郡山市の高校生の白血病死と原発との因果関係の証明について

  • 2013/04/07(日) 00:47:54

白血病死と原発との因果関係について、医師は「原発によるという証拠はない」弁護士は「原発によらないという証拠もない」と話している。どちらの言い分も正しい。
というのは、原発事故がない時代から、青少年に白血病死はまれであるが起きている。もし、放射性物質による被ばく経験がなければ、疫学的(統計的手法)により証明しなければならず、因果関係が証明されるまでに10―20年の期間を要するかも知れない。
幸いなことに原爆、水爆、原発事故の経験により、放出された放射性物質(ストロンチウム90など)が骨に取り込まれるとそこに長い間とどまり、ベータ線を放出し続けるので近傍にある骨髄の造血細胞が癌化し、白血病になることがわかっている。

Kiikochanのブログ(参考資料1)から広島とチェルノブイリのゴメリ<1平方キはロメートル当たり1キュリーから5キュリーの汚染地帯;日本基準では一般人の立ち入りが厳しく制限される区域>の小児白血病について次のようにまとめている。
「広島では被爆後2年で白血病が増え始め、6年目でピークを迎えました。
ゴメリ州立病院の子供の白血病も広島と同じ傾向<グラフを良く見るとゴメリでは1年目から増えていました。この項追記>をたどっています。」

以上の例は比較的高線量被ばく地で発症までの期間が短い事例に適用できるであろう。

歯のストロンチウム含量を測定することで因果関係の推定が可能となろう。タイミング的には歯の乳歯が抜けた時が最も採取が好都合であろう。保存した歯の証拠の証明も必要のケースも起こりえるので、具体的にはで歯科医師が中心とか、市民グループとか様々なグループで保存活動をしているので相談して見るのも良いと思う。

次に低線量被ばくについて、これまでも微量で持続的な被ばくによるリスクの指摘はあった。しかし、放射線による発がんの危険性は、100ミリシーベルト(100mSv)を下回る被ばくでは、他の影響に隠れてしまい証明が難しいとも考えられてきた。

ところがウクライナ放射線医学研究センターと米国立がん研究所が共同で実施した研究を昨年11月、ENVIRONMENTAL HEALTH PERSPECTIVES誌(参考資料2、3)に発表した。
チェルノブイリ原発事故の収束作業に関わった作業員約11万人<事故発生の1986年から90年までに、主に積算で200mSv未満の比較的低線量被ばくした人を対象にし、うち約8割は100mSv未満>を20年間にわたって追跡調査した結果、低線量の被ばくでも白血病の発症リスクが高まることが明らかになった。
発症者の半数以上は進行が緩やかな慢性リンパ性白血病だったが、中には急性白血病の人もいた。白血病になった137人は、事故後原発から30キロ以内で緊急対応に当たった人や軍人、原発の専門家だった。 
この成果は放射性物質による低線量被ばくへの評価だけでなく、コンピューター断層撮影(CT)装置など、医療機器による被ばく影響を評価する上でも適用できると著者らは主張している。
低線量の場合には発症まで年数がかかりそれだけ医療用被ばく量も増えるので識別が難しくなろう。

参考資料
1.http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1518.html
2.http://www.47news.jp/47topics/e/236010.php (日本文要旨)
3.http://ehp.niehs.nih.gov/wp-content/uploads/2012/11/ehp.1204996.pdf
(英文文献)

岩手県沿岸部で今年度は昨年度より脳卒中患者が5倍に急増中

  • 2013/04/06(土) 09:44:25

岩手県沿岸部に位置し、震災による津波で大きな被害を受けた山田町、大槌町、陸前高田市の病院や診療所に対して行われた聞き取り調査を岩手医大が実施した結果、脳卒中患者が急増していることが判明した(参考資料1)。
これを詳しくみると、震災直後の2011年4月〜2012年3月までの1年間では、同地域の脳卒中患者は11人と月平均0.9人にとどまった。ところがその後の2012年〜2013年1月までを見ると患者数は52人、月平均5.2人にはね上がった。即ち5倍以上に増加した。これから明らかに言えることは震災直後より、現在の方が被災者の健康状態は悪化しているという意外な結果だった。
これを受け日本脳卒中学会は脳卒中予防体制の整備と被災地の環境改善をするように国に要望書を提出した。
復興が進まないことに寄るストレスや、良好とはいえない住環境などが脳卒中患者を増やしている、というのが日本脳卒中学会の見解だった。

しかし、同じ住環境に住みながら1年の間に5倍の増加は不自然であろう。
放射線の影響が深刻化してきた方がまだ合理性があろうと思ったら、英国の医学誌「BMJ Open」に掲載された論文(参考資料2)「広島・長崎の原爆被爆者の致死的・非致死的脳卒中と放射線被曝の関連についての前向き追跡研究(1980–2003)」によると、広島・長崎の被ばく者では、被ばく線量と脳卒中のリスクに関係性が見られたということから関連がありそうという論文も見つかった。

それによれば被ばく線量が高いほど出血性脳卒中のリスクが高まる傾向が、確認されているのだ。男性では2.0グレイを超えた場合、一般の2.5倍に達しており、女性では2.2グレイ超で3.5倍にも達する。調査は1980年〜2003年にかけて、被ばく者9515人を追跡しており、信憑性はかなり高いように思える。
ただし、この論文で明確に出る被ばく量は2グレイ(シーベルト同じ単位とみなしてよい)であることや、発現するまでの期間も何十年と長いことから、脳卒中の増悪作用としての関与はあっても、主役ではないように思える。

本年1月3日のブログに書いたように血管が閉塞する場合には血栓因子の関与が大きいと思う。イギリスのMark P. Littleらは放射線の線量と血栓形成に関わる因子(MCP-1)の活性化の関係を「空間反応―拡散モデル(spatial reaction-diffusion model)」で解析し、両者間に相関関係を見つけた。
従って、私はこの因子の活性化が起きている可能性が一番高いと思う。この因子を測定し、実際増えていることが確認されればこの説の裏付けにもなろう。なお、脳卒中には脳溢血だけでなく脳梗塞や脳血栓も含まれるので、血栓の関与は大きいと言えよう。

それから、沿岸部地帯で頻発するということから脳卒中者の海産物摂取との関係も調査すれば意外な展開に至る可能性もあるかなと思った。

参考資料 (両方とも日本語)
1. http://www.tax-hoken.com/news_aA8YpQAaLe.html?right
2. http://www.rerf.or.jp/news/pdf/BMJopen.pdf 

耳なしウサギの原因究明は簡単だ、同腹仔のDNA検査で

  • 2013/04/05(金) 06:43:05

原発事故後福島県浪江町で生まれた耳なしウサギについて評判になったが、県知事による「根拠のないデマは残念」との発言でいったんは収まったようであった。
ところが、画像がYouTubeで放映されることによって世界に広まり、どれくらいのヒトが観たかは知らないが恐らく何百万人のヒトに焼き付いたではなかろうか?
その映像を私も観た。耳の付け根の部分について注視したが、背中や頭部の毛との境目は全くわからず、外傷によるものでなかろうと見做し、遺伝子変異によるものであろうと想像したことを思いだした。また、この画像を観た世界のヒトは誰も疑問を持てないであろうと勝手に想像していた。

このウサギが現在埼玉県で飼育されていて、そのウサギを診断したK大学獣医学部のI教授は「耳なしウサギは地震によるストレスでおきたという説を提唱されたということを聞いて驚いた。

DNA鑑定をしたエビデンスからその説を唱えられたものと思っていたら、根拠は放射線量から唱えられたということで更に吃驚した。「被曝の影響の可能性を切り捨てるわけにもいかないので、妊娠中1週間の被曝量(内部・外部の合計)を算出したところ、1.55ミリシーベルトと出た。奇形が生じる線量には閾値があり、通常は瞬間的に数1000ミリシーベルトぐらい浴びないと生じないとされています。」

しかし、飼い主はウサギの飼育が専門だったわけではないので集団飼いのため、生まれてある程度たってから耳のないことに気付いたと記憶している。また事故後は何十種類の放射性物質が放射されているわけで、外部被ばくや草を介する内部被ばくまで正確に計算することは誰にもできないであろう。査読のある学術誌に被ばく量を書くならば、必ず実測値が要求されるので、計算値を示せる筈がない。

しかし、もっと驚いたのはイギリスの女医であり、疫学者であったアリス、スチュワートが1950年代見つけた「妊婦がレントゲン照射を受けると奇形児出産が増える」というエビデンスを知らないこと(本当のところは無視であろうが)だった。これによってイギリスのみならず、世界の医療現場では妊婦のレントゲン撮影は医療上のメリットがある場合に限られて行うようになった。勿論、日本も例外ではなかった。胸部レントゲン照射による被ばくは0.05mSvなのでだ2万倍以上の違いとなる。ウサギでは放射線による奇形が起こりにくく「瞬間的に数千mSv照射しないと奇形が起こりにくい」ということはヒトも同じ哺乳動物であり、世界で通用する国はほとんどないであろう。

困ったことに日本では、週刊P誌に大きく報道されたことから原発推進派の評論家が勢いづき盛んに宣伝しだしたことである。
先に日本の情報開示度は急降下し、昨年度はパプアニューギニアより低くなったと書いた。しかし、これでは日本における科学リテラシーもパプアニューギニア以下になってしまうことは確実であろう。

現在は高速DNA解析時代になり、僅かな血液があれば全DNA解析できる。耳なしウサギと同腹仔のDNA解析で解決する。従って、エビデンスで証明すべきものである。こんなこと書くために無駄な労力を使うことは本当に悲しい現実だと思う。

ドイツの電力貿易収支は昨年度大幅輸出超過で1680億円の黒字

  • 2013/04/04(木) 09:45:10

2022年までに全ての原子力発電の閉鎖を決めているドイツで、12年の電力輸出量が666億キロワット(KW)時となり、輸入を228億KW時上回ったことをドイツ連邦統計庁が2日発表した。
 
先進工業国日本において起きた福島第一原発事故のショックを受け、ドイツでは産業界、市民代表などあらゆる階層を含み、国民全体を巻き込み、徹底的討論の末、脱原発策を決定し、17基稼働中の原発のうち、事故から半年経たない同年8月に8基の原発を閉鎖した。太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの急速な普及に方向転換した。この方針転換は徹底しており、原子力メーカーであるシーメンス(日本でいえば日立や東芝のような会社)も原子力発電からの撤退に方向転換をした。

そういう努力や天候の影響もあったためか ドイツでは12年の再生可能エネルギーの発電割合が原発より6ポイントほど高い22%と過去最高を記録した。電力の貿易収支は11年の60億KW時から12年度は4倍弱の228億KW時に増加した。その結果14億ユーロ(約1680億円)の黒字となった。

日本ではドイツはフランスから輸入するから可能だという憶測に基づいた流布が広く信じられているが、昨年度1年間における電力の輸出および輸入の実績は大幅な輸出超過で1680億円の黒字だったエビデンスがあることを強調したい。
従って、メディア関係者に言いたいことは思いこみに基づいた文でなくエビデンスに基づいた文を書いていただきたいと願うものである。

5.1mm以上の結節の率、弘前は福島の3倍弱、検討課題だ

  • 2013/04/02(火) 21:02:08

子供の甲状腺エコー検査の他県対照群データについて上記のように全面的に訂正しました。

購読新聞は詳しいという私の思いこみから、環境省のホームページを確認しないまま書いてしまい、コメント欄でのご指摘から気付き、お詫びします。

環境省の見解やメディアからは福島も対照県も略同等だから安心だというコメントが多かった。
私が今回の環境省発表を検討した結果、この考えはほとんど意味のないA2判定の数値を中心に得られた結論であり、注目すべきはB判定の結果であることを強調したい。

今回の3県におけるA2判定は57.6%と高い数値が出たが、この原因の99%は20.0mm以下ののう胞率のカウントからきている。この高い数値に5.0mm以下の結節の関与率は1%以下である。<3月9日のブログに書いたようにA1とA2値の境界値の設定がないのでヒトによっては0.5mmののう胞でも数えるかもしれないし、20.0mmの大きなのう胞でも全く同じに評価される。今回の高い数値の由来はこんな粗い分類の結果から導き出された数字であり、この数値を規準にして判断しようとすること自体がナンセンスと思う。

この数値に注目が行ってしまうために真の姿が目くらまし状態にあることが問題であろう。
そもそも甲状腺がんのスクリーニングをするのも癌との関連性を見つけたいことにあると思う。そうであるならば結節の有無に重点を置くべきだったと思う。のう胞については判断資料としては副次的な扱いにするにしても、今回のような粗い分類ではのう胞0.5mmでも20mmでも同一にカウントするような規準でなく、のう胞ならば5.1mm以上とか境界値を設定し、よりきめ細かくしA1とA2の境界値を明確にすべきだったと思う。

結節については甲状腺がんとの関連性がかなりはっきりしていると思う。というのも(内外の専門家は甲状腺結節の大きさが一定以上(小児では5mmとか10mmとか国によって違っても)ならば穿刺細胞診を行い、陽性ならば摘出手術が一般に行われている理由による。

一方、のう胞と癌の関係についてはまだはっきり分かっていない部分が多いようである。勿論、当初「のう胞」であった部位に結節ができたとの記述を読んだこともあるので、無関係とはいえないが結節より関連性が低いことは明らかであろう。

以上の理由によりB判定だけに注目してみた。
B判定者のなかに20.1mm以上ののう胞はゼロだったので、全員が5.1mm以上の結節を有するということになり、解釈もすっきりした。

5.01mm以上の結節を認めたものが44人いたのでこの比率は全体の平均でも1%を占め、その高さにびっくりした。というのは福島で2011年度(2012年3月まで)が38、8114名中184名で0.48%;3月31日終了の2012年度が94,975名中538名であり、パーセントにすると0.57%しかなかった。

それに対し3県の平均が1%であった。市別にみると詳しくみると弘前市は1.3%、甲府市が1.1%、長崎市が0.6%であった。従って福島と較べると、弘前市は3倍弱、甲府市が略2倍、長崎市が略福島並みといえる。

今回の対照群検査では、例数が少ないので、発がん性との関連までははっきり言えないであろうが、弘前市でB判定者が福島より3倍弱も高かった考察を詰める必要はあろう。
例えばB判定者の住む地域が偏っているならば、その地域のヨウ素の沈着量の測定をすべきことが示唆される。当時の放射性ヨウ素131は現在残っていないので測定不可能と思えるが、幸いなことに半減期1600万年のヨウ素129(詳しくは1月13日ブログをご覧ください)が加速器質量分析計AMS(accelator mass spectrometry)で容易に測定できる。従って、この量を測定することにより、事故直後の131の量を推定<福島原発事故でもヨウ素129は原子数量としてはヨウ素131より約30倍放出されたことが報告されています。>できる。
結節の大きさが5mmを超えると直ちに穿刺細胞診の対象になる国もあるがわが国ではわが国のやり方出良いでしょうが、44名の子供たちの今後のフォロウも必要になった。

それから細かなことですが、試験計画書についてのコメントも書きます。
プロトコールを作る時、比較する場合には同一数にするのが、統計的にも検出力が最も高くなるので通常そうする。今回、甲府市と長崎市の検査人数は同じと見なせるが、弘前市だけは1630人と甲府および長崎市と較べても約270名多かった。
年齢別の割合でみると、例えば甲府市は3−5歳が34人に対し、長崎市では104名で約3倍も多く、16-18歳では315名対204名で逆に約5割にしかならない。このように総数だけでなく年齢別区分においてもバラバラなのは、最初から精度の高い測定を目指した様には思えなかった。

試験計画書についてのコメント:プロトコールを作る時、比較する場合には同一にするのが、統計的にも検出力が最も高くなるので通常そうする。今回、甲府市と長崎市の検査人数は同じと見なせるが、弘前市だけは1630人と甲府および長崎市と較べても約270名多い。
また年齢別の割合でみると、例えば甲府市は3−5歳が34人に対し、長崎市では104名で約3倍も多く、16-18歳では315名対204名で逆に約5割にしかならない。このように総数だけでなく年齢別区分においてもバラバラなのは、最初から精度の高い測定を目指した様には受け取れなかった。

また対象者を選ぶ選択基準が示されてなかったが、エコー検査を希望者する者から選んだとすれば、関東の被ばく地域からの避難者が多く選ばれる可能性があり、そうなれば本来の目的を達しないことになってしまう。従って、私はあり得ないことと思うが、あるブログでこのことを心配していたヒトもいたので、エコー検査の対象者の選択基準も示すべきと思う。

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