福島の小児甲状腺がん悪化の一途、早急に対策を

  • 2013/08/21(水) 12:01:21

第12回福島県民健康調査室の検討委員会が昨日開催された。今朝早く、福島県県民調査委員会のホームページを開いたがまだ掲載されてなかった。しかし、幸いなことにOurPlanet-TV(参考資料1、2)で文書ならびに会議の模様が放映された。

福島県検討委(8/20)報告で甲状腺癌的摘出手術により新たな確定者が5名出て総計18名となり、穿刺細胞診により癌の疑いとされたものの総勢は25名となり、合わせて43名が甲状腺がんもしくは疑いと診断されたことになる。

分かり易い表現にすれば次のようになる。穿刺細胞診による陽性診断者が44名であった。そのうち19名の甲状腺がん摘出手術が終了した。摘出された甲状腺の組織標本の病理検査の結果、18名は乳頭がんであることが確定し、1名は良性結節と診断された。この18名の乳頭がん確定者から、統計処理をすれば有意な結果になるであろうが、統計処理に関する言及はなかったようである。

残りの25名の診断者について手術予備群と見なすことができるが、今回までの細胞診による誤診率は低く19名中1名なので約5%なので、残りの25名からは24名の、確定者が類推できる。従って、現時点における確定者は42名になることが想定される。

2年目の時点でチェルノブイリと比較できないほど大量発症したのにチェルノブイリは4年以降だからという理論は世界に通用しないのは自明である。
オーストラリアのカルディコット小児科医のように計測できなかった被ばく量が多かったからと考えるのが自然の解釈であろう。

今回は更に年少の事故時6歳(検査時8歳)の女児が悪性と診断された。この年代の子供が甲状腺がんになる確率は1000万人あたり、3人しかない。<この出典を失念しました。まっちゃんのブログhttp://ameblo.jp/misininiminisi/entry-11596347134.html
では「原発事故前の小児甲状腺がんの統計によると、0歳〜9歳までの発症の割合は100万人に0人とのことですのでほぼ一致していると思います」

今回この年代の母数となった6歳から10歳の受診者数は50,421人だった。母数を1000万人に揃えると200対3である。この数字からだけからも異常な事態が起きていることが類推されよう。最も重点を置くべき統計処理をせずに、従来のチェルノブイリに較べて早すぎるというスタンスにいつまでもしがみつくべきではない。

非常に憂慮すべき事態であるのに、会議冒頭では国連科学委員会の委員が福島の子供はあまり被ばくしてないので心配はないというような話しがあり、真面目に聞く気にもなれなくなってしまった。

ヨウ素131の正確な実測資料がない以上(もしあるなら時間的、空間的な膨大な資料をまず公表しなければならない)何んヒトも外部被ばく量を正確に算出できない。
更に甲状腺への影響では内部被ばくの影響が何百倍も大きいのにこの面からの測定データもない以上、被ばく量の議論は時間の浪費に過ぎないであろう。

前回書いた郡山市の穿刺細胞診から陽性率が4割とも癌の疑いが出る率は例数が増えても16人から8人と50%もあり、非常に高率であり、憂慮すべき事態といえよう。

日本の未来を担う子供を絶対に守るんだという視点があれば、甲状腺がんに付随して起こる、リンパ節転移や肺転移を防ぐ視点に立った議論が盛り上がる筈なのに、個人保護とかの議論があり、視点がずれていると思った。

福島の子供検査を急ぐだけでなく、隣県も行い、その結果によっては関東、東北を、さらには全国規模の調査が必要になるかも知れない。

福島原発事故を起こした私達世代は、何もわからない子供達を守る責務を負っていると思う。その視点を欠く会議では未来の日本を守れないであろう。

参考資料(OurPlanet
1.Pdf文章
http://www.ourplanet-tv.org/files/20130820shiyo.pdf
2.報告会のTV中継画像
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1630

<<トモダチ作戦に従軍した米艦隊員の訴状―紹介 | ホーム | 米海兵によるカリフォルニア地裁裁判の争点は被ばく知識差だ>>

この記事に対するコメント

疫学

日野行介著「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」を読みましたが、検討委員会の医学的な考察は、かなり絶望的状況だと思います。山下俊一氏は「発見率と有病率は違う。」と述べたと書いてありますが、エコー検診での発見率は有病率に相当する指標です。罹患率と有病率の区別がつかないまま、議論している可能性があります。また、鈴木眞一氏は「小児甲状腺癌の頻度のデータはない。」と述べたと書いてありますが、がん情報サービス
//ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01 
から資料を引き出すと5歳階級毎の甲状腺癌罹患率を計算することができます。疫学の基本がわからなければ統計処理しても無意味です。津田敏秀著「市民のための疫学入門」「医学と仮説」などを委員は勉強してほしいと思います。Sakuradorfさんには「ロスマンの疫学」をお薦めします。統計的有意性や因果関係にまつわる誤解について詳しく説明してあります。

ご投稿お礼と掲載遅れお詫び

健康上やいろいろなことで問題があり、ブログからご無沙汰し、失礼しました。大変有益な情報提供ありがとうございました。原発事故後福島県医大近くで採れた野菜でヨウ素131が百万ベクレル/kgを超えたので県立医大関係者はあわててヨウ素剤を服用したという記事を読んだことがあります。それなのに同じ人間が、被ばく量が大したことがないので甲状腺癌は起こらないと主張できるのか不思議です。5年以上経てば、小児甲状腺がんはチェルノブイリと比較できないほどの規模で福島にとどまらず広範囲に起きてくると想像しています。福島県民調査室の検討委員会では統計処理により有意性を検定し、因果関係を判定すべきです。オーストラリアのCaldicotto小児科医は福島で甲状腺癌がチェルノブイリより早く認められたことはそれだけ多く被ばくしたと考えるのが自然な考えだと主張しています。早期に因果関係を認め、次のステップの準備をすべきだ。

甲状腺癌多発

ブログ「院長の独り言」1万人に2人ーフクシマの小児甲状腺がんに、医学統計的考察をコメントしました。9月23日付のものを御覧ください。
日本内科学会雑誌、2010年4号752頁に細胞診とエコー検査の甲状腺癌診断率が表になっています。組織型によって異なりますが、700例以上施行されている乳頭癌については、細胞診で95.6%、エコー検査で96.4%となっています。他の組織は全例合わせて97例で精度が落ちますが、順に、濾胞癌、47%、52%、髄様癌、100%、80%、未分化癌、92%、83%、悪性リンパ腫、89%、92%と報告されています。福島で診断確定した18例はすべて乳頭癌でしたので、未手術例もほぼ全例乳頭癌と考えられ、癌症例は約42人となります。

細胞診の精度のつもりが誤解を与えました

ご指摘の件、一次スクリーニングの精度についてはご指摘のように問題があるように思います。福島医大の一次スクリーニングの時間について付き添った母親などから30秒もかからなかったという報告や、結節がないと県から言われたが念のため他県で測定したら5mm以上の結節があった例という話などもあり、県民検査における一次スクリーニングの精度には問題がありそうです。
私がブログに書いた場合の精度は穿刺細胞診の精度でした。穿刺細胞診は通常病理学の専門医が診断しますが、この場合でも福島県民調査会では甲状腺がんの疑いがあったと表現しています。切除した甲状腺癌の部位の組織標本を作製し、顕微鏡で観察し、最終判定できた場合にがんと認定しています。最終判断のところについては何もコメントがありません。しかし、細胞診のところは疑いという表現でなく、穿刺細胞診の診断結果という表現しても良いと思っています。細胞診の診断精度は一般的には9割と言われていますが、福島医大は8割と称しています。ところが実績は95%近くありましたので精度が高いという表現を使ってしまいました。
福島医大の一次スクリーニングの精度と細胞診の精度とは別なものですが誤解を与えたようですので表現を変えるようにします。細胞診の診段誤差は今までの実績では5%くらいの値であったという風に修正するようにします。

精度が高いというよりも

精度が高いというよりも、見逃しが起きてる可能性が高いのではないでしょうか。通常よりも短い時間のエコー診断、4つの検査項目を省略した検査内容であるにも関わらず、疑いと判定された子供達です。にもかかわらず、19分の18の高い罹患率であるなら、見逃している可能性を疑う必要もあるでしょう。

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