甲状腺癌は胎児性細胞から直接発生する説が世界的に有力

  • 2013/08/14(水) 16:13:43

涼しい地域から帰国したばかりなのでこの暑さは堪えるが、気になっていた甲状腺癌二次検査の進捗状況を早速調べた。

何故気になったかというと郡山市から442人の二次検査該当者を出しながら二次検査の修了者はたった5人しかいなかった。しかも二次検査終了者5人から陽性診断者が2人出た。 即ち、率では4割にもなる。少数例からの類推なので誤差は大きくなるが、この比率でもし甲状腺癌が発生すれば、郡山市だけから約180人に発生するので、大変な事態だ。

しかし、5月27日から全く進展がないことがわかった。検査が終了したのに発表されなかっただろうか?それとも検査自身が大幅に遅れているのだろうか?
しかし、その後の報告がないのでエビデンスに基づかないコメントはさける。

それで学問上の面から最近の動向を調べる。甲状腺がんの発生メカニズムは阪大の高野医師が(このブログのリンク、トップ)13年前に世界で初めて唱えた説(参考資料1)が、世界的にも主流の説(参考資料2、3)になりつつあるので紹介する次第です。

本説については1年位前私もちょっと書いたが、今回は詳しく紹介します。

正常細胞が癌化しただけでは正常細胞は影響を受けにくいが正常細胞への浸潤性や独自の血管網を構築できるような性質を獲得できると正常細胞が癌細胞に置き換わるようになる、これが従来から言われてきた多段階説である。

しかし、この説では甲状腺のように細胞がほとんど再生・増殖しない臓器からの癌の発生を説明できない。
これに対して「癌は分化した細胞分化が脱分化するのではなく、発生途上で出現する未分化な芽細胞が分化することなく遺残したものから発生する」とする「芽細胞発癌説(fetal cell carcinogenesis)」は有力になった。

更に、この理論で予測通り癌幹細胞(Cancer Stem Cell)が同定されたので世界的に広く認知されることになった。

更に高野らは
●穿刺吸引核酸診断法を開発した
(Aspiration Biopsy Nucleic Acid Diagnosis, ABND)
甲状腺腫瘍の術前診断法として、腫瘍を穿刺した検体より核酸を抽出して解析することより良悪を判定する穿刺吸引核酸診断法(ABND)を世界で初めて開発した。

参考資料
1. http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/labo/www/CRT/GCC.htm
2.甲状腺癌の芽細胞発癌の概念
  Takano T and Amino N: Endocrine J 49, pp97-107, 2002
3.癌は胎児性細胞から直接発生する
Takano T and Yamada H Trefoil Factor 3 (TFF3): A promising indicator for diagnosing thyroid follicular carcinoma. Endocr J 56: 9-16, 2009 http://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj/56/1/9/_pdf.)

4、Nature Reviews Endocrinologyで甲状腺癌の新しい発癌モデルとして紹介
Lin RY, Thyroid Cancer Stem Cell, 7:609, 2011

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