい情報がなかったので、次のことだけ書いた。

「原子力空母なので放射能測定装置を有しているので線量は自ら測定し、判断できる筈なので、請求先を間違えたような気がする。但し、本訴訟による裁判の過程で期待していることが一つあり、それは3号機核爆発時にどの程度の放射性物質(東電発表は極めて少ない)が放出されたかが裁判の過程で明らかになることである。裁判の結果によって正確な数値が出れば、日本人の被ばく対策にも有用であろう。」

Wall Street Journal誌の電子日本語版1月18日号に、カリフォルニア州弁護士、ポール・C・ガーナー氏に日本人記者が質問し纏めた記事を読んだので感想を書く。

*原告は8人から更に増加の可能性が大きい(それに伴って賠償額も当然UPか)
発端は原告の一人である女性乗組員(リンジー・クーパーさん、23)の父親が、娘の体調が悪いと言って訪ねてきた。 調査していくうちに、ほかの乗組員のなかにも具合の悪い人がいることが分かった。何かに集中できなくなったり、体重が急増したり、逆に減ったり、腸からの出血や鼻血、甲状腺に問題が生じた人も複数いる。原告(8人)は、全員20代の若者だ。いずれも以前は健康だったが、徐々に症状が進み、ある時点で顕著になった。連日、片頭痛に襲われるようになった人もいる。

現在、何らかの症状が出ている乗組員は、すでに40人を超えている。骨や骨格組織の衰弱などが見られる人もいる。単なる偶然にしては、人数が多すぎるだろう。診断した医師(軍所属でない内科医)は、因果関係があるという認識をは日ごとに深めている。

*訴えた理由は東電からの被ばく情報軽視を組織的な詐欺行為と見なす
東電は何が起こっていたかを知っていたはずだ。もし自宅で事故が起こり、どのくらい危険か知っていたら、救援に来る人たちに警告するのが務めである。
更に、甲板なども海水で必死に洗浄したが、海水も既に汚染されていたので、無駄な作業をし、被ばくが加算された。

*賠償額総額200億円弱 <個人1億1千万ドル(約100億円)と非営利医療組織の設立基金として1億ドル
#個人賠償1億1千万ドル(約100億円)内訳<8人X1千万ドルそのほか懲罰的賠償額3千万ドル<これは2度とこのような情報隠ぺい防止のため>
#被災者などに治療を施す非営利医療組織の設立基金に1億ドル<これは原告ならびに日本人のためも考えて場所はハワイを想定)

私的な最大の関心事は裁判で正確な被ばく量が公表されることにあり、昨年末と変わっていない。

NHK放射性ヨウ素番組(昨年4月、今月)についての感想

  • 2013/01/16(水) 22:19:00

先日書いたブログは記憶薄れによる数字の若干の間違いや、歯切れの悪い文章であったために誤解をあたえた箇所もあったようです。それで、2012年4月1日、NHKETV、「ネットワークで作る放射線地図」と1月12日のNHKスペシヤル、「空白の初期被ばく」の両方のビデオを観てブログを書き改めました。

前回のETV特集の後のNHKということで連続性を期待したが、前回の分と今回の分が合体し、総集編のような形になっていた。NHKでも外局で作られたETVと違って、個別の具体的な言及を避けなければならない制約がかかっていたと思う。そこを、鎌田キャスターが誰も文句をつけることのできない一般論でうまく展開されたと思う。

前回のセシウムの分布とヨウ素では分布が異なることが報道されたが、その理由について気化温度の違いの時、抽象的な説明だったので、ヨウ素の沸点は水より高い184℃(113℃は融点)に対し、セシウムは671℃と具体的に言えばよりわかり易いと思った。

前回は二次元画像だったが放射性ヨウ素の分布の動きは良くわかった。今回は一部、三次元映像が出て、この時は放射性ヨウ素が地面を這うように分布していく様子がはっきりと映し出され、これが今回のハイライトと思った。このような素晴らしい映像が完成したのも、手弁当でご尽力された次の先生方(岡野、鶴田、滝川、田辺、佐藤)によるものと感謝します。
この図から放射性物質は風向きや風の幅によってあらゆる方向へ向かい、ある場合には細い線のようにどこまでもあまり希釈せず200-300kmも飛んで行くケースも起こりえることが理解できました。このことは原発事故時の気象条件により、広大な地域が影響を受けるので、避難区域の見直しが必要なこと示唆している。

前回の番組と今回の番組を聞いて整合性がないというか二つを結びつけようとすると理解できなかったのは甲状腺等価線量の話であった。前回は測定日が4月11日だったので、3月12日被ばくしたと見なして換算したこと。大人の経口93mSv吸入被ばく87mSvは一歳児ではそれぞれ811mSvと753mSv、四歳児では434mSvと402mSvに相当すると具体的に話した。今回は40代男性で甲状腺等価線量33mSvが乳幼児が63mSvとのことだった。4月11日の実測値を何日までバックしたのか、乳幼児の具体的な想定年齢は何歳などの話がなかった。多くの国民は9ケ月前にみていたわけなので消化不良のヒトも多かったような気がする。WBCによる放射性セシウム濃度からの推定については次に述べる理由で何も頭に入れる必要はないであろう。

放射性ヨウ素の測定については誤解を与えないよう詳細に書きます。3月24日から30日にいわき市、川俣町、飯舘村の子供約1000人余りで甲状腺部位にNaIシンチレーションサーベイメータをあて、そこから出るγ線量を測定した。このタイプの線量計は核種を識別できないので、甲状腺から出るγ線だけでなくバックグランドも全て拾ってしまうものであった。<当然バックグランド値を引き算したわけだから、本来は子供を非汚染地域まで移動させ測定すべきだった。またデータの信頼を得るためには個々の実測値とバックグランド値も公表すべきだ。>

4月10日前後、弘前大学の床次教授のチームは浪江町津島地区にてヨウ素131のγ線を特定して測定できるγ線スペクトロサーベイメータを用いて大人の甲状腺から出る線量を測定していた。ところが60名くらい測定したところで福島県からの電話による中止要請を受け中断した。
このようなわけで、福島の子供のヨウ素131被ばくに関するデータが存在しないことが明らかになった。そこで浪江町は床次教授にヨウ素131の被ばく量を何とか推定する方法はないか依頼した。

同教授は同一人における放射性セシウムとヨウ素131の計測(2011年4月10日前後か)を行っていたので、町から与えられた町民の被ばくデータ(原発事故から1年後のWBCによるセシウム134の測定結果)からヨウ素131の被ばく量を推定被ばくデータであった。
このWBCによるセシウム134の値から3月中旬におけるヨウ素131の推計を試みたわけです。
私は同教授にできることはこれしかないから止むを得ず試みたと理解しました。

ところがテレビというものはすごい反響を呼ぶもので、次のような言葉「福島第一原発事故による甲状腺の内部ひばくを、セシウムによる内部被曝から推計する方法を、弘前大が考案した。甲状腺被曝を起こすヨウ素は半減期が短いため実測できた人はわずかしかないが、弘前大の手法を使えば、不明だった甲状腺被曝の実態解明につながる。」との期待があがった。

期待に水を差すことで申し訳ないのですが、被ばく時から数ヵ月後ならこの考えは通用できても、1年も経過したら使えなくなる。
何故なら、放射性物質を体内に取り込んで場合、物理学的半減期と生物学的半減期の二つの影響受けます。生物の受ける影響はこの合算されたものになります。
次のURLをクリックするとグラフが出てきます。
 http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/RPD/JPDF/gy/jgyCs137WB.pdf
このグラフから半減期を読むと、成人では80日くらいですが、5歳児では20日しかありません。即ち、20日で半分、40日で1/4、60日で1/8、80日で1/16、100日で1/32、200日で約1/1000となります。400日経てば百万分の1になります。
1年後のWBCで計測された値は、放射性ヨウ素のプルームを浴びた時に一緒に浴びた放射性セシウムは何十万分の1に減弱しており、もし高い値になっていれば、その後食品や、呼吸時に吸い込んだ放射性セシウムであることを示しています。
今後測定するならば、事故から2年経過後になってしまうわけで、放射性セシウムを測定しても、そこから放射性ヨウ素を類推することは無理です。

ここから書くことはテレビ放映では全く触れてなかったですが放送すべきことだったと思います。
一方、放射性ヨウ素131の環境中に降下した濃度の推定は、ほとんど消失してしまった現在でもかなりの精度で可能です。
ヨウ素とセシウムでは放出する時間も違い、元素の違いによる分布状況の違いが生じますので、同じ元素がのぞましく、また原子炉からどちらも多量に放出されていることが望ましいわけです。

この条件を満たすものがヨウ素129でした。三宅らは(参考資料1)、原発事故後まもなく、まだ環境中にヨウ素131が存在している間に、半減期約1600万年もある超寿命のヨウ素129の測定を原発から4kmくらいの地点から同心円上に福島市まで広範囲に広げ、組織的で綿密に実施しています。原子炉内にあったヨウ素129の量(原子数)はヨウ素131より約30倍も多かったと思われる結果が得られました。しかし、多量存在したにもかかわらずあまりにも長い半減期の関係でベクレル数はヨウ素131が1ベクレルなら、129は30X8(8/16000000X365)=0.000000041ベクレルしかありません。
当然、放射活性からは測定できないので、加速器質量分析計AMS(accelator mass spectrometry)により超微量分析を行いました。
なお、ヨウ素129についてはブログに別途書きます。

低線量被ばくの場合には個人差が非常に大きいので、被ばくの可能性のある子供についての甲状腺検査を定期的にしっかり行うことが重要だと思います。

参考資料
三宅らによる海外雑誌投稿文(ヨウ素129からヨウ素131の量を推定する方法)は次のURLで読めます。
http://www.terrapub.co.jp/journals/GJ/pdf/4604/46040327.pdf

昨晩のNHKスペシャル放送でのおかしな点について

  • 2013/01/13(日) 13:36:06

昨年4月ころ、NHKETV特集で空白の放射性ヨウ素についての報道があり、その時は非常に新鮮な気持ちで見た。今回はその続きになると思った。しかし、其の後編でなく、それを含めての総集編となっていた。タイトルにおかしな点と書いたが、放送局の原発報道は原子力村の強い影響下にあるためか、偏った観点からの報道がほとんどなので、そういう意味では上出来と言えた。

ヒトが吸気として吸うという観点に立てば、地面を這うように放射性ヨウ素が拡散していく三次元映像が本放送のハイライトと思った。この映像が完成したのも、手弁当でご尽力された次の先生方(岡野、鶴田、滝川、田辺、佐藤)によるものと深謝します。この図から放射性物質は風向きや風の幅によってあらゆる方向へ向かい、ある場合には細長くあまり希釈せず200-300mkmも飛んで行くものであるという強い印象を受けました。

NHKでも外局で作られたETVと違って、具体的論での言及を避けなければならない制約がかかっていたと思う。そこを、鎌田キャスターが誰も文句をつけることのできない一般論でうまく言及していたと思う。

次におかしな点について、床次教授を非難する気はないのですが、むしろ浪江町民からのたってのお願いで苦肉の策で考えられたとおもい同情します。しかし番組でこのことが、何故か一人歩きして、他の町村からも依頼がきているというナレーションがあったのでびっくりして、書く次第です。

セシウム134の半減期は2年ですが、生物的半減期は短いわけです。生物的半減期は下段グラフ(参考資料1)から目算すると、成人約80日、5歳児約20日、1歳児約11日となり、若くなるに従い早く排泄されます。即ち、放射性セシウムは物理的半減期でなく、生物半減期が律速段階になっていることが分かります。

浪江町でのWBCによる測定が2,3月遅れならまだしも、1年経ってからでは子供にあったセシウムはほとんど排泄された後で測定されていることになります。浪江町の子供全員からWBCの陽性はたった一人しかいなかったこともこの裏付けになります。なお、何故この子が陽性になったかは放射性セシウムが体外へ排泄された後に、食品とか吸気などにより、再び体内に取り込んだからと考えられます。

原発近くの浪江町の成人町民でも1年後のWBCの測定ではほとんどの住民が未検出{註:日本ではWBCの測定台数が少なく希望者は多いので、一人2,3分しか時間をかけていない。海外では一人当たり30分かけて測定しており、50ベクレルの単位まで測定している。従っておおよそ、日本の検出力は1/10しかない}であり、子供ではたった一人でしか検出されなかった。
従って、これから他の市町村がはじめれば、2年後となりWBCの数値から、事故直後の放射性ヨウ素の推定は難しいであろう。

⇒先ほど書いたばかりでしたが、ヨウ素131の量を、何年後であろうと類推する良い方法を思い出しましたので追加します。
この方法は、体内へ取り込んだ量でなく、環境中に放出された濃度です。ヨウ素131は短命なので長寿命のヨウ素129と比較すれば可能になります。
放送中にもヨウ素とセシウムの気化温度<ヨウ素が184℃(115℃は融点)115℃なのに対し、セシウムは671℃>での違いから、放出される時間が変わり、風の方向も変わり分布が変わる話がありました。化合物の移動の類似性からも同じ元素が望ましいわけです。また同じ原子炉からどちらも多量に放出されていることが望ましいわけです。この条件を満たすものがヨウ素129でした。三宅らは原発事故からあまり時間が経たないうちに、原発から4−59kmの同心上にある50箇所の地表面に存在するヨウ素129とヨウ素131の両者を測定し、ヨウ素131が消失しても残った129から類推可能なことを見つけ、欧文誌にも掲載(参考資料2)されました。

チェルノブイリ事故時と違って測定機器の進歩に伴い加速器質量分析計AMS(accelator mass spectrometry)により超微量分析が容易にできるようになりました。
原子炉から放出されたヨウ素129の量(原子数)は131の量より10数倍にもなる大量でしたが、半減期が16百万年と長いために1秒当たりの壊変数は0.0002%にしかなりません。

従って、三宅らの方法により地域によってはヨウ素131の地表面への降下量の推定ができるので原発から60km以内の地域ならば推定できる可能性は高い。
しかし、放射線障害は個人差が非常に大きいので、線量だけで規定されるものではない。今後、甲状腺検査を定期的にしっかり受けていくことが大切だと思う。

それから聴き違いかも知れないが9ケ月まえの報道では大人での放射性ヨウ素の線量を3/11まで逆算し、甲状腺等価線量を計算したら670mSv?くらいだった記憶があるが、今回の63mSvでは単に逆算日数の違いでは合わず、甲状腺等価線量に換算することをしなかったのかとも不思議な気がした。

参考資料
1. http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/RPD/JPDF/gy/jgyCs137WB.pdf
2.三宅らによる海外雑誌投稿文(ヨウ素129からヨウ素131の量を推定する方法)Geochemical Journal, Vol. 46, pp. 327 to 333, 2012
Isotopic ratio of radioactive iodine (129I/131I) released from
Fukushima Daiichi NPP accident
YASUTO MIYAKE,1* et al,
http://www.terrapub.co.jp/journals/GJ/pdf/4604/46040327.pdf

東京多摩地区の7歳児が甲状腺がん発症

  • 2013/01/09(水) 21:30:51

今日たまたま「ずくなしの冷や水」<リンクの8番目>のブログを読んでいたら木下黄太さんのブログ2013/1/9記事からの引用であったので、原文にあたり、次のように理解した。

「震災後、1年経って、2012年4月に東京多摩地区から西へ避難した40代女性の7歳児の子供に発症しました。甲状腺に変形した「のう胞」様結節が数個あり、こういう場合には腺腫様甲状腺腫という表現が使われることがあるようです。当初は大きさも5mm未満ということからしばらく様子見の話もあったが、母親の希望により細胞診を実施したところ乳頭がんと診断された。」

オーストラリアのカルディコット小児科医は細胞診実施の目安として甲状腺結節で5mmを規準にしていたので、多分国際的な標準ではないかと思う。

東京の多摩地区となると東葛飾地区とは離れているし、こんなに速く出ることに意外な気もした。しかし、2012年度の新生児は103万人ほどですが甲状腺がんになる確率はその中でたった1人しか出ないので、このことを無視するのではなく、検討すべきと思った。

そう考えてみると、放射性ヨウ素の分布はセシウムとは別ということ、<これに関連して今週土曜日NHKスペシャル1月12日(土)午後9時00分〜10時13分番組案内のURLは下段に示します|シリーズ東日本大震災空白の初期被ばくの番組で放射性ヨウ素についての話もあるので私も見たいと思っています。
http://www.nhk.or.jp/special/sp/detail/2013/0112/index.html >
、それから短期間だが東京の一部の水道水がヨウ素131で汚染されていた時期もあったので、原発事故から5月くらいまでの放射性ヨウ素の分布量を多摩地区の自治体などで試算して見るべきと思う。

子供の甲状腺異常に関する報道管制は惨事の前触れか?

  • 2013/01/08(火) 14:22:52

「福島県民健康管理調査」を担当した鈴木眞一氏は9月11日の記者会見を行った。この会見に対し、内部被ばく問題研の沢田理事長が昨年10月15日に同氏および多くのメディア関係者に公開質問状(参考資料1)として発信した。
従って、公開質問状が発信された時点で、本来は多くのヒトに衆知されるべきだったがほとんどのヒトに知られなかったようである。
いつ返事が来るか私は待っていたが公開質問状にも拘わらず返事がこなかった。メディアからの反応も注視していたが全くなかったようである。
福島の甲状腺検査の報道は私の調査範囲では見つからず、逆に「福島県民健康管理調査」に掲示された昨年4月から8月までの検査結果がホームページから削除された。

このような中、12月1日の新聞報道で甲状腺学会報告<次の{ }内>がなされた。
{昨年11月末に開催された甲状腺学会で、東京の伊藤病院<学会直前に伊藤名誉(1/16二字追加:お詫びします)院長がご逝去された由、ご冥福を祈ります>の岩久建志医師らから2003年から今年8月まで同病院で甲状腺の超音波検査を受けた15歳以下の子供2753人の結果を集計した。この結果、36%の子に嚢胞が見つかった。複数回検査で来た189人の42%は嚢胞が小さくなったり消えるなど改善し、14%は大きくなるなどし、残り44%は不変だった。経過観察中に癌など悪性の病気になる子供はいなかった。}

学会報告というのは10分前後の短い話であり、特に今回のような新規性が乏しい(少なくとも基礎にいた者から見れば)速報性のないものは、学術論文になってからじっくり読んで評価することが正確な情報を伝えることでもあり、望ましい。新聞社が取り上げるような問題でもなく、私も批評など書く気もなかった。 しかし、福島の子供の甲状腺検査に関する報道が全く途絶えてしまった現状では、エビデンスに基づく考察も不可能になった。仕方がなく1カ月以上古い新聞報道について気付いた点を書く次第です。

子供の小児甲状腺異常率が36%であり、福島もあまり変わらない報道について。
原発事故のことを述べるならば、原発事故前に測定した者と事故後の測定者を分けて統計処理すべきだ。というのは事故前の場合には甲状腺に関連した何らかの異常があったから検査を受けたのに、福島の子供の検査は甲状腺に何ら異常がないのに、全員が対象になっている。従って、違うバックグラウンドのヒトを同列に論じることは不適切である。
また放射線被ばくのことに言及したいならば、被ばく線量が関係してくるので、東京でも東葛飾地区では汚染の可能性が高く、住んでいる地域が問題になるので、区別すべきだし、福島から東京へ避難しに来ていたヒトが東京で検査したならば、福島と比較すること自体が意味をなさない。

更にのう胞異常から甲状腺がんになったヒトがいなかったことについても小児甲状腺がんになるヒトは100万人に1人とかいわれる極めて稀な疾患であり、3000人弱の母集団から癌になる確率は1/300である。このように発生率の低いものを論じるには何百万人の母集団があって、初めて意味のあることが言えよう。従って、大新聞の記者といえども前頭前野(frontal cortex frontal area:猿と人間で最も大きさが違う脳の部位)を使っていないで仕事をしているように思える。

一番重要なのは福島の子供甲状腺検査結果であるので整理してみる。
メディア報道から一般のヒトの頭に入っていることは次のようであろう。
8万人の検査が行われた結果、甲状腺がん1人発症、但し時期が早いので被ばくによらないと判断され、もう一人は癌の疑いが出たので再検査すると言う報道である。
またその後、報道がないので、癌の疑いが一人出ただけと安心しているのが現状のように思える。

実際はどうだろうか、公表された2012年8月31日現在での状況は次のようである。なお、福島県の被ばく時0-18歳の子供36万人が甲状腺検査の対照である。

8万人検査の内訳は(2012年3月まで約38千人、2012年8月まで約42千人)
38千人のうち186 人が2次検査を必要とするB 判定。
2011年度の検査での該当者186人のうち38人が二次検査を終了し、
38人の内訳は10 人が経過観察必要なし。
14 人が良性腫瘍と判定され、6 ヶ月―1 年後再検査をすべし。
14 人が判定できず14名が穿刺細胞診(三次検査と名付ける)を受け、
13名が良性腫瘍、1名が甲状腺がんと判定された。
⇒二次検査が必要とされながら未報告者が148名も居る。当然全員の結果は出ている筈であり、何故報告しないか謎である。

次に2012年度の実施者約42千人のうち、239 人が2次検査を必要とするB 判定であった。うち女児の1名は癌の疑いがあり、2次検査を飛ばし細胞診検査対象となった。
二次検査対象者239人のうち22人が受診を終了したが結果は纏め中で未公表

こうして見ると8万人の一次検査終了者から二次検査該当者が425名出て、38名だけが二次検査を終了したので、進捗率は率は9%しかない。三次検査に14名進み、発がん者が1人認められた。
一次検査から三次検査へ1名いたが穿刺細胞診の報告は未だにない。

ここ数カ月、全く検査結果が公開されないのは異常状態といえよう。何故隠す必要があろうか?
このように、現在完璧な報道管制が行われていることから、予想を超える事態が展開しつつあり、今後をどのように展開(東日本の膨大な人数の子供対策など)していくかなど、いろいろな対策を考えているようにも思える。勿論、上述の考えが杞憂に終えることが一番望ましいことではあるが。

参考資料1:http://www.acsir.org/info.php?9-11-25
同資料のPDF版http://acsir.org/CMSF/uploads/9_11.pdf

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